ロゼットとは?タンポポでも知られる「ロゼット状」の意味を解説!

ロゼットとは?タンポポでも知られる「ロゼット状」の意味を解説!

ロゼットという言葉をご存知でしょうか?実はロゼットとは、私たちがよく見かけるタンポポなどの円盤状に広がる葉の形の様子です。ここではロゼットとはどういう意味なのか、またロゼット植物の種類やロゼットの形を作るメリットなどをご紹介します。

記事の目次

  1. 1.ロゼットとは?
  2. 2.植物用語としてのロゼット
  3. 3.ロゼット状になる理由
  4. 4.ロゼット型植物の種類
  5. 5.まとめ

ロゼットとは?

Photo by Macleay Grass Man

冬の野草について、「ロゼット」を作るとか、「ロゼット植物」、「ロゼット葉」などという言葉を聞いたことはありませんか?「ロゼット状」、「ロゼット型」などともいわれるのですが、ここではロゼットの意味をご説明します。

ロゼットの意味

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ロゼットとはバラの花びらの配列

植物でよく使われるロゼット(英語: rosette)の言葉の意味は、バラの花びらのような配列の形のことです。ゴシック建築でのステンドグラスのバラ窓、リボンなどで作られたバラの花飾りやバラ結び、他には動物のヒョウのバラ状斑紋にもロゼットの言葉が使われます。

ロゼットとは放射状や螺旋(ラセン)状の意味

植物用語としてのロゼットは放射状や螺旋(ラセン)状の茎や葉の様子のことです。野草の冬越しの姿で、タンポポなどに見られるように、葉を地面に放射状にぺったりつけている状態をロゼットと言います。また個々の葉をロゼット葉とも呼びます。

植物用語としてのロゼット

Photo by Macleay Grass Man

ロゼットは植物用語でよく使われています。ここでは植物用語としてのロゼットについて、くわしくご説明します。

ロゼットを作る時期

植物がロゼットを作るのは冬ですが、すべての植物が冬越しの間ロゼットの形を作るわけではありません。冬の環境に適応するためロゼットの形を作る植物は多年草や越年草です。また宿根草も冬越しするとき、地面近くでロゼットになる種類が多く見られます。しかしタンポポやオオバコのように、暖かくなっても一年中葉の形がロゼットという多年草もあります。

ロゼットとは地面からでている葉の様子

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根生葉(こんせいよう)タイプのロゼット

春先に見かける越年草や多年草には、地面からバラの花びらのように放射状に葉を出す根生葉(こんせいよう)タイプがあります。植物の葉の形態の一つである根生葉は、根本から出る葉のことですが、タンポポやオオバコ、スイセンは実際には地面近くの茎から冬越しのロゼット葉が出ます。

茎生葉(けいせいよう)タイプのロゼット

根生葉に対して地面から茎を伸ばし葉が出てくるタイプは茎生葉(けいせいよう)と言います。ロゼットの葉は成体の様子と違うものもあり、何の野草か種類が見分けられない場合があります。

ロゼット状になる理由

Photo by Macleay Grass Man

ロゼットは、植物の生活の形であり植物の知恵と言えます。ここではその知恵についてご説明します。

光を多く取り入れるため

植物はより光があたるように競合しながら生きています。ロゼットのメリットは、茎の短い植物が他の茎の長い植物との競争に勝つために、できるだけ葉を放射状に広げることで、光を取り入れることにあるのですが、ロゼット葉のメリットを発揮できるような広い場所が必要です。

過酷な環境に耐えるため

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ロゼットを作る植物は茎が短いため、他の大きい植物の影になるような厳しい環境下でも育ちます。タンポポなどのようにアスファルトの裂け目から生えているものもあり、他の植物では生きていけない厳しい環境下に生えていることが多いです。

ロゼットは河原や砂丘などの荒地にも見られる

大きな植物が育たないような生育環境は、その他に川原や砂丘などの荒れ地があります。このような他の植物が育たない過酷な環境下で種子から芽生え、ロゼットの状態で少しずつ成長して、茎を伸ばし、花を咲かせるような植物もあります。オオマツヨイグサなどがそうです。

ロゼットは過酷な高山にも見られる

アフリカやヒマラヤなどの過酷な高山で、1m以上にもなる大型ロゼット植物も見られます。ヒマラヤユキノシタはキャベツに似た葉が螺旋(ラセン)状に茎につき、ロゼットを作ります。

ロゼット型植物の種類

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多年草や宿根草などで、冬越しの間ロゼットを作る植物には、「タンポポ」「オニタビラコ」「コオニタビラコ」「ノゲシ」「ヒメジョオン」「ハルジオン」「ナズナ」「ユキノシタ」「セイタカアワダチソウ」などがあります。

セイタカアワダチソウ

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川原や空き地に群生

セイタカアワダチソウ(英語: Tall goldenrod)は北アメリカ原産の帰化植物です。キク科・アキノキリンソウ属に分類され、9月〜11月に黄色の花を咲かせます。河原や空き地などに群生し、1m〜4.5mの高さにまで成長します。

ロゼットを作って冬越しする

セイタカアワダチソウは多年草の植物で、地面にロゼット状に葉を広げて、短い茎で伸び上がって冬越しします。ロゼット状に広げた葉や短い茎のまま冬越しすれば、冬の時期も葉に日があたるからです。

タンポポ

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都市部に多いのはヨーロッパ原産の帰化植物セイヨウタンポポ(英語: dandelion)です。冬の間だけ寒さから芽を守るためロゼットの形を作り、暖かくなったらすぐに大きく成長するセイタカアワダチソウに対して、タンポポは一年中ロゼットの形のまま過ごします。

まとめ

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冬に地面にあるロゼットの葉を探して、庭や野山を歩き廻ってみることは楽しい植物観察になります。ロゼットにはいろいろな種類の野草がありますので、ロゼットの形だけでは春先にどんな花を咲かせるのか分からないものもあり、花が咲くまでの経過観察もまた楽しみになりますよ。

BigyMidyTiny
ライター

BigyMidyTiny

絵本を作っています。題材は動物や植物なので、スケッチしていると形の美しさや生活サイクルの不思議さに驚かされます。植物を良く観察し、深く知りたいと思います。

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