おいしいふきを食べるには?
ふきは古くから食べられてきた日本原産の山菜です。春になると全国の山野で見られます。ほとんどの部分が食用可能で、特につぼみは「ふきのとう」と呼ばれる春山菜の代表格として知られています。ふきの葉茎は独特の香りとほろ苦い味わいが人気です。一方であくが強いため、おいしく食べるにはあく抜きなどの下ごしらえや、そのほかの下処理作業、調理方法が重要ポイントとなります。
平安時代から栽培されていた
日本原産種であるふきは、古くから春の山菜として親しまれてきました。平安時代には、すでに野菜の一種として栽培されていたという記録も残っています。ちなみに現在、野菜として栽培されているふきで生産量が多いのは「愛知早生(あいちわせ)」という品種です。市場に流通しているふきの約6割を占めています。
愛知早生は尾張ふきとも呼ばれています。みずみずしく柔らかい食感が大きな特徴です。
品種名にもなっている愛知県は、昔からふきの栽培が盛んだったんだ。現在もふきの生産量第一位は愛知県なんだよ。
ふきの旬の時期
ふきの旬の時期は5月~6月です。「山ぶき(山蕗)」と呼ばれる天然ものが出回る時期でもあります。天然のふきは栽培品種に比べてあくや苦い味が強いぶん、下ごしらえが面倒です。その反面ふき独特の香りも強いので、本来の風味がよりいっそう楽しめますよ。ちなみに栽培品種のふきは10月~翌年の5月までが出荷時期です。
ふきの栄養成分
ふきは腸内の老廃物を除去し便通をよくする効能がある食物繊維と、体の調子を整える働きを持つミネラル分を含むため、生活習慣病の予防効果が期待されています。また、日本や中国の民間療法においては去痰・鎮咳の薬として用いられていました。
ふきの下処理方法
ふきは茹でる前に「板ずり(板摺)」という下ごしらえを行います。板ずりは野菜の下ごしらえ作業として代表的なものの1つです。「あく抜き」「緑色が鮮やかになる」「調味料がしみこみやすくなる」「表面をなめらかにする」などの効果があります。塩の量は、ふき一束につき大さじ山盛り一杯が目安です。多過ぎても少な過ぎても、効果が下がってしまうので注意しましょう。
板ずりの塩は多過ぎると塩辛くなり、少な過ぎるとあく抜きができません。使用量に注意しましょう。
板ずりは、キュウリやオクラの下ごしらえにも使われているよ。
ふきの板ずりの材料
- ふき:一束
- 塩:大さじ山盛り一杯
板ずりの手順
- ふきを切る。葉と茎に切りわけ、大きさは後工程で使用する鍋の口径にあわせる
- まな板の上にふきを置き、塩を全体にまぶす
- 両方の手でふきを押さえ、ふき同士をこすりあわせるように転がす
- 塩は洗い流さず、下ごしらえの次の工程「茹で方」に移る
ふきの茹で方
ふきの茎(葉柄)の茹で方
ふきの茹で方は、茎と葉を別々にわけて茹でるのが重要ポイントです。鍋あるいはフライパンにたっぷりの湯を沸かし、ふきの茎を入れます。ふきは板ずりの塩をつけたまま、重ならないように入れるのが上手な茹で方のコツです。もう1つの茹で方の重要ポイントである茹で時間は、ふきの太さと茹でた後すぐに調理するかどうかで変わってきます。
ふきの茹で時間の目安
茹でた後のふき | ふきの太さと茹で時間 |
---|---|
すぐに調理or冷蔵保存 | 細いふき:約3分、太いふき:約5分 |
冷凍保存 | 細いふき:1分、太いふき:3分 |
重曹を使う茹で方
ふきの茹で方には、重曹を使う方法もあります。ふきを茹でる際に、重曹を沸騰した湯に入れるだけです。重曹には野菜を柔らかくして、あく抜き効果を高める働きがあります。重曹の量は水1Lに対して耳かき1杯分が目安です。重曹を入れ過ぎると柔らかくなり過ぎて、ふきの食感を損ねてしまうので注意しましょう。
重曹を使ったあく抜きは、わらびの下ごしらえでも使われている方法です。
ふきの葉の茹で方
ふきの葉の茹で方は、まず沸騰した湯で1分ほど茹でた後、冷水に浸けて冷まします。冷ましたふきは水気を軽く絞りましょう。水気を絞ったふきの葉は、水を取り替えて沸騰した鍋で1分茹で、その後は同じように冷水に浸けて冷まします。この作業を2~3回繰り返した後、冷水にさらしたまま、一晩置きましょう。
ふきの葉はあくが強いため、あく抜きのための下ごしらえには、それなりの手間が必要です。
ふきの葉のあく抜き作業は、あくや苦い味がどのくらい抜けているか、確認しながら行ってね。
ふきの冷まし方
大きなボウルに冷水を張り、茹で上がったふきを、すぐに冷水にとって冷まします。早急に冷まさないと、余熱で柔らかくなり過ぎて、ふきの食感が悪くなってしまうからです。水がぬるくなったら交換し、ふきの芯まで完全に冷ましましょう。
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出典:写真AC