気根とは
気根とは、植物の地上の茎もしくは付け根にあたる部分から空中に生える根のようなものです。写真の植物の芋根から生えている、白い細長い糸のようなものを気根と言います。気根が生える原因にはいろいろな意味や役割があります。
気根はなぜ生える?
気根はなぜ生えるのかの原因と意味をみてみましょう。気根が生える意味には大きく分けて2つあります。1つは空気中の水分を取り込もうとする役割で、もう1つは植物の幹を支えるという役割があります。その他にも環境や状態により生えてくる事があります。
気根はなぜ生えるのかの理由
気根の生える植物の多くが熱帯亜熱帯植物で、高温多湿の中で空気中から水分や栄養をとり込み生きてきました。温暖湿潤気候の日本にきても、なぜか梅雨時気根が増えるのはその名残です。
気根は空気中の水分や栄養を取り込むために生える
高温多湿の地域で育った植物の多くは空気中から水分や栄養を取り込めると気づき、気根をはやします。日本では特に梅雨時期急成長するのはそのためです。
気根は幹を支えるために変化する
最初は水分を取り込めると生えた気根も、植物が大きくなると共に気根も太く伸ばし、地面に接すれば地中に潜り込みます。地に土台を築くと、ますます成長し特に樹木類は木の成長と共に幹を支える支柱に変化します。これらを気根の中の支柱根といいます。
その他の原因によりはえる意味
その他にも、鉢植えなど根がはりすぎて行き場がなくなったり、地中の水分が少なくなると気根が生えたりする場合があります。また強風にあおられて軸が傾いたりすると、そのバランスをとるために片側だけに生える事もあります。
気根が生える植物
花類
シンビジューム、デンファレ、胡蝶蘭など花物観賞用の植物からは気根が生えます。東南アジアでの蘭類の多くは、気根と共に根が樹木や石に絡まった状態で自生しています。湿度の高い空気中から水分を取り込み、同時に垂れ下がるように張り付いていることが多いです。
観葉植物類
モンステラやポトスなど葉物観賞用の観葉植物からも生えます。つる性植物の多くも気根と根を樹木にからめて自生しているものが多いです。アイビーなどでも地中の水分が少ないと生きるために生やす事があります。
樹木類
ゴムの木やガジュマルの木などは、常緑高木で根を紐のようにたらし写真のカーテンのような姿になります。日本では、小さい手のひらサイズから売っていますが、条件がそろうと巨大な高木になり、気根の役目も空気中の水分補給の他に、幹を支えるようにもなります。
その他
気根の中の支柱根
とうもろこし、ひまわり、サトウキビなど、直立で高く育つ繊維質の幹を強風などから守るために、根本からタコの足のように八方に生え地中に潜り、幹を支える役目が強い気根もあります。ひまわりは一頭立ちに多く、サトウキビは2年目から生える事が多いです。
気根の中の呼吸根
マングローブや沼杉などが大きく成長すると、湿った土地から生える幹のような気根を伸ばします。これは水中もしくは湿り気の多い地中では酸素を取り込む事ができなくなり、酸欠を防ぐために地上に生え呼吸をしようとする事から、呼吸根と言われます。
気根の定義
空中に露出している根の総称です。
気根の扱い方
気根を増やしたいなら
ビニールハウスやガラスケース内に高温多湿の環境を作ってあげると、喜んでたくさんの気根を生やします。1鉢でしたら、霧吹きをかけビニール袋などを上からかぶせてあげると増えます。条件は気温25℃以上湿度70%以上です。熱帯気候のような環境を再現してあげると急成長します。
気根が生えるのが嫌なら
気根が生えるのが嫌な方は、霧吹きはせず定期的に地中に水を与えてください。植物にとっては活性化せず冬眠状態のような環境にすると、ほとんど生えなくなります。気温15℃以下、湿度50%以下です。ただ熱帯植物にとっては過酷な環境になるので、耐寒性以外は気温が5℃を下ると枯れやすくなります。
気根は取り除いてもいい?
できれば気根は自然に生やしたいところですが、見た目が気になるのであれば根本から切り取ってください。切るときは、水下がりの春先がいいでしょう。梅雨時切ると切り口から水がでたり腐りやすくなるので注意しましょう。
気根付きの株分け
贈答用などの売られている植物は、姿をデザインされている
お祝いなどで頂く鉢植えの蘭などは、置いて飾やすいように鉢植えで花首を人工的に曲げスタンド型にしています。ポトスやモンステラなどの葉物もそのままでは広がってしまったり高さが出ないので、編込みや支柱仕立てにしています。
気根付きの株分け(蘭類)
鉢植えスタンド仕上げ
気根が伸びたのは成長のあかしですが、見た目が気になるようでしたら、一回り大きな鉢に植え替えるときに、気根を全て根本から取り除きます。株の太い物は子株を葉の出に沿って裂き、根に水苔を多くかませ、呼吸できるような素焼きの鉢にして、一度鉢ごと水につけ水揚げします。その後は鉢内で呼吸ができるように乾かしてあげましょう。うえかえは5~6月が良いです。
自然に飾る
鉢から外し気根をつけたまま、根に水苔を絡ませ枯木などに貼付けます。その枯木ごと柱などに掛け、霧吹きで水分をたっぷり与えてください。それには温室が必要ですが、熱帯気候を再現した環境内ですと、根は露出させたほうがいきいき育ち気根も大きく伸ばし、自生しているような自然の姿に戻ります。
気根付きの株分け(観葉植物の草類)
株立ちは鉢植え仕立て
モンステラやアンスリウムなどの株の太いものは根分けして植え替えます。基本的に蘭類と同じように株分けします。気根が多いときは根が詰まっていることが多いので、子株を分けましょう。
つる性は鉢植えか誘引
ポトスなどつる性植物はほおっておくと気根を使って張り付きながら伸びていくので、伸ばすなら土台をつくり誘引します。伸ばしたくない時は、気根を根本で切りとり、同時に芯枝を切り取ります。もしくは切り戻して挿し木にするとたくさん増せます。
気根付きの扱い(観葉植物の樹木類)
基本的に鉢植え
ガジュマルなどの木は、手のひらサイズから売っていますが、成長が早く大きくなるに連れ気根も増えます。高木にしたいなら成長に合わせ鉢を大きくしていきますが、大きくしたくないなら2年目の植替えから根切りをします。気根も根本から全て取り除き、根も先端を切り落とします。あわせて葉付き枝の剪定もしてください。
盆栽仕立て
ちょっと変わったところでは、気根を好きな向きや方向に針金やテグスで巻き枝のように仕立てる方法もあります。いわゆる盆栽仕立てです。石をかませたり苔をはるとまた違った楽しみができます。
樹木系の株分け
樹木を株分けするとは言いませんが、増やすなら一枝切り挿し木にするか、水さしして根を出させるかで増やします。ちなみにガジュマルは挿し木の場合太い茎根にはならず、立ち枝になります。
まとめ
気根の定義
気根とは、地中に生える通常の根と区別したものです。気根の生える場所は蘭類の多くはバルブの付け根から、つる性は茎の節目から、繊維質樹体は浮根から、樹木類は茎根から生えることが多いです。
気根の定義に含む分類
気根は、根を伸ばし水分を取り込み栄養とする役目(吸水根)、から木や岩に絡ませたり地中に潜り支える役目(結束根、支柱根)、湿地帯から生えガス交換や酸素を取り込む役目(呼吸根)、と成長とともに変化します。地中根からの栄養補給の補助的器官でもあり、環境とともに変化します。
気根を楽しむ
気根の生える植物の多くは、もともと高温多湿の環境に生きてきた種類なので、同じような日本の梅雨時期の気候を好みます。またその時期に気根を増やし植物自体も活性化し成長します。気根が増える野性味のある植物を楽しみましょう。