水耕栽培でも根腐れは起こる?
家庭でも気軽に野菜づくりが楽しめる水耕栽培。大切に育てた野菜を収穫するのは本当に嬉しいものです。けれど、栽培途中で根腐れが起こってしまい、野菜の収穫を断念された方もおられるのではないでしょうか。ここではなぜ、水耕栽培で根腐れが起こるのか?その理由や予防法、根腐れから植物を復活させるための治療法をご紹介します。
根腐れが起こる理由
根腐れの大きな原因は酸素不足です。根腐れの原因は「水のやりすぎ」が原因だといわれることもありますが、水のやりすぎが原因ならば、養液の中で根を育てる水耕栽培で「根腐れ」は起こらないでしょう。
植物の仕組み・メカニズム
植物は人間と同じように呼吸をしています。植物の仕組みや、「根・茎・葉」それぞれのメカニズムを知ると、植物にとって、いかに酸素が大切かがわかります。
葉の仕組み 葉は呼吸をしている! |
・根から水を吸収 ・気孔から二酸化炭素を吸収 ・二酸化炭素と水、日光のちからで、でんぷんや酸素を作り出す(光合成) ・気孔から酸素を吐き出す |
茎の仕組み 茎は運搬道路! |
・根から吸い上げられた水分・養分を葉や花に送る ・光合成によって作られたでんぷんを根に送る |
根の仕組み・役割 根は植物の大黒柱! |
・植物全体の支えとなる ・酸素を吸い上げる・二酸化炭素を出す ・でんぷんと酸素でエネルギーを作り出す ・作られたエネルギーで水分・養分を吸い上げる |
水耕栽培で根腐れを予防するには
土栽培では植物を引き抜かない限り、根の状態を見ることはできません。しかし、水耕栽培では簡単に根の様子を観察することができます。日々の成長を楽しみながら、養液が濁っていないか、白い根が茶色になっていないかなど、植物の成長具合を確認し、根腐れを予防しましょう。
アオコ(藻)の大量発生に気をつけよう!
水耕栽培ではアオコ(藻)の発生が頻繁に起こりますが、生きているアオコは植物に悪影響を及ぼしません。しかし、アオコが死ぬと多くの酸素が奪われ、細菌が生息しやすくなります。悪臭を放ち、根は呼吸ができなくなり茶色くなります。水耕栽培ではアオコの大量発生を防止する必要があります。
アオコの発生を防止するには
アオコの発生を防止するには、アオコが成長するために必要な「光」を遮断することです。養液に光が入らないよう、アルミホイルなどで光を遮断すればアオコの発生は抑えられます。また、簡単に洗うことができる栽培容器を使用している場合は、定期的にアオコを洗い流すとよいでしょう。
根や葉の色をチェックしよう!
光を遮断した養液の中にある根は、きれいな白い色をしています。しかし、根の色が茶色く変色してきたときは注意が必要です。根腐れすると根だけでなく、葉の色も黄色くなり、茎にはしわが現れ、植物全体が元気を失います。
エアーポンプを取り入れよう
栽培容器の大きさにもよりますが、可能であればエアーポンプを取り入れて、養液の中に酸素を送り込むとよいでしょう。エアーポンプで酸素を循環させれば、アオコの大量発生は防止できます。根もしっかり呼吸することで、植物の成長もはやくなるでしょう。
水耕栽培で根腐れが起こったら
根腐れは植物の病気です。早めに治療を施せば、植物は元気を取り戻し復活するでしょう。しかし、根腐れをそのままにしておくと、やがて植物は枯れてしまいます。人間の病気と同じで、早めの治療が植物にも必要です。
根腐れの治療法
万が一、根腐れの症状が見受けられた場合は、養液から植物を取り出し、まず茶色く変色した根の部分を切り取りましょう。根腐れになると、十分な酸素が枝や葉に送られません。そのため、枝や葉も弱ります。黄色く変色した葉や、元気のない枝をカットし、少しでも早く新しい根を再生させることがポイントです。復活させるのは無理だと諦めず、適切な治療を施せば、植物は元気を取り戻してくれます。
新しい根が再生するまでは水栽培で育てよう!
根腐れした部分をカットしたあとは、根が再生するまで「水栽培」で育てるとよいでしょう。カットした根の部分は傷ついているため、細菌も入りやすく、肥料が入った養液で育てると根に負担がかかるからです。また、根が再生するまでには少し時間が必要ですが、完全に枯れていないのであれば、復活させることは可能です。
水耕栽培で野菜づくりを楽しもう!
水耕栽培は、栽培容器とスポンジなどの培地、養液さえあれば、誰でも気軽に野菜づくりが始められます。とくにレタスなどの葉菜類は、水耕栽培との相性がよく、野菜づくりがはじめての方にもおすすめです。また、ミニトマトなどの果菜類も水耕栽培できますが、大きく成長するため、栽培場所を考えて育てる必要があります。根菜類に関しては、栽培できないわけではありませんが、難易度はかなり高めです。
水耕栽培で育てやすいレタスとは
水耕栽培で育てやすい野菜といえば「レタス」です。レタスには結球するものと、結球しないものがありますが、栽培しやすいのは結球しないレタスです。サニーレタスやグリーンリーフ、サラダ菜などが結球しないレタスです。結球するレタスは、栽培時の気温・天候がとても重要なため、種蒔きの時期や、温度管理が難しく、育てられないことはありませんが、しっかりとした管理が必要になってきます。
まとめ
水耕栽培はとても魅力のある栽培方法です。土栽培では見ることのできない「根」の観察ができ、植物のメカニズムを知ることで、病気の治療も施しやすくなります。何より、自分で育てた野菜ほど美味しいものはありません。葉菜類・果菜類・根菜類にいたるまで、試行錯誤しながら、野菜づくりをするのはとても楽しいものです。是非、いろいろな野菜作りに挑戦してみてくださいね!
植物のメカニズムを知ると、病気の治療も施しやすくなります!