はじめに
幅広い世代の人に愛されるチューリップは「春の代名詞」と称される花といえます。花壇やプランターでチューリップの球根を育てる方は多いようです。チューリップは園芸ビギナーの方にも、比較的育てやすい植物です。そんなチューリップの順調な発芽から開花に向けた球根の選び方や植え方、病気にならない育て方について紹介します。
チューリップの球根の選び方
チューリップは球根内の栄養で花を咲かせる植物で、病気にならない球根選びが重要です。小球性の品種は小さな球根でも開花しますが、一般的には球根は形がきれいで大きく、重いものが「よい球根」といわれています。球根を持ったときにずっしり重みがあり、表面が凸凹のないものを選びましょう。球根の標準的な大きさは約11〜12cmで、6cm以下の大きさの球根はおすすめできません。
チューリップの球根の植え方
チューリップの球根は、鉢植えでも庭植えでも育てられます。チューリップが好む環境は、日当たりと風通し、水はけがよい場所です。そのような場所を選んで育てましょう。またチューリップは品種により花丈や開花時期、花の色が異なります。見栄えや開花時期を考慮し、植える球根にあった最適な場所を選びましょう。
球根を植えるのに最適な土
チューリップは土中に張り巡らせた根から、呼吸や水分・栄養を吸収し、乾燥から身を守りながら成長するため、土選びが重要です。「水はけ」「水持ち」「通気性」「保肥性」のよい土を選びましょう。また古い土は水はけが悪くなりがちで、病原菌や害虫の危険性があります。市販の草花用培養土や「球根用の培養土」「チューリップ用の培養土」の購入がおすすめです。
球根を植える向き
開花するときに美しく見えるよう、球根を植える際に向きを揃えることをおすすめします。球根は尖った部分を地上側に、平らな部分を地下側にしましょう。大きな葉は球根の平らな部分から出てきます。平らな部分を外に向け平行に、球根を1〜3個分の間隔で、球根約3個分の深さに植えましょう。そうすることで発芽後に葉が大きく育っても球根同士がぶつかることなく、開花時の花の向きも揃います。
消毒方法
チューリップの球根の消毒は植え付け後にはほぼ必要ありません。植え付けた球根がカビたり、ネダニ被害にあうことが心配な場合は、植える前に球根を消毒しましょう。使用する薬剤は「オーソサイド」「トップジン」「ペンレート」「マラソン」などがよく用いられます。薬剤の種類にもよりますが、球根をネットに入れて薬剤に浸し、陰干しにします。乾いてから球根を植えてください。
ボタニ子
次のページでは、植える時期や管理について見ていきます!
チューリップの球根を植える時期
球根は9月の早い時期から店頭で手に入りますが、暑さに弱いため早い時期に植えてはいけません。球根にとっての適温は約10〜15℃です。土の温度がそれくらいに下がる時期を待って球根を植えましょう。球根を植える時期は、一般的に「暑い季節を過ぎた紅葉の見頃のあたり」といわれています。寒さには強く植える時期が多少遅れても問題ありませんが、あまり遅れると開花しなくなります。遅くとも年内には植えましょう。
チューリップの球根を植えた後の管理
チューリップの球根は植えた後の管理次第で、発芽や病気にならず冬を越し、春にきれいに開花させられるかが決まります。紅葉の時期に植付けた後、低温(約5℃)で6〜8週ほど土の中で過ごすことが、開花には必要です。毎日チューリップの様子を観察しながら育てましょう。特に気をつけたいのが、以下でご紹介する水管理です。
水やり頻度
植え付け後の約2週間は球根が水をたくさん吸い込み、根がすくすく成長する時期です。たっぷり水を与えましょう。冬は乾燥しやすく、水やりを忘れると水を吸収する力が弱まり開花しなくなってしまいます。また、加湿は根腐れの原因にもなるため、栽培状況に応じた適切な水管理を見極めましょう。
水やり頻度①鉢植えの場合
鉢植えやプランターで育てる場合、土が乾いたら午前中に鉢下から水が出るくらいたっぷりの水をあげます。夜間の水やりは、冷たい夜の外気で球根が冷えて凍ってしまうことがあるためおすすめしません。また水の与えすぎは、球根が腐ったり病気にかかったりする原因になります。乾燥させすぎず、加湿にしない適度な水やりが大切です。
水やり頻度②庭植えの場合
庭植えで育てる場合、植付け時に水やりをする以外は、水やりの必要はありません。雨などの自然環境で土の湿度はある程度は保たれるからです。そうとはいえ、冬は乾燥が気になる季節です。土の表面をよく観察し、降雨がなく乾燥が気になるときには水やりをしましょう。
まとめ
チューリップの開花のためには、球根選びや土選びから始まり、日々の観察やお手入れが欠かせません。手間暇かけて育てた分、チューリップが開花したときの喜びも大きいといえます。ポイントを押さえて、春に美しいチューリップを咲かせましょう。
出典:BOTANICA