ヨモギとは
ヨモギは古くから食用、薬用として用いられており、日本では親しみ深い植物です。どこにでも見られるうえ、繁殖力が強く、雑草と考えられていることも多いのではないでしょうか。しかし、雑草として扱うにはもったいない植物です。ヨモギについて詳しく見ていきましょう。
基本情報
科 | キク科 |
学名 | Artemisia princeps |
英名 | Japanese mugwort |
和名 | ヨモギ(蓬) |
別名 | モチグサ、ヤイトグサ |
分布 | 日本(本州、九州、四国、小笠原) |
生息地 | 日当たりのよい山野、草地、道ばた |
生え方 | 多年草 |
名前の由来
四方に広がるように繁殖するため「四方草」、春に萌える「善萌草」、よく燃えるから「善燃草」などヨモギに充てられる漢字とその由来については、さまざまな説があります。春の若芽を餅に使うことから「モチグサ」、葉の裏の毛が灸の材料になることから「ヤイトグサ」の別名ももちます。
学名と英名
ヨモギはハーブの女王とも呼ばれ、学名「Artemisia princeps(アルテミシア プリンケプス)」はギリシャ神話の月の女神アルテミスにちなみます。古くから「女性の健康の守護神」として利用されてきたのです。英名はJapanese mugwort(ジャパニーズ マグワート)ですが、西洋のmugwortとは異なることがあります。
植物としての特徴
ヨモギは日本全土に分布し、どこででも見かける極めて一般的な植物です。地下茎を伸ばして集団で増え、繁殖力が強いため雑草として扱われることもあります。早春、寒さが残る時期からヨモギの成長は開始です。草丈60~120cmほど、茎は多数分岐して立ち上がります。
葉と花の特徴
葉は互生し、長さ6~12cmの楕円形で、羽状に深く裂けます。葉の裏面は白く細かい毛で覆われています。ここが他の植物との見分け方のポイントです。開花時期は8~10月ごろで、地味な淡褐色の小花を穂状につけますが、地味すぎるため見分け方は簡単ではありません。
ヨモギの栽培
ヨモギは繁殖力が強くどこででも栽培できそうですが、実は簡単ではありません。環境が変わるとうまく根付いてくれないのです。生えているヨモギを苗として植え付ける場合は、よく似た条件下で栽培することが求められます。
種類
ヨモギ属の植物は日本に多くの種類があり、オオヨモギ(Artemisia montana)はよく似ていますがやや大きい種類で薬効が高いといわれ栽培もされています。見分け方は、ヨモギには葉柄基部に仮托葉(かりたくよう)という小さな葉がありますが、オオヨモギにはこの仮托葉がありません。
ヨモギの栄養と効能
ヨモギの旬の時期は3~5月、若芽を天ぷらやおひたしとして食べます。草餅、草団子の材料としても知られています。食用以外にもヨモギは日本人の健康を守るために薬用として利用されてきました。体のためのヨモギの使い方について見ていきましょう。
ヨモギの栄養と効能①食物繊維
ヨモギには、ホウレンソウの約3倍もの不溶性食物繊維が含まれています。腸内環境を整え、便秘の解消やダイエット効果、有害な毒素を体外に排出するデトックス作用が期待できるといわれます。
ヨモギの栄養と効能②クロロフィル
クロロフィルはヘモグロビンの働きを助けて、造血作用をうながし、貧血の予防や改善に役立つとされています。血中の脂質を正常化し、コレステロール値を下げる働きが期待されるともいわれます。
ヨモギの栄養と効能③カロテン
豊富に含まれるβ‐カロテンは、体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜を健康に保ち、視力や美しい髪の維持に役立つといわれます。肺や呼吸器、免疫力の向上にも欠かせないビタミンです。
ヨモギの栄養と効能④シネオール
シネオールはヨモギの香りの主成分であり、さわやかな香りがあります。新陳代謝を活性化し、血行促進を期待できます。高ぶった神経を鎮め、精神を安定させるリラックス効果、ホルモンバランスや自律神経を整えるともいわれます。
ヨモギの注意点
キク科にアレルギーがある場合は、アレルギー反応が現れることがあります。花粉だけではなく、食用としても反応することがあるため注意が必要です。
次のページでは、ヨモギの利用法についてご紹介します。
出典:筆者撮影