葉脈標本(スケルトンリーフ)とは?
葉脈標本(スケルトンリーフ)とは、葉っぱの葉肉を溶かして葉脈だけを残した標本です。植物の種類による葉脈の違いを観察できます。そのため、学校の授業や自由研究で取り扱ったことがある人もいるかもしれません。葉脈標本(スケルトンリーフ)のしおりは、夏休みの自由研究でも人気ですよ。
雑貨やアクセサリー素材としても人気
近年、繊細でナチュラルな雰囲気が注目され、雑貨やアクセサリーのおしゃれな材料として販売もされています。一見すると、特別な方法で作られているようですが、実は家にある材料で簡単に作れます。自分の手で葉脈標本を作って、アクセサリーに加工するのも素敵ですね。
葉脈とは
葉の維管束のすじを、葉脈といいます。茎の維管束と繋がって、水・養分を葉に供給し、葉肉の細胞の光合成で作られた合成産物を葉から植物全体へ運ぶ役割を担います。葉の中心を通る太い葉脈は主脈、主脈から枝分かれした細い葉脈は側脈です。葉脈のタイプは、植物の種類によって異なります。
葉脈の種類
- 羽状脈(うじょうみゃく):中央の1本の主脈から左右に側脈が伸びる
- 三行脈(さんこうみゃく):葉の付け根近くから3本の主脈が出ている
- 掌状脈(しょうじょうみゃく):葉の付け根近くから3本以上の主脈が放射状に出ている
- 網状脈(もうじょうみゃく):側脈が更に枝分かれし、網目のようにつながっている
- 並行脈(へいこうみゃく):葉の付け根から葉先に向かって複数の脈が並行に通っている
葉脈標本(スケルトンリーフ)作りの材料
- 葉脈標本にする葉
- 重曹(ベーキングパウダー)or水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)orパイプ洗浄剤
- 歯ブラシ(固め・柔らかめと何種類か用意しておくと便利です)
- 漂白剤
- 鍋
- ビニール手袋
水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)について
苛性ソーダは石鹸作りや掃除などに使われる薬品です。強アルカリ性で劇物として取り扱われますが、ドラッグストアなどで購入できます。劇物扱いで、一般の棚にはないかもしれませんが、販売員にいうと出してもらえますよ。しかし、購入時に氏名・連絡先や使用目的などを所定の用紙に記入する必要があるため、身分証明書とハンコを持参しましょう。
葉脈標本におすすめの葉っぱ
葉脈標本を作るには、溶液に漬けて葉脈以外の部分を溶かし、葉脈だけを残す必要があります。柔らかい葉や薄い葉、落ち葉は、溶液で葉脈まで溶けてしまったり、葉脈を残せても形を留められなかったりするためおすすめしません。ツバキ、サザンカ、ギンモクセイ、ナンテン、シャリンバイ、クチナシなど葉に厚みがあり葉脈がしっかりした葉が適しています。
葉脈標本(スケルトンリーフ)の作り方
ここでは、葉脈標本(スケルトンリーフ)の作り方を3つ見ていきましょう。
①重曹を使う作り方
- 鍋に水400ccと葉、重曹大さじ3を加える
- 葉が黒くしんなりするまで煮る(ツバキ、ギンモクセイで2時間程度)
- 葉を取り出して、流水で薬剤を洗い流す
- 平らな場所に置いて、歯ブラシで優しく擦る(強く擦ると葉脈が切れて破れてしまうので慎重に!)
- 漂白剤を入れた水に漬け、葉の色が抜けて白くなったら取り出して水洗いする
- 水気をキッチンペーパーなどで吸い取り、乾燥させて完成
②パイプ洗浄剤を使う作り方
パイプユニッシュ 排水口・パイプクリーナー
参考価格: 983円
- 容器に葉と、葉全体が浸るぐらいのパイプ洗浄剤を注ぐ
- 葉が黒く変色するまで漬け置く
- 葉を取り出して、洗浄剤をしっかり洗い流す(以降は重曹の手順と同じ)
漬け置き時間の目安
パイプ洗浄剤の濃度や気温によって漬け置き時間が変わります。水酸化ナトリウム4%の洗浄剤で2~3時間程度、1%前後の洗浄剤では一晩以上が目安です。あくまで目安のため、葉の様子を見ながら、適切な時間で取り出しましょう。
漬け置き時間を短縮する方法
漬け置き時間を短縮したいときは、ガラス瓶などに葉とパイプ洗浄剤を入れて、鍋で湯煎する方法もあります。加熱すると葉肉が溶ける時間が短縮できますが、必ず換気が必要です。パイプ洗浄剤の取り扱いにも注意してください。
③水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を使う作り方
セスキ炭酸ソーダ 4.5kg
参考価格: 2,000円
- 10%の水酸化ナトリウム水溶液に葉を漬ける
- 30分ほど、沸騰しないように注意しながら煮る
- 必ずピンセットや割りばしで取り出し、流水で薬品を洗い流す(以降は重曹の手順と同じ)
葉肉を落とすときの注意点
ツバキなどの厚みのある葉の葉肉は、薬剤に浸け置いても、簡単には取れません。最初はたわしのような固い毛のブラシでトントン叩き、葉肉がほぐれてきたら柔らかめの歯ブラシや筆などで、丁寧に落としていきましょう。メイク用の小さなブラシがあれば、細かい作業ができるためおすすめです。どうしても葉肉が取れないときは、もう一度薬品に漬け置きしてみましょう。
葉脈標本を染色する
漂白して白くなった葉脈標本をそのまま使うと自然な雰囲気に、着色すると違った表情に仕上がります。絵の具や食紅で簡単に着色可能です。グラデーションや多色染めにすると、ファンタジーの世界の葉っぱのような、不思議な雰囲気が漂いますよ。おしゃれなアクセサリーや雑貨の材料にするなら、イメージに合わせた着色でオリジナリティが出せますね。
出典:写真AC