ビニール温室とはどんなもの?
農家が使っている大きなビニールハウスを小さくしたビニール温室は、コンパクトで手軽なことから「簡易ビニール温室」「簡易温室」とも呼ばれています。まずは、ビニール温室がどんなものなのかをご紹介します。
軽くて組み立てが簡単
メッキパイプや塩化ビニルパイプ、専用に整形したプラスチックなどの骨組みに、ビニールシートをかぶせたものが一般的です。中にラックが置けるので、鉢だけではなく大きめのプランターも使えます。また、組み立て方もとても簡単な上に軽くて扱いやすいので、気軽に使うことができます。
大きさのラインナップが豊富
パイプで作る骨組みでサイズ調整ができるので、市販されているサイズがとても豊富なのが特徴です。ベランダでも使える小さいサイズから、本格的な栽培も可能な大型まであります。使うプランターや鉢に合ったサイズ選びができるのが嬉しいところですね。
入口の開閉はファスナーが主流
どんなに小さいビニール温室でも、前面にファスナーなどが付いた入口があり、それを巻き上げて開閉するものが多いです。扉のフレームがないので、ベランダなど狭い場所に設置しても出入りに困ることはないですね。
ビニール温室を使う3つのメリット
家庭用に作られたようなビニール温室には、どんなメリットがあるのでしょうか?ビニールの特徴を生かした効果もあるので、見てみましょう。
風から植物を守ってくれる
病害虫を防ぐ上で大切な風通しですが、余りに強すぎる風は逆効果です。また、冬の冷たい風は植物に重大なダメージを与えてしまいます。しかし、ビニールで覆うことで、これらの風から受ける直接的なダメージを防ぐことができますよ。
雨や霜をしっかり防ぐ
屋外で栽培する時に気がかりなのが、雨や霜ですよね。育てている植物によっては、少ない水分量で栽培する場合もあるでしょう。そんな時でも、ビニール温室ならば水分コントロールがしやすいです。雨や霜、場合によっては雪をしっかり防いでくれるので、水分管理が楽になります。
覆い素材を変えれば1年中使える
ビニールカバーを農業用遮光シートに変えれば、真夏の直射日光から大切な植物を守ることができます。小さい簡易温室なら、季節に合わせて覆い素材を交換するのがとても簡単ですよ。
ビニール温室の注意点とは?
主に雨風から植物を守ってくれるのがビニール温室だと分かったところで、実際に使った時に困らないよう、注意点をご紹介します。
暖房・保温性はない
「温室」と名前に付いているからには、きっと暖房と保温性に優れているに違いない!と思いますよね?実は、簡易温室には、ほとんど保温性はないのです。よくよく考えてみれば当たり前なのですが、外気と温室内を隔てているものは、シート1枚だけです。冬場の太陽が陰る時間になると、あっという間に小さい温室は外気と変わらない温度まで冷えてしまいます。
温度調節が難しい
意外に思われるでしょうが、ビニール温室の温度調整はとても手間がかかります。太陽光が直接当たれば、内部の温度は私達が思っている以上の高温になり、夜は低温になります。そこで、簡易ヒーターで暖めたり空気を循環させたりするのですが、家庭用だと様々な工夫をしないと実感できる効果は難しいのです。
強風に煽られると飛ばされる
小さい上に軽い事が一番の魅力なのですが、実はデメリットでもあるのです。弱い風には耐えられますが、少しでも強く吹く風には簡単に煽られてしまいます。プランターなど重さのある鉢が重し代わりになりそうですが、風の力を侮ってはいけません。固定する方法をしっかり考えておかないと、中のプランターごと飛ばされてしまう危険があります。
土の温度上昇による根腐れ発生の可能性がある
盆栽のような小さい鉢で植物を育てた事のある人なら経験があると思いますが、太陽光の熱で鉢が温まると、中の土の温度も上昇しますよね。そこに水やりをすると、せっかくあげた水が土と鉢の温度で温水のようになってしまうのです。これと同じ事が、簡易温室では起こる可能性があります。水やりの時はプランターを外に出すなどの、ひと手間をかけるといいでしょう。
ビニール温室の安全な使い方【通年】
温度調節が難しいとはいえ、雨風から大切な植物を守ってくれるありがたさは、変わらないですよね。1年を通して使うためには、ビニール温室の設置を少し丁寧に行う必要があります。
柵や壁に紐で括り付ける
骨組みが軽いため、軒下やベランダであっても風に煽られて転倒してしまいます。これを防ぐために、ビニール温室を柵や壁に紐で括り付けて下さい。ベランダや軒下なら、雨どいなどのパイプに縛り付けるといいでしょう。また、紐はシュロ縄など園芸向けの縄の方が、強度があるのでおすすめです。
温度計を取り付ける
ビニール温室内が何度になっているかをしっかり把握するために、温度計はマストアイテムと言えるでしょう。最高気温と最低気温が分かるデジタル温度計なら、温度管理に便利なのでオススメですよ。
季節に合わせた覆いを準備
雨風を防ぐならビニールシート、光量や熱をコントロールするなら遮光シートと、栽培する植物と季節に合わせて温室の覆いを準備しましょう。小さいとは言え、簡易温室全体を覆う場合は、意外と大きな覆いが必要になります。家庭用の簡易温室でも、農業用資材を上手に利用すると無駄がなくておすすめですよ。
ボタニ子
続いて、ビニール温室の安全な使い方【冬季】をご紹介