ヤブレガサ(破れ傘)とは?特徴・見分け方から山菜としての食べ方までご紹介!

ヤブレガサ(破れ傘)とは?特徴・見分け方から山菜としての食べ方までご紹介!

春の山菜にはいろいろありますが、ヤブレガサの若芽もその一つです。春、林の中にその小さな姿が目に止まります。芽の様子は破れた傘に似ていて、食べてみるとほろ苦く印象的な味です。そんなヤブレガサの特徴や育て方、食べ方などについてご説明します。

記事の目次

  1. 1.ヤブレガサとは
  2. 2.ヤブレガサの特徴
  3. 3.ヤブレガサの育て方
  4. 4.ヤブレガサの見分け方
  5. 5.ヤブレガサの食べ方
  6. 6.まとめ

ヤブレガサとは

出典:写真AC

ヤブレガサは日本原産の植物です。北海道以外、落葉樹や広葉樹の多い林の中ややや乾いた場所、山や林の斜面に見られる多年草です。早春に発芽しますが、若い葉は綿毛に覆われいて、葉が開くと名前のとおり破れた傘のように見えます。葉が開き始める頃、収穫して葉と茎を山菜料理として食べます。育て方によっては自宅でも簡単に増やし収穫することができます。

ヤブレガサの基本情報

名前

ヤブレガサ、カラカサグサ、破れ傘

学名

Syneilesis palmata

分類

キク科ヤブレガサ属

形態

多年草

分布

日本(本州、四国、九州)、朝鮮半島

草丈

50〜100cm

開花時期

7〜9月

ヤブレガサの特徴

芽・茎

春の3月ごろに芽を出し、若芽は全体が綿のような毛に覆われています。芽が出始めて少し伸び、葉が開かないくらいがちょうど収穫に適しています。茎が一本だけ伸びてきて、その先に葉を持っているのが特徴です。茎はまっすぐ伸びていき、株の生長にもよりますが、50~100cmまで伸びます。

早春に芽が出て葉も茎も綿毛に覆われていますが、茎が伸びていくと葉が開いてきて綿毛もなくなります。芽吹いたときはちょうど破れた傘をすぼめたような形です。花がつかないものは葉は1枚だけ、花がつくものには葉が2枚つきます。葉の直径は30~50cmで丸く広がり、手のひらのように7~9ヶ所深い切れ込みがあります。園芸種もあり、斑入りの葉もみられます。

夏、7~9月ごろ、茎の先に茎をスッとまっすぐ伸ばし、花の枝を交互に伸ばして白から淡い赤色の花を咲かせます。花の根元は筒状になっており、長さ9~10mmです。その先に小さな花を7~13個つけ、花の先は割れており、くるんとカールしています。葉はとても存在感があるのに比べ、花は白っぽく地味な印象です。

果実

花が咲くと蜂たちがやってきて蜜を吸います。そうやって受粉すると冠毛、つまり果実の上についている毛が伸びてきます。果実は長さ4mmくらいで茶褐色、よく見るとたくさんの縦のシワがあります。冠毛は7mmにまで伸び、白く刺があり、上を向いています。その冠毛を利用して、果実は風に乗ったり動物についたりして広がっていくのです。

名前の由来

ヤブレガサという名前の由来は、発芽した時の様子が破れてしまった傘に見えることから「破れ傘」と呼ばれているといわれています。地方によってはキツネノカラカサ、ウサギノカサ、ヨメノカサ、カラカサグサなどの呼び名もありますが、いずれも若芽が傘のような見た目であることが由来です。また、葉が開いて大きくなった葉を傘(笠)だと見立てて「破れ傘(笠)」と表現したとも言われています。

花言葉

透き通る心

なぜこの花言葉なのかは不明ですが、葉に刻みが入っていて見通しが良いところから、そう名付けられたのかもしれませんね。見通しのよい、つまり、嘘がなく透き通った心の持ち主を表現した、もしくは花の茎がすっくと一本立って咲く姿からもそのようなイメージがついたのかもしれません。

ヤブレガサの育て方

春の代表的な山菜、ヤブレガサは自宅で育てる人も少なくありません。苗は山野草の苗を扱っている店やインターネットでも手に入ります。環境や管理方法に注意すれば株を分けて増やすこともできます。ヤブレガサの育て方について詳しくご説明します。

場所

強い風があまり当たらない明るい日陰で育てます。風が強いと一本だけ高く伸びた茎が折れてしまい、傷ついて枯れてしまうためです。また、直射日光を嫌うので、特に地植えする場合は夏に日が当たらないところを選んで植えます。鉢植えにした場合は、夏は遮光したり日が当たらない場所に移動させたりします。特に園芸品種で斑入りのものなどは、斑がなくならないようにできるだけ日陰で育てるのがよいでしょう。

用土

地植えにするなら、落葉する広葉樹の下に15cmくらい土を盛り上げ植え付けます。鉢に植える場合は小粒の赤玉土:腐葉土=7:3で混ぜて作った用土を使うか、一般的な培養土に赤玉土を3割混ぜて使います。市販の山野草用の土でもかまいませんが水はけがよく軽いので、夏は鉢を二重にするなどして乾燥を避ける必要があります。

植え方

冬、1〜2月ごろ、芽がまだ動いていない休眠中に植え付けます。今まで植まっていた土を落とし、枯れている根や根茎を取るなどして苗をきれいにします。ただし太い根は傷をつけないようにして残しておきます。根をきれいに整理するときに、株分けできそうな根を取って増やすのもよいでしょう。

肥料

鉢に苗を植えるときにリン酸とカリウムの多い緩効性の化成肥料をやります。5号鉢ならひとつまみくらいの目安です。3~9月の生長期にほぼ毎週1回、液体肥料を1500~2000倍に薄めて与えます。夏とても暑い時期には、さらに3000倍くらいに薄めた液体肥料をやります。地植えにした場合も同じ方法です。

水やり

鉢植えにした場合は、土の表面が乾いていると思ったら鉢の底から水が流れ出るくらい十分に水やりをします。勢いよく水を与えるのではなく、ゆっくり少しずつ水を与えます。かなり乾いていたらバケツに水を入れ、鉢ごとゆっくり沈めて引き上げる方法でもよいでしょう。地植えにした場合は、真夏に日照りが続くなどしてかなり乾燥する時期以外、水をやる必要はありません。

病害虫

病気にかかることはほとんどありませんが、うどんこ病が見られることがあります。それほど広がらないのでそのままでも大丈夫でしょう。害虫はハモグリバエが見られることがあります。夏、葉の中に入り食べ進むので、葉に線が現れたら中にいる虫を上から指で押しつぶして駆除します。そのほかヨトウムシやアブラムシなどが見られることがありますが、それほど害はありません。

増やし方

ヤブレガサの増やし方には株分け、根伏せ、種まきの3種類があります。株分けと根伏せは、芽が休眠している冬の時期に行います。それぞれについて説明していきます。

株分け

株が増えてきて混み合ってきたら、いったん土から掘り上げて株分けをします。株を見て枯れてしまった根を取り除いているうちに株が分かれてきます。これらを新しい土、場所に植えていきます。植え方、育て方は新しく苗を植え付けたときと同じです。根を切って分ける場合は、鋭利なナイフなどで切り口を潰さないよう切り分けましょう。

根伏せ

根伏せとは根を地面、土の中に埋めておき、芽を出させる方法です。植物によってはこの方法が使えないことがあるので気をつけましょう。ヤブレガサの場合は、株が増えてきて植え替えするときに太い根を株元からはずして、切り口が土の中に1cmくらいの深さになるよう植えます。2〜3ヶ月すると芽が出てきます。

種まき

秋になって花が終わると、そのあとに茶色くとがった種ができていることがあります。そっと取り、集めて保存袋に入れ、保存袋の中に湿らせた水ゴケなどを入れて冷蔵庫で保管しましょう。そして2月ごろ種まきします。最初に発芽するのは1枚の葉だけですが、翌年に移植するとだんだん株が大きくなります。あとの育て方は苗を植え付けたときと同じです。

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ヤブレガサの見分け方

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