ヤブミョウガとは?
皆さんはヤブミョウガ(藪茗荷)を知っていますか。冷やっこや刺身に添えられるミョウガは、薬味の定番で知られています。ほろ苦い味と爽やかな清涼感が特徴なミョウガですが、ヤブミョウガについては「特徴は全く知らない」「初めて名前を聞く植物で、ミョウガとの違いは全く分からない」のが実情でしょう。ではヤブミョウガとは、一体どのような植物なのでしょうか。ミョウガとの決定的な違いとは、なんでしょうか。
実はツユクサ系の植物
ヤブミョウガは、ツユクサ科ヤブミョウガ属に属する植物です。日本をはじめ中国本土や台湾・朝鮮半島に広く分布し、自然に生えています。人工栽培には適さず、野草の一種として知られています。夏に咲く花は白く、その実は黒色や濃紺で丸くなっています。一般には「食用に適さない植物」と言われています。
「報われない努力」「謙譲の美徳」
ヤブミョウガは、里山などの丘陵地の斜面に、ひっそりと白い花を咲かせていたり、黒や濃紺の実をつけながら、ひっそり佇むのが特徴です。とても慎ましいそのいでたちから「報われない努力」「謙虚な美徳」が花言葉となっています。ちなみにミョウガの花言葉は「忍耐」「報われない努力」です。花言葉に関しては、ヤブミョウガとミョウガは兄弟なのです。
ヤブミョウガとミョウガの違いは?
ミョウガの特徴
皆さんがよく知っているミョウガは中国原産の食用植物で、スーパーなどで4~5個入りで150円前後で売られています。ショウガ科ショウガ属に属する食用野菜の一種で、主に関東以南の農家で人工的な育て方により栽培が行われています。和食では、冷やっこやそうめんなどの薬味として生で食べられるケースの他、あえ物・炒め物・酢漬けなどの食べ方が知られています。本場中国では、蒸し物・炒め物などの食べ方もあります。
漢方薬としても使われる
原産地の中国では、現在でもミョウガを漢方薬として利用しています。ミョウガに含まれる味と香味の成分「α-ピネン」は、大脳皮質を刺激して眠気を覚まし、発汗や血行促進を促し、ホルモンバランスを整えるといわれています。また、女性の生理痛や生理不順を改善したり、男女を問わず精神を安定させる薬効が知られています。根茎を摺り下ろして湿布薬にし、霜焼けを治療する薬効もあるそうです。
高知県がミョウガの名産地
2015(平成26)年のみょうが生産量の都道府県ランキングでは、年間生産量約5600tの生産量の9割が高知県で生産されています。高知県以外の生産地は、夏の8月~10月が最盛期となりますが、高知県では温暖な気候のため周年に渡り種まき→栽培→収穫されており、全国ナンバーワンの収穫量の背景となっています。
ヤブミョウガは里山に生える野草
人工的な栽培が広がる野菜のミョウガに対し、ヤブミョウガは関東以南の里山に生える野草です。花が美しいのが特徴なため、一部の愛好家が人工的な育て方をして鑑賞している例を除いては、ほとんどが野山に自然と生えています。ヤブミョウガの名前の由来は、葉の形がミョウガに似ていたので名付けられたそうですが、ツユクサ科の植物であるため、ミョウガとは一切関係ない植物です。
ヤブミョウガも食べられます
ヤブミョウガは食用に適さないと言われています。しかし、その名の通り葉や茎はミョウガに似た香りと香味を持ち合わせることから、ミョウガの代用品として古くは珍重されました。また最近でも、若芽を天ぷらやおひたし・冷やっこの薬味などにして食べる風習が残る地区もあります。
次のページでは、ヤブミョウガの育て方や増やし方を紹介します。