ギョウジャニンニクとは
ここではギョウジャニンニクの基本情報をご説明します。生産地や旬の時期、名前の由来などの基本的なことから、昔から深い関わりがあるアイヌ民族との関係や見た目がよく似ている有毒植物との見分け方など、ギョウジャニンニクのことを詳しく見ていきましょう。
基本情報
分類 | ユリ科ネギ属 |
形態 | 多年草 |
別名 | キトビロ・ヒトビロ・プクサ・アイヌネギ |
学名 | Allium victorialis subsp |
分布 | 近畿以北~北海道 |
場所 | 水湿地、高山など |
産地 | 北海道・東北・長野 |
収穫時期 | 3月~5月 |
開花時期 | 6月~7月 |
ギョウジャニンニクは「ユリ科ネギ属」の多年草です。においと味がまるで大蒜(ニンニク)のようであることから名付けられました。初夏に咲かせる花はまるでネギ坊主のように丸い花火型の真っ白な花を咲かせます。多年草で食用にするには最低5年はかかるため、自生種を収穫する際には採り過ぎずに小さいものを残すようにしましょう。
産地
ギョウジャニンニクは主に近畿以北の高山や北海道の湿地帯に自生している山菜です。乱獲のため天然ものの数が減少傾向にあり採れる数が限られているため、1990年ごろからは北海道や東北などで栽培され一般の家庭にも出回り始めました。
名前の由来
ギョウジャニンニクは「行者にんにく」と書きます。仏道・修験道の修行をする人(行者)が山ごもりを行った際に、山で採れるギョウジャニンニクを食べて力をつけたことから付けられた名前です。西洋でも「victory onion(勝利のタマネギ)」と言われるほどに、世界中で滋養強壮効果のある食材として親しまれています。
旬の時期
ギョウジャニンニクが採れる時期は4月~5月中旬です。1月からハウス栽培のものが、3月から天然ものが採れ始めます。遅くても6月初旬には終わりを迎えます。
類似品種
ラムソン
ラムソンは別名「ワイルドガーリック」と呼ばれておりアイルランドなどのヨーロッパに自生しています。ヨーロッパの家庭料理の味に欠かせないものであり、近くの野山で収穫し各家庭でさまざまな食べ方に調理されます。主に葉を使ってバターに練り込んだり、ペーストを作ってパンに塗ったり、スープにしたりします。
イヌサフラン
別名「コルチカム」という園芸種で、ヨーロッパ・北アフリカ原産の多年草です。若葉がギョウジャニンニクと類似しており、球根や葉に含まれている有毒のアルカロイドは食べるとおう吐や下痢・呼吸麻痺を引き起こす可能性があります。見分け方は、ギョウジャニンニクは葉をこするとニンニクのような独特のにおいがすることです。
スズラン
スズランの若葉や芽吹く時期・自生場所がギョウジャニンニクと類似するため、天然ものを収穫する際には注意が必要です。葉や球根など花全体に有毒性物質が含まれています。イヌサフランと同様に葉のにおいで見分けましょう。
ギョウジャナ
天然ものではなく品種改良されたものに「ギョウジャナ」という野菜があります。ギョウジャニンニクとニラを交配した品種で、ギョウジャニンニクは収穫できるまでに5年かかるのに対し、ギョウジャナはニラと同様に1年で収穫できます。滋養強壮やビタミンB1を含むものと一緒に食べると疲労回復効果があります。
アイヌ民族との関わり
主に北海道で自生しているギョウジャニンニクは、アイヌ語で「キトビロ」「ヒトビロ」「プクサ」と呼ばれ、昔からアイヌ民族にとってなじみ深い山菜でした。アイヌの伝統料理である「オハウ(汁物)」の具や「ラタシケブ(和え物)」の料理に使ったり、その独特のにおいから魔物をはらうとされ伝染病の収束を願って村の入り口に掲げたりしていました。
ボタニ子
次は、ギョウジャニンニクの栄養素・効果について説明します。
出典:写真AC