アブラナってどんな植物?
アブラナは油を採取するための植物
『アブラナ』と聞いてどんな漢字を想像しますか?『油菜』とほとんどの人が答えることでしょう。その通りアブラナは、油を採取する為に栽培された植物です。アブラナの分類はアブラナ科アブラナ属で、和名は『菜種』です。特徴としては、春の季節に黄色い十字形の花をつける、草丈1mほどの二年生植物(種をまいた翌年に開花、結実する植物)です。このアブラナの種子から採れた油を一般的には菜種油とよんでいます。
アブラナの種子から採れる菜種油
アブラナの種子からとれる菜種油ですが、現在はセイヨウアブラナから採取することが主流となっています。スーパーなどでよく売られている菜種油を精製したキャノーラ油とは違い、圧搾法で絞られた菜種油には独特の香りがあり、好き嫌いが分かれるところです。日本で作られる食用油の6割は菜種油といわれています。
アブラナと菜の花の違い
菜の花はアブラナ科アブラナ属の植物の総称
えっ?これってアブラナですか?いつもは菜の花って呼んでますけど
むずかしいでしょうか?ではヒントを出しましょう。下の4つの画像を見てから答えて下さい。
カブの花【アブラナ科アブラナ属】
ブロッコリーの花【アブラナ科アブラナ属】
キャベツの花【アブラナ科アブラナ属】
白菜の花【アブラナ科アブラナ属】
4つとも同じに見えたんですけど、全部違う野菜の花なんですね。
そうなんです。だからアブラナ科アブラナ属の植物の花の総称として、すべてを『菜の花』と呼んでいるんです
じゃあ、正解は菜の花でいいんですね!
そうです。アブラナ科アブラナ属の植物は30種ほどあるんですよ
そんなにあるんですね!菜の花って今まで全部同じ植物だと思っていました。ということは、冒頭で説明のあった「アブラナ」というのは総称で、「アブラナ」という名前の植物はない…?あれ?
いいえ、アブラナも『菜種』という植物の品種の一つです。学名として『Brassica rapa subsp. oleifera』という名前がついていますよ。そしてアブラナも他の植物たちと同様にアブラナ科アブラナ属の植物として、菜の花と呼ばれているんです。
菜の花と呼ばれるアブラナ科アブラナ属の植物
アブラナ科に分類される植物は300種以上。そのうち菜の花と呼ばれるアブラナ科アブラナ属に分類されるものは30種ほどあり、そこからさらに栽培品種が作り出されています。よくみかける野菜では、キャベツ・ブロッコリー・カブ・水菜・チンゲン菜・小松菜・白菜・野沢菜といったところでしょうか。アブラナ属の植物は、つぼみと葉や茎は菜花として食用に、種は植物油、花は観賞用にと人々の生活に欠かせないものとなっています。
アブラナ科の植物【菜の花】の生態
菜の花の葉
今度は菜の花の葉の違いを見比べてみましょうか
菜種の葉
水菜の葉
ブロッコリーの葉
キャベツの葉
これは随分違いがありますね
そうですね。花と違い、菜の花の葉の特徴は「これです!」と一概にいえるものではないんですね
菜の花のつくり
春の季節に開花するアブラナ属の花ですが、その特徴は十字型についた花弁が4枚、雌しべが1本、雄しべが6本となっています。花は花茎の先端にまとまって付き、下から順に咲き上がっていきます。一般的に菜花といわれている品種の中でも、つぼみを食用とするのは在来種(和種)になります。また河川敷や空き地などに群生している品種は、セイヨウアブラナかセイヨウカラシナであることがほとんどです。
菜の花の実
花が終わると下から順に莢(さや)ができあがっていくので、上の方はまだ花が咲いているのに、下では種ができ始めているという成長過程を同時進行で見ることができます。縦に裂ける莢の内部は二つに分かれていて、中に入っている種子は直径2mmほどになります。
菜の花の種子
アブラナの種子は莢が茶色く乾燥し始めたら、花軸ごと抜いて天日で乾燥させます。実が熟し過ぎてしまうと莢が自然に割れて中の種子が飛び出してしまうので、収穫のタイミングには注意しましょう。油の採取用のセイヨウアブラナは黒い種子で一般的に黒種と呼ばれ、在来の菜種の種子は赤褐色であることから赤種と呼ばれています。
アブラナ科の植物【菜の花】の開花時期
観賞用と食用の時期
菜の花の開花時期は観賞用と食用で違ってきます。暖地にお住いの場合、公園やイベント広場などで『菜の花祭り』などと銘打って観賞会が開催されているのを目にしたことはありませんか?この場合の観賞用の菜の花の開花時期は、早咲きのものでは12~1月からスタートします。採種や野菜としての収穫を目的とした標準的なものの開花は4月ころ。下記に標準的な菜の花の1年を表としてまとめました。
菜の花の一年
9月下旬 | 種まき | 直根性で移植を嫌うため、直巻きにする |
11月 | 間引き・追肥 | 苗が20~30㎝間隔になるようにする |
2月 | 追肥 | 成長が再開するタイミングで追肥をする |
4月 | 開花 | 花は下から順に咲き上がってくる |
6月 | 採種 | 花のあとの莢が茶色く乾燥したら採種時期 |
品種改良された早咲きの菜の花のイベントもあちらこちらで見られるようになり、春の桜と同じころに咲くイメージだった菜の花の開花時期も、人によっては「1月になったら菜の花を見に行こう!」に変わってきたかもしれませんね。
アブラナ科でも属性の違うダイコン属
大根の花【アブラナ科ダイコン属】
上の画像は大根の花です。色は異なりますが、4枚の十時状の花弁などはアブラナ科アブラナ属の花とよく似ていますね。大根はアブラナ科ダイコン属に分類される植物です。通常ですと開花するまで放置すると大根の根茎の味が落ちるので、花が見られる機会はあまりありませんが、欧米では観賞用に栽培されているものもあります。
まとめ
ブロッコリーやキャベツなど、アブラナ属には馴染みの多い野菜がたくさんありました。河川敷や空き地に群生する菜の花や畑で収穫を待つ菜の花など、季節を感じさせる黄色い菜の花の正体がこんなにもたくさんあったとは驚きですね。また、品種改良により開花時期の幅も大きく広がりました。これからも菜の花は進化していくのかもしれませんね。
問題です。上の画像は何の植物の花だと思いますか?