ネリネ(ダイヤモンドリリー)とは
ネリネは、南アフリカ原産の球根植物です。17世紀に南アフリカからイギリスへ持ち込まれ、栽培や品種改良がされていました。日本には大正時代末期に輸入されています。日に当たると花びらがラメを散らしたように光り輝くため、「ダイヤモンドリリー」という別名を持ちます。華やかなため装花として使われることが多く、花色も多い植物です。
ネリネの基本情報
学名 | nerine saniensis |
科属 | ヒガンバナ科、ネリネ属(ヒメヒガンバナ属) |
原産国 | 南アフリカ |
形態 | 多年草 半耐寒性球根類 |
草丈 | 30cm~60cm |
開花時期 | 10月~11月 |
耐乾性 | 強い |
耐寒性 | 弱い |
耐湿性 | 弱い |
花色 | 白、黄色~オレンジ、ピンク~濃紅色、紫、青 |
別名 | ダイヤモンドリリー、ヒメヒガンバナ |
ネリネの特徴
ネリネは1本の花茎の先に4cm~5cmくらいの花を5個~12個つけます。花びらは6枚~8枚あり反り返り、色は白からグラデーションにピンクや濃い紅色、黄色やオレンジ、紫やすじのある花もあります。装花向きです。日本に入ってきた当初、縁起がよくないとされていた彼岸花に形が似ていたことから栽培が広まらず、品種改良や栽培が盛んになったのは昭和初期です。
ネリネの種類と開花時期
ネリネの開花時期は種類によって異なります。成長期も夏に迎えるものと、冬に迎える種類があるからです。南アフリカから渡った原種や、イギリスで品種改良されて耐寒性を得たものなどがあるためです。ここでは、ネリネの種類とそれぞれの開花時期について詳しく見ていきましょう。
サルニエンシス
サルニエンシスは、10月~11月に開花時期を迎える種類です。球根は夏に植え、冬に成長します。ネリネのなかでも代表的な種類で、ダイヤモンドリリーと呼ばれるのはこの種類が多いです。花の色の数が多い点が特徴で、白・淡いピンク色・紅色から濃い紅色・黄色やオレンジ・紫色や筋の入ったものなど、とても華やかです。葉は細長く開花と同じくらいに地表に出て、花が終わると枯れます。
ボーデニーの開花時期
ボーデニーも10月~11月に開花時期を迎えます。サルニエンシスよりも遅くイギリスに渡り、寒さに強く地植えも可能です。球根は春植えで夏に成長します。花の数は7個~12個と多めで、花弁は6枚~8枚で全体的に波打ったものが多いです。花の色は白とピンクがあり、濃いピンクは特に華かです。葉は細長く花が咲いてから枯れます。
ウンデュラータ
ウンデュラータは原種で、花は他の種類に比べて地味ですが、素朴で可憐な美しさを持ちます。開花時期はネリネとしては遅めの11月~12月で、球根は春植えです。夏に成長期を迎え、耐寒性があり丈夫で、屋外栽培も可能です。花弁は全て波打ち、小ぶりの花を多くつけます。葉は温度があれば枯れずに常緑です。「ネリネクリスパ」という別名を持ちます。
ネリネの花言葉
ネリネには多くの花言葉があります。花の色が多く華やかな印象があるためです。しかし、花の色別の花言葉はありません。多くはネリネの名前の由来となった、ギリシア神話がベースです。華やかな印象のネリネですが、意外にせつない花言葉の持つ意味や由来について解説します。
ネリネの花言葉は多い
ネリネには多くの花言葉があります。以下、ネリネの花言葉です。
- また会う日を楽しみに
- 幸せな思い出
- 繊細でしなやか
- 華やか
- 輝き
- 無邪気
- 麗しい微笑
- 箱入り娘
- 忍耐
- 黄金の椅子にすわっていても
- 若返り
花言葉の由来
ネリネの名前は、ギリシャ神話に出てくるネーレーウス王の娘たち、海に住む水の女神ネーレーイスが由来です。海底の宮殿で黄金の椅子に座って歌ったり、踊ったりして過ごしていますが、無垢な娘たちを守りたい父はめったに外出を約束してくれません。豊かでも窮屈で忍耐のいる宮殿暮らしをしていた女神たちの心情が、多くの花言葉を生みました。
せつない花言葉の意味
女神たちは華やかで輝きに満ち、繊細でしなやかな麗しい微笑をたたえています。その女神たちを一目見た勇敢な者は、再会の約束のないまま、また会う日を楽しみにすることでしょう。箱入り娘の女神たちは一見、無邪気で豊かに見えますが、制約が多く不自由で忍耐をしいられた生活をしているのです。冷静に、諦めているのかもしれません。数少ない外出で得た幸せな思い出を大切に暮らすのでしょう。
まとめ
ネリネの花言葉や由来、特徴や開花時期をご紹介しました。ネリネは切り花にしても日持ちがします。色のバリエーションが豊富で、冬に飾ると華やかな印象を与えてくれるでしょう。華やかさを感じさせる反面、意外な花言葉を持っています。ネリネを見たときに、ぜひ女神たちのせつない花言葉を思い出してください。
出典:flickr