カルシウムを摂ろう
カルシウムは骨や歯のもとになり、人体を構成するうえで欠かせないミネラルです。しかし日本人はカルシウムの摂取量が少ないといわれています。厚生労働省の国民栄養・健康調査では、調査対象者の1日あたりのカルシウム摂取量が目標を下回っているというデータが何年にもわたり出ているのです。カルシウムの不足は体の不調を招く可能性もあり、健康的に過ごすためにきちんと摂取する必要があります。
カルシウムの効果
カルシウムは人体ではおもに骨や、歯のエナメル質に含まれています。その重量は成人で約1kgといわれており、体重のおよそ2%がカルシウムで構成されているのです。カルシウムは歯や骨を形成するだけではありません。一部はカルシウムイオンとして体内に存在し
- 血液の凝固を促す
- 心臓や全身の筋肉の収縮を助ける
- 脳の神経細胞の働きを助ける
1日の摂取推奨量
1日あたりのカルシウムの摂取量は以下のように推奨されています。(単位:mg)
年代 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
10~11歳 | 700 | 750 |
12~14歳 | 1,000 | 800 |
15~29歳 | 800 | 650 |
30~74歳 | 750 | 650 |
75歳以上 | 700 | 600 |
参考文献:日本人の食事摂取基準(2020年版)/厚生労働省
カルシウムが不足すると起こりうること
カルシウムが不足すると、身体にどんなことが起こるのでしょうか。カルシウム不足により起こるとされている症状をご紹介します。
骨粗鬆症
骨粗鬆症はカルシウム不足により骨密度が低下し、骨が折れやすくなる病気です。女性の病気というイメージがありますが、高齢男性にも多く発生しています。少しつまずいただけでも手足の骨が折れてしい、骨折をきっかけに歩行困難や寝たきりになってしまう人も多いのです。日本人の健康寿命を短くしている一因といわれています。
カルシウムパラドックス
カルシウムは心臓の筋肉や神経細胞といった重要な機能に関与しているため、血中の濃度はつねに一定に保たれています。カルシウム濃度が低下すると、生命維持のために骨からカルシウムが補われるのです。カルシウムの摂取不足が慢性的になると骨のカルシウムがどんどん血中に流れ出すようになってしまい、逆に血中のカルシウム濃度が上がりすぎてさまざまな障害を引き起こします。
血液中のカルシウム濃度が高くなると、カルシウムは血管壁に取り込まれ、壁を収縮させます。すると血液の流れが悪くなるので、心臓はより強い力で血液を送り出そうとします。その結果、血圧が上昇し、高血圧になりやすいのです。
高血圧や動脈硬化などの原因にカルシウム不足があり、カルシウムをきちんと摂取することで防げます。すべての高血圧・動脈硬化を予防するものではなく、治療効果が期待できるものではありません。
カルシウムが豊富に含まれる食品
カルシウムが多く含まれている代表的な食品には以下のようなものがあります。
- 煮干しや干しえびなど、丸ごと食べられる魚介類
- ひじきやわかめなどの海藻類
- 牛乳やチーズなどの乳製品
- 豆腐や納豆などの大豆製品
- 小松菜やチンゲンサイなどの青物野菜
次のページからはカルシウムの摂取方法についてご紹介します!
推奨量とは、性別や年齢で分類された人が1日に摂取することでその日の必要量を満たせると推定される量のことをいいます。簡単にいうと、この量を摂取しておけばまず不足はしませんよ、という意味です。