オーガニックとは?有機栽培の意味・歴史や無農薬野菜との違いもご紹介!

オーガニックとは?有機栽培の意味・歴史や無農薬野菜との違いもご紹介!

オーガニック(organic)ってよく聞くけれど、何かと訊かれると結構曖昧。業界によって定義が違い、誤解も多いオーガニック。本記事ではオーガニックの意味や有機農法の定義を解説します。有機農法の歴史にも触れながら、意味をおさらいしましょう。

記事の目次

  1. 1.オーガニックのイメージ
  2. 2.オーガニック表示の定義と種類
  3. 3.有機JAS規格の定義と意味
  4. 4.オーガニック食品が表示できることの意味=あくまで「生産方法」の規格
  5. 5.農法の変遷とオーガニック
  6. 6.まとめ

オーガニックのイメージ

https://jp.freepik.com/free-photo/flat-lay-composition-of-vegetables-with-copyspace_4676519.htm

オーガニックってよく聞くけど、どういう意味なのかしら?

有機野菜と同じ意味じゃない?

でも、食べ物以外に化粧品や衣服でも「オーガニック」って表示されてることあるじゃない? ひょっとして、すごく曖昧な意味で使われてるの?

うーん、何か定義があるのかなあ?

こんな疑問を抱いたことのある方は多いかもしれません。実は「オーガニック」の定義は農産物、化粧品、衣服で一致していないのです。

イメージを書き出そう

本題に入る前に、オーガニック(organic; 「有機物の」という意味)のイメージを書き出してみましょう。有機野菜、自然、ナチュラル、無農薬栽培などが挙がるのではないでしょうか。「安全な食材」というイメージもあるでしょう。これらのイメージと比べながら、本記事を読んでみてください。

オーガニック表示の定義と種類

農産物ではオーガニック=有機農産物

農産物の場合、オーガニックは有機農法(organic agriculture)で生産された作物を意味します。有機農法は「農林物資の規格化等に関する法律」という法律で定めされた有機JAS規格で定義されています。有機JAS規格には農産物、加工食品、畜産物、家畜飼料の基準があり、これらの品目で「有機」「オーガニック」と表示するには基準を満たさなければなりません。

その他のオーガニック表示

農産物、加工食品、畜産物、家畜飼料・・・。あれ?じゃあ衣服や化粧品に表示されてる「オーガニック」って・・・?

実は、衣服や化粧品のオーガニック表示は有機JAS規格のような法整備が進んでいないのが現状です。定義の明確化や認証制度普及のため、様々な関係機関や団体が活動しています。

信用できる認証制度が無いと、翻弄されるのは消費者だものね・・・。

オーガニックコスメ | エコサート・ジャパン [ECOCERT JAPAN]
オーガニックコスメの認証機関です。
NPO法人日本オーガニックコットン協会
オーガニックコットンの認証制度について解説しています。

以降、この記事では農産物に絞ってオーガニックの解説を進めます。

有機JAS規格の定義と意味

有機JAS規格によって、有機農法とは何かが定義されています。有機農法以外の栽培方法を慣行農法といいます

有機JAS規格を見てみよう

有機農産物の日本農林規格
農林水産省の公式文書です。

有機農法の理念

有機JAS規格の目的は有機農法とは何かをはっきりさせること。有機農法の基本理念は、規格の第二条「有機農産物の生産の原則」に書かれています。難しそうですが、簡単に言えば「なるべく自然に存在するものだけで、環境にダメージの少ない農業を続けよう」という意味。そのための手段として、化学肥料や農薬の使用を避けています。

圃場の管理

肥料や農薬だけじゃなくて、圃場の基準もあるんだね!

圃場の管理

  • 周辺から使用禁止資材が飛来・流入してこない
     
  • 多年生作物では収穫前3年間、それ以外の作物では2年間、使用禁止資材が使われていない

2年以上前から、有機農業専用の畑を用意しなきゃいけないってこと!? 隣の畑から化学肥料が飛んできてもアウトなの!?

思い立ってすぐに始める、ということはできないのね・・・。

有機JAS規格の認定では実地調査もあるので、圃場の管理がずさんだとクリアできません。周辺農家との合意形成も大切ですね。

無農薬・無肥料とオーガニックの違い

オーガニックというと、無施肥無農薬のイメージがあるかもしれません。しかし実際は、状況によって農薬や肥料の使用が認められます。

有機農産上使える農薬一覧

ただし、有機農法はなるべく自然のものを使うコンセプトでしたよね。許可された肥料や農薬も、施用は最小限にしなければなりません。特に農薬散布は緊急時だけ。基本は除草やマルチングで対処し、「農産物に重大な損害が生ずる危険が急迫している場合」のみ一部の農薬使用が認められます。

簡単に言えば「基本的に使わないでね。病気や害虫が出てどうしようもなくなったら、一部のものだけ使ってもいいよ」というニュアンスです。使用を勧めている訳ではありません。

「ややこしさ」解消のための有機JAS規格

無農薬栽培でも、化学肥料を使っていたらオーガニックじゃない。認められた農薬を使っていれば、無農薬じゃなくてもオーガニック。

ややこしいなあ。

そう、ややこしいんです。かつては「無農薬」「減農薬」「ナチュラル栽培」などの表示が多用され、もっとややこしい状態でした。そこで有機JAS規格が作られ、有機農法の定義をはっきりさせて有機野菜やオーガニックの表示に制限をかけたわけです。

オーガニック表示ができることの意味

厳しい規格を乗り越えて、はじめて消費者の元に届くのが有機野菜。規格の厳しさを知ることで、そのすごさがわかります。

スーパーで有機JAS規格の認証マークを見かけたら、それは農家さんの技術力の証明だと思うようにするわ。

オーガニック食品が表示できることの意味=あくまで「生産方法」の規格

基準やルールの話ばかりで疲れるよ。

ですよね。次ページで話題を変えましょう。

簡単に言えば、厳しい規格があるぶんオーガニック食材は安全でおいしい、ということだよね。

うーん、確かに安全なイメージはありますが、オーガニック食材であることを理由に安全とは言えない、というのが実際のところなんですよね。

?どういうこと??

この有機JAS規格、あくまで「生産方法」の規格でしかないんです。規格を読んでいて気づきませんでしたか? 出荷時の品質検査残留物質の許容量など、安全性やおいしさに直結する項目にはノータッチでしたよね?

えっ!?そ、そういえば確かに・・・。

有機JAS規格は生産方法の規格であり、品質規格ではないんです。「オーガニックは安全でおいしい食材」というイメージが、規格の実態から離れて一人歩きしているのは問題かもしれませんね。

規格を絶対視するんじゃなくて、「規格の意味は何か」を僕ら消費者が知ろうとしなくちゃいけないんだね・・・。

はい。規格から外れていても、限りなくオーガニックに近い方法で栽培された農作物だってあります。慣行農法で作られていても、農薬の種類や量が管理・記録されていれば安全性は高いでしょう。規格はあくまで目安のひとつです。

次のページは、有機農法の歴史のお話ね。

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農法の変遷とオーガニック

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