鶏糞とほかの肥料の違い
鶏糞のほかにも有機肥料はたくさんあります。中でもよく使用されるのは、牛糞と油粕です。
牛糞の特徴と使い方
牛糞とは、牛の糞に藁やおがくずなどを混ぜて発酵させて作られた有機肥料のことをいいます。長くゆっくり効くのが特徴で、栽培期間の長いナスやピーマンなどの野菜との相性がよい肥料です。施肥料は1㎡あたり2kg~3kgほどで、主に元肥として使われます。牛糞と鶏糞の役割の違いを生かし、混ぜ合わせて使うと効果的です。
鶏糞と牛糞の違い
鶏糞 | 牛糞 | |
栄養素含有量 | 多い | 少ない |
におい | 普通~強め | ほぼなし |
効き目 | 短い | 長い |
鶏糞は栄養素が豊富なため、植物の成長のために施されます。牛糞の栄養素は鶏糞の半分ほどしかありませんが保水性や保肥性に優れ、土中の微生物の働きを活発にする働きを持っているため、主に土壌改良のために使われます。発酵が不十分な鶏糞が強いにおいを放つのに対して、牛糞はにおいがありません。
油粕の特徴と使い方
油粕とは、油を搾った残りかすのことで、有機肥料のひとつです。主に製油工場の副産物として生産されています。リン酸やカリウムに比べて、窒素の含有量が多いのが特徴です。油粕の液肥は、原液では強すぎるため、約5倍に薄めて使用しましょう。
鶏糞と油粕の違い
油粕に豊富に含まれている窒素は、葉や茎が大きくなるのに欠かせない栄養素であり、特に幼苗期に重宝されています。長くゆっくり効果が続くのが鶏糞との大きな違いで、追肥の必要がなく使いやすいです。油粕は発酵具合によって使用時のにおいが気になるものもありますが、土に混ぜ発酵する段階でほとんど消えてなくなります。
鶏糞 | 油粕 | |
栄養素 | バランスがよい | 窒素が豊富 |
におい | 普通~強め | 発酵と共になくなる |
効き目 | 短い | 長い |
鶏糞のメリット・デメリット
メリット①安全性が高い
日本で販売されている鶏糞のほとんどは、養鶏場のニワトリの糞が使用されています。日本の養鶏場で与えるエサには、抗生物質などの薬品の使用が許可されておらず、糞にも不純物が入りにくく安全性が高いといえるでしょう。化学物質が含まれていないので、有機栽培にも重宝されています。
メリット②バランスのよい栄養素
鶏糞の中でも特に土に混ぜた後発酵するタイプのものは、土の中で微生物の働きがよくなるため栄養素が増加します。もともと含まれている成分のバランスがよく、植物が効率よく栄養素を吸収できるため、有機肥料の中でも人気が高いです。
メリット③においが控えめ
鶏糞ペレットは発酵が未熟なため、使用と共においが増しますが、ほかの有機肥料に比べるとにおいは控えめです。完熟タイプの発酵鶏糞はさらににおいが抑えられ、炭化鶏糞になるとにおいがほぼ気になりません。「ベランダなどで家庭菜園に有機肥料を使いたいけれどにおいが気になる」というかたには、炭化鶏糞がおすすめです。
デメリット①土質改善には使えない
鶏糞は栄養素が豊富ですが、土の中の腐植質を増やす働きを持っていないため、土質改善効果は期待できません。植物に与える肥料としては十分ですが、同時に土壌改良をしたい場合はほかの肥料と混ぜ合わせて使う必要があります。
デメリット②効果が切れるのが早い
鶏糞は効き目が早いという特徴がありますが、肥料切れが早いというデメリットを持っています。鶏糞の効果の持続期間は約1カ月です。肥料を好む植物や生育期間の長い植物に使用する際は、約1カ月ごとに追肥が必要です。
デメリット③発育不良を起こすことがある
鶏糞は土の中で発酵する際に、尿酸も一緒に発生させます。尿酸は植物に必要なアンアンモニアや硝酸に変換され、即効性もあるため、植物の成長をコントロールできる有機肥料として欠かせません。ただし、量が多すぎると肥料焼けや植物の発育不良の原因になるため、施肥量をきちんと守りましょう。
デメリット④酸性土壌を好む植物には使えない
鶏糞の発酵途中に発生するアンモニアはアルカリ性が強いです。元肥や追肥などで鶏糞をしようすると、土壌はアルカリ性に傾きます。ブルーベリーやサツマイモなどの酸性土壌を好む植物には使えないため注意してください。
まとめ
鶏糞は、栄養バランスに優れ、植物の成長の手助けとなる有機肥料です。メリットやデメリットを理解し使い方のコツさえ掴めば、ベランダ菜園から庭や畑での家庭菜園まで、さまざまな場面で活躍します。鶏糞を上手に活用しながら、野菜や果物作りを楽しんでくださいね。
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出典:写真AC