シシウドを美味しく食べよう!
シシウドはウドという名前がついていますが、セリ科の植物で別名をアンゼリカともいいます。ヨーロッパでは薬用などに使われており、日本でも山などに自生しその新芽を食用として調理する場合もあるのです。かわいい白い花を咲かすシシウドについてウドとの違いや美味しい食べ方などをみていきましょう。
シシウドとは?
シシウドの基本情報
分類 | セリ科シシウド属 |
学名 | Angelica |
英名 | Angelica pubescens |
和名 | シシウド、猪独活 |
別名 | アンゼリカ、ウドタラシ |
生息域 | 山地、日当たりのよい草地 |
生息地域(日本) | 本州から北九州 |
開花時期 | 8月~11月 |
シシウドの特徴
シシウドの一番の特徴は大きさで、大きなものでは1~2メートル前後になるほど大ぶりです。茎や葉も大きく育つため自宅で育てる場合は広い場所の確保が必要になります。またシシウドは多年草で一度開花して実をつけると枯れるという特徴もあり、一定期間経過すると枯れて繁殖するので増やしすぎたくない場合は気をつけましょう。
花の特徴
シシウドの花の特徴として、たくさんの枝の先に1つずつ小さな白い花が咲きます。その姿はまるで花火のようで、花弁は5枚、雄しべが5本、雌しべは1本です。花茎がつくまでは4~5年かかり、一回稔実性といい花が咲き実がなると枯れます。
葉と実の特徴
葉は2~3回羽状複葉といい、主脈の左右から小さな葉が羽状に並んでいます。茎からは葉が方向を違えて生えており、葉の形は細長く楕円形をしていて縁はギザギザです。草丈は1~2メートルになり、花の後には、分果という実ができます。
シシウドの効果や効能
シシウドはヨーロッパでは薬用や食用として使われており、中国でも漢方薬として活用されています。その効果や効能として根を乾燥させたものは風邪や鎮痛、むくみなどに効果が期待できるといわれているのです。他にも頭痛や神経痛、冷え性などにも効能があるといわれています。
シシウドの花言葉
シシウドの花言葉は「健康美」で、シシウドの溶溶たる姿にふさわしい花言葉です。また誕生花としては9月30日といわれています。プレゼントに適している花言葉でもあるため、敬老の日などにプレゼントとして送るのもおすすめです。
シシウドの名前の由来
シシウドは壮大であるその姿から猪にたとえてシシウドという名前をつけられました。ウドの名前の由来ははっきりしておらず茎の内部が空になっているので、「虚ろ」木からなまって変わったのが由来という説がありますが定説ではありません。
イノシシが食べるからという由来もある
他にもシシウドの根の部分をイノシシが食べることが由来という説もあります。またシシウドが1m~2mほど大きく育ち、イノシシが食べるほど大きく育つ頃から「シシウド」という名前をつけられたともいわれており、1つの由来だけではありません。
ボタニ子
ボタ爺
シシウドは見た目も美しいが薬効も高かったため、そのようにいわれていたんじゃな。
シシウドの育て方
自宅でもシシウドを育てることができ、育てる環境や世話のやり方に気をつければいつでもきれいな白い花を堪能できます。またじょうずに育てれば実を収穫したり新芽を食べることもできるため、参考にして育ててみてください。
育て方①育てる環境
シシウドはもともと、少しだけ日の当たる半日蔭の山地や低地などの地域で育ちます。そのため自宅で地植えで育てる場合は風通しがよく直射日光が当たらない場所を選びましょう。また、シシウドは成長すると高さが2メートルに及ぶこともあるので、室内では育てにくくプランターなどで育てるのには不向きです。庭がある場合は地植えにしましょう。
ボタ爺
暖かい地域で育てる場合は日が当たらない場所を選ぶとよいぞ。
ボタニ子
冷涼な気候を好む植物だから、暑すぎるとうまく育たない可能性があるってことですね。
育て方②水やり
地植えの場合は水はけがよく、ほどよい湿度が保てる場所を選びましょう。また水やりも土が乾いたら与えるようにし、常にみずみずしく水分がたっぷりあるようにするとしっかりとちます。
ボタ爺
肥料は鶏糞や油粕、有機肥料などがおすすめじゃよ。
ボタニ子
水やりは朝や夕方の気温が低いときに揚げるとよいですよ。
育て方③収穫
秋になったらシシウドの根を掘り下げて収穫し、しっかりと水洗いをして縦割りにしましょう。その後通気性のよい場所で陰干しにして乾燥したら、数時間日干しにして最後にもう一度乾燥をしたら「独活」という生薬の完成です。
ボタ爺
シシウドの根はリキュールの香りづけなどにも活用できるのでおすすめじゃよ。
ボタニ子
自生しているシシウドは根が強くて掘り出すのが難しいけど、自宅で栽培すると掘り出しやすいので収穫も楽ちんですよ。
育て方④育苗や増やし方
育苗や増やし方についてですが自宅でシシウドを育てる場合、根が長く深いため育ったシシウドを移植するのは困難です。増やしたり育苗をしたいときはお店で販売されている苗を植えて育てるようにしましょう。種から育てるのも難しいため、苗の購入がおすすめです。
ウドとシシウドの見分け方は?
シシウドは名前に「ウド」と入っているため、ウドとの違いが気になります。しかし実際はウドと異なる点が数多くあるため、ウドとシシウドの見分け方のポイントで代表的なものをみていきましょう。
見分け方①分類
まず1つめの違いとして分類があげられます。ウドはウコギ科タラノキ属に分類され、シシウドはセリ科のシシウド属で分類としてはまったく別です。
見分け方②花
ウドとシシウドの違いとして花の色があげられます。シシウドは白色をしていますが、ウドは淡緑色をしているのです。全体的なフォルムは似ていますが、色に違いがあるのでそれぞれの花の色に着目するとみわけやすいでしょう。
見分け方③葉
シシウドとウドは葉の見た目も異なります。シシウドは葉が3枚ほど繋がって生えますが、ウドは1枚ずつ独立して生えます。そのためウドの方が葉が大きく、シシウドは葉が小さめです。
見分け方④茎
ウドは茎に小さな白い毛がたくさん生えていますが、シシウドは少ししか生えていません。またにおいも独活とシシウドは異なるため、見た目で判断が難しければ茎や葉、新芽のにおいをかいでみましょう。
その他にシシウドに似ている植物
他にもオオカサモチとオオハナウドというシシウドに似た植物があります。オオカサモチは葉が羽のように細かく切れ込んでおり、山地や高山の湿った地域で自生している植物です。オオハナウドは葉と花びらが大きく、節に大量の毛が生えており亜高山、高山などの地域に自生しています。
シシウドの美味しい食べ方
苦みやえぐみのある野草といわれているシシウドは、美味しく調理すればくせになる味わいです。シシウドの美味しい食べ方をいくつか紹介するのでみていきましょう。
そもそもシシウドって食べられるの?
シシウドの芽は山菜として食べられますが、少し大きくなるだけでとても苦い味となってしまいます。新芽の間が美味しく、新芽は5〜6月の間が旬です。そのためシシウドを美味しく食べる場合は新芽を採集しましょう。
食べ方①天ぷら
シシウドの新芽は天ぷらにするととても美味しく、さっぱりとした山菜の味わいを楽しめます。少し苦みがあるため苦手な方はあく抜きをしましょう。苦みが得意な方はそのまま天ぷらにすればシシウドの味をまるごと味わえます。
食べ方②塩漬け・砂糖漬け
シシウドは塩漬けや砂糖漬けにしても食べられます。塩漬けにした場合は食べるときに塩抜きをし、煮込み料理などに入れて食べましょう。砂糖漬けのシシウドはケーキに添えたりすると美味しそうなできあがりになります。
ボタ爺
砂糖漬けは新芽だけでなく茎や葉などもできるのじゃ。
ボタニ子
砂糖漬けにすると緑色がキレイでお菓子の彩りとしておすすめですよ。
食べ方③炒めもの
シシウドは郷土料理として食べられている地域があり、葉がまだ大きくなっていない新芽の茎の皮をはいで塩漬けにした後、炒めて調理します。アクの多い野草のため、炒めものにするときはしっかりとアクを抜いてから炒めましょう。
ボタニ子
海外では秋にできる実をつかってお菓子の材料にすることもあるみたいですよ。
ボタ爺
少し苦みのある大人の味じゃ。
まとめ
ウドと似ているシシウドですが、収穫の時期を間違えると苦くてえぐみがあるため、初めて食べる方はまずは新芽を調理しましょう。慣れてきたら茎や実、根などを調理してみてください。うまく自宅で栽培して白くてキレイなかわいらしい花を堪能しましょう。
他にもシシウド属のアンゲリカという学名がラテン語で「天使」を意味し、そこから「天使の力」と例えられていたことも由来ともいわれているんですよ。