キクザキイチゲの特徴
キクザキイチゲ(菊咲一華)はキクザキイチリンソウとも呼ばれ、本州の近畿地方から北と北海道地方に分布する多年草の高山植物です。広葉樹の林に生育し早春に白や紫の菊に似た花を咲かせます。若葉が茂る季節になると地上部分は儚く枯れて地下茎が生き残り、翌年も同じ場所で開花します。
開花時期は3~5月の早春
キクザキイチゲは、雪解けが終わった3月の早春時期から開花する「スプリングエフェメラル」と呼ばれる花々の一種です。高さは10~30cm程度と低く、菊のような花が茎に1輪のみ咲くのが特徴です。花の色は白か紫色で、群生のため生育地は絨毯のような可憐な花畑が広がります。
キクザキイチゲの花の形
キクザキイチゲは花茎の先端に直径3cm程度の花が1輪のみ咲きます。また花弁の形状は線状楕円形で、花弁の数は1輪あたり10枚前後です。雄蕊、雌蕊は1輪に多数あり、果実は小さく金平糖に似た形状です。
キクザキイチゲの葉の形
キクザキイチゲの茎葉は3個輪生し、小葉の形状は羽状で深裂して鋸葉があります。長茎に2回3出複葉です。花の時期が終わり夏になると、茎葉もすべて枯れて地下茎のみ残ります。
一年のほとんどが休眠期
寒さに強く、早春に芽吹いて白や紫の花を咲かせるキクザキイチゲですが、1年のほとんどが休眠期です。初夏の季節になると地上に出ている部分は枯れてしまいます。そのまま夏~冬までずっと休眠期で、地下茎のみの状態です。
キクザキイチゲの毒性について
キクザキイチゲはキンポウゲ科の植物で、有毒です。山菜取りで野山に分け入った際によく見かける植物ですが、皮膚炎や胃潰瘍を起こす可能性があるため食用は避け観賞用にとどめましょう。
キクザキイチゲの育て方
野山に生育するキクザキイチゲですが、家庭での生育も可能です。野山から移植はせず、園芸店で購入した苗から育てるとよいでしょう。春先によく日が当たり、夏場は日陰が望ましいため生育場所は落葉樹の根本がおすすめです。
植え付けは地植えと鉢のどちらでもOK
移植を嫌う性質もあるため地植えか大きな鉢で育て、植え付け後に移植するのはやめておいたほうがよいでしょう。夏になると地上部が枯れてしまい休眠するため、下部を太らせる時期は地上の花や葉がある春~初夏に油粕などをまくとよいでしょう。
アズマイチゲとの見分け方
よく似た植物としてあげられるのが「アズマイチゲ(東一華)」です。こちらもキクザキイチゲと同じくキンポウゲ科の一輪草で開花時期は同じく3~5月の早春です。10~20cm程度の高さに白い花を咲かせます。
見分け方は花色と葉っぱの形状の違い
花色が白と紫のキクザキイチゲに対して、アズマイチゲの花色は白のみです。また、見分け方のポイントは葉っぱの形状にもあります。葉っぱの切れ込みが深く羽根状なのがキクザキイチゲ、アズマイチゲは葉っぱの切れ込みが浅く垂れ下がるような葉っぱの形状が特徴です。
アズマイチゲも1年のほとんどが休眠期
キクザキイチゲとアズマイチゲは1年のほとんどを地下茎のみで過ごします。春の訪れを告げ、夏になると姿を消すリズムが似ていることも「よく似た植物」といわれる理由です。
キクザキイチゲの花言葉
キクザキイチゲの花言葉は「追憶」です。シーズンが終わると儚く消えるキクザキイチゲは1年のほとんどの間、姿を思い出に偲ぶ形でしか見られません。キクザキイチゲの花言葉は、懐かしく姿をしのぶ親しい人に贈るのにぴったりといえます。
まとめ
早春の野山に群生して白や紫の花が1輪だけ花茎につくのが特徴のキクザキイチゲは、春の訪れを告げる花としてメジャーです。ハイキングで見かけた際にはぜひ写真におさめてくださいね。
出典:BOTANICA