苦土石灰を使用したい植物
植物によって育つ環境はそれぞれですが、水はけや日当たりと同じように土壌のpHもとても重要な要素の一つです。特に庭植えで「土が合わないから」とか「何度植えても育たない」という声を聞きますが、それは育て方というよりもpHが関係しているのかもしれません。庭植えの場合は周囲に植えた植物との兼ね合いもあるので、この記事を参考にして苦土石灰で上手に調整しましょう。
おすすめの野菜
ほうれん草に苦土石灰をまくのはご存知の方も多いでしょう。葉物野菜だけでなく特に実物野菜を育てるには堆肥や肥料も必要ですが、苦土石灰も効果があります。pHコントロールとミネラル補給ができる苦土石灰を元肥や追肥として上手に使って、家庭菜園でもしっかり収穫する喜びを味わいましょう。
- ダイコン pH5.5〜6.5
- ニンジン pH5.5〜6.5
- キュウリ pH6.0〜7.0
- トマト pH6.0〜7.0
- ナス pH6.0〜7.0
- ピーマン pH5.5〜6.0
- ほうれん草 pH6.0〜7.0
- インゲン豆 pH5.5〜6.5
- ソラマメ pH6.5〜7.0
- トウガラシ pH6.0〜6.5
おすすめのハーブ
地中海沿岸が原産の西洋系ハーブ類は、酸性土壌を嫌います。丈夫で育てやすいラベンダーやローズマリーには不要と思われがちですが、花色や花数が違ってきます。ぜひ、苦土石灰の追肥効果を試してみて欲しい植物がハーブ類です。アジア系のレモングラスなどには不要です。
- ラベンダー pH6.5~7.5
- ローズマリー pH6.0〜7.5
- ミント pH6.5~7.0
- セージ pH6.0~7.0
- カモミール pH6.0~7.0
- オレガノ pH6.0〜7.0
- タイム pH5.5〜7.0
- バジル pH5.5〜7.0
- イタリアンパセリ pH5.5〜6.0
- チャービル pH6.0〜7.0
おすすめの花木・果樹
海外からの輸入や園芸種として改良されたものなど、家庭でも気軽にたくさんの植物を楽しめるようになりました。そのため原産地の環境に近いpHに調整することで、より生き生きと成長し鮮やかな花が楽しめる品種がたくさんあります。苦土石灰を追肥として上手に使って、ガーデニングを楽しみましょう。
- オリーブ pH7.0〜8.0
- 紫陽花(ピンク〜赤系) pH6.5〜7.5
- バラ pH6.0〜6.5
- 高麗芝 pH6.0〜6.5
- ガーベラ pH6.0〜6.5
- かすみ草pH6.0〜6.5
- いちご pH5.5〜6.5
- ぶどう pH6.5〜7.0
- キウイpH6.0〜7.0
- ブルーベリーpH4.0〜5.0

ボタ爺
ブルーベリーは酸性土壌を好むから、苦土石灰は不要だぞ!
他の石灰との違いは?
園芸店やホームセンターの土や肥料コーナーには、苦土石灰以外にも石灰と名のつく肥料があります。どのような違いがあるのかそれぞれの特徴や、効果的な石灰のまき方を見ていきましょう。
上手な石灰肥料の選び方
pHコントロールを目的にする場合は、石灰肥料のアルカリ性の度合いが強いか弱いかがポイントになります。アルカリ性が高いと土壌の雑菌も抑えられますが、土が硬くなるというデメリットもあります。特徴を知って庭や畑の土壌改良に役立てましょう。
石灰肥料の種類
生石灰とは
読み方は「せいせっかい」または「きせっかい」です。生石灰の成分は酸化カルシウムで、水と反応して発熱します。乾燥剤や加温剤の原料として利用されています。現在では園芸での使用はありません。
消石灰とは
読み方は「しょうせっかい」で、石灰石を加工したものです。成分は水酸化カルシウムで、肥料ではなくpHを中性から弱アルカリ性にコントロールする土壌改良材です。消石灰のpHは12の強アルカリ性で、鳥インフルエンザなどの消毒にも使用されます。
消石灰の使い方
消石灰は皮膚や粘膜への炎症・失明も報告されていることから、マスクやゴーグル・手袋を使用します。家庭菜園や花壇の土壌改良には、風に舞いにくい粒状や顆粒状の消石灰を使うのがおすすめです。種まきや苗の植え付けは、消石灰散布の10日間〜2週間後からにしましょう。
有機石灰とは
有機石灰はホタテやカキの貝殻や卵の殻など、動物由来の原料を加工したものです。成分は主にカルシウムでミネラル類も多く含み、土が固くなることもありません。有機石灰はアルカリ分が40%前後で、緩やかな土壌の中和が特徴です。
有機石灰の使い方
使用量は商品のパッケージを参考にしましょう。植物へのダメージがなく、有機石灰は堆肥や肥料との同時散布も可能で、すぐに種まきや苗の植え付けができます。
草木灰とは
読み方は「そうもくばい」で、主成分はカリウムと石灰分にリン酸やケイ酸なども含まれます。野焼きや焼畑農業など、古くから草木灰の肥料効果が知られています。
草木灰の使い方
意外にアルカリ性が強いので、まきすぎに気をつけましょう。窒素肥料と反応してアンモニアガスが発生する可能性があるので、草木灰を混ぜたら1週間程度寝かせてから肥料分を入れるようにしましょう。

ボタニ子
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まとめ
苦土石灰はpHコントロールや土壌改良だけでなく、ミネラル補給もできる優れた園芸肥料です。上手な使い方のコツを覚えて、花と緑のある暮らしに苦土石灰を活用していきましょう。
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出典 写真AC