タカサゴユリ(高砂百合)とは?
タカサゴユリは、美しい花をつけるユリの一種です。繁殖力が強く、荒野や海岸沿い、低地、高知至るところで見られます。台湾から園芸用に輸入された外来種であり、繁殖させすぎると日本固有種のユリに影響を与えてしまう可能性があるのです。
タカサゴユリの基本情報
分類 | ユリ科ユリ属 多年草 |
学名 | Lilium formosanum |
別名 | 台湾百合 新鉄砲百合 細葉鉄砲百合 |
分布 | 草地や道端 台湾からの外来植物 |
開花時期 | 7月〜9月 |
タカサゴユリの特徴
大きな特徴は、ラッパ状で白に紫色の線の入った花です。また、葉のつき方や形も独特で、細い葉が鱗状に生えています。背丈が高く最大で1.5m程まで成長します。生命力は強いですが連作には弱く、同じ場所では何年も育たないということも大きな特徴です。繁殖力が強く、植えた覚えのない庭に突如花を咲かせる場合もあります。道路や道端、海岸沿いや山などの至るところで野生のタカサゴユリを見かけるでしょう。
テッポウユリとの見分け方
花の柄の違い
テッポウユリの花は純白です。これに対して、タカサゴユリの花には紫色の筋が入っています。
葉の細さの違い
テッポウユリの葉は、笹の葉の様な少し広めな形をしています。これに対して、タカサゴユリの葉はかなり細めです。
その他の見分け方
他にもテッポウユリよりも茎が太く、丈が長い、花が少しだけ下に傾くのがタカサゴユリの特徴であり、見分け方です。しかしテッポウユリとの交配種が確認されており、上記の特徴が混ざっている種が存在します。外見からの判別は難しいというのが結論です。タカサゴユリの特徴が多く当てはまったらタカサゴユリとして育ててあげましょう。
タカサゴユリの育て方①成長速度、開花時期
タカサゴユリは種が発芽し、丈が伸びて花が咲くまでに2〜3年かかります。ユリのなかでも開花までの成長期間が長い植物です(テッポウユリは9カ月程)。そのため、市販ではすでに苗まで育成させた状態で売られていることが多いようです。球根の成長具合が安定した時期からの育成なら植えてから半年程の成長期間を置けば、開花時期である7〜9月に間に合わせられます。
タカサゴユリの育て方②植え付け
タカサゴユリは雑草のため、自然に生えてきたものを育てるケースも多いでしょう。しかし、通販で苗や球根を購入できます。タカサゴユリは基本あまり手がかからなく丈夫な球根植物ですが、より元気に成長させるために、育てる際の注意点や管理方法を確認しておきましょう。
苗からの育て方
苗を購入したら鉢や地面に植え付けましょう。日当たりのよい場所に植え付け、日光を十分に当てることがポイントです。また、ユリの球根は乾燥に弱く、購入したらできるだけ早く鉢や地面に植え付けましょう。球根の植え付け適期は10~11月頃で、植える穴の深さは30cmが目安です。ユリの球根は上方向にも「上根」と呼ばれる別の根が生え、これも養分確保に重要な役割を持っています。しっかり土の中に埋めてあげましょう。
苗の植え方
鉢植えの場合の手順
- 鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷く。鉢の上端から球根2~3個分の深さを目安に培養土を入れる
- 培養土の上に球根を並べる。球根同士の間隔は、球根1~2個分を目安にする
- 球根の上に覆土をして、植え付け完了
地植えの場合の手順
- 植え付ける場所を決め、球根2~3個分の深さを目安に穴を掘る
- 穴に球根を並べ、植え付け間隔は球根2~3個分を目安にする
- 球根の上に覆土をして、植え付け完了
タカサゴユリの育て方③水やり
水やりのタイミングは、鉢植の場合は「午前中にたっぷりと1回」、地面に植えた場合は「植え付けた初日のみ1回」です。地面に植えた場合は、地中の水分量のみで十分な水分を確保できます。球根は湿らせすぎると腐ってしまうため、鉢植の場合1度水やりをしたら翌日まで放置がベストです。日照りが続いて乾燥が目立つ場合は水やりを増やしてもよいでしょう。
タカサゴユリの育て方④日当たり
タカサゴユリの生育は、日当たりが大切です。種まきのタイミングではそこまで日光は必要ありませんが、苗の段階からは十分な日当たりが必要です。植え替えのときも日当たりは忘れずに意識しておきましょう。
タカサゴユリの育て方⑤肥料
苗や球根育成のタイミングで肥料を使う場合は、長くゆっくり効くタイプの「緩効性肥料」がおすすめです。芽が出たら追肥をし、花が咲いたらもう1度、緩効性肥料を追肥する程度がベストです。肥料を過剰に与えると、根が肥料やけを起こし傷んでしまう場合があるため、肥料を与える際は注意書きをよく読んでください。使用量を守って与えるようにしましょう。
タカサゴユリの育て方⑥植え替え
鉢植えの場合
鉢のなかの土は栄養がなくなっていき劣化していくため、毎年土を交換する必要があります。タカサゴユリは背丈が高く抜くのが大変ですが、根に絡まった土を水分でほぐしながら植え替えましょう。
地植えの場合
地植えの場合は、土が劣化し栄養がなくなることはあまりありません。しかし、地中の栄養バランスや環境が変わっていき、タカサゴユリが育たなくなっていきます。1年に1回は植え替えを行うのがベストです。
植え替えのタイミング
植え替えのタイミングは、球根がよく育っている状態のときです。開花後に茎の葉が黄色に変色してくるタイミングを目安に、球根を傷つけないよう周りの土から掘り起こし植え替えましょう。球根は簡単に崩れてしまうため、取り扱いには注意が必要です。
タカサゴユリの育て方⑥種子の管理
開花後、花が枯れてくる時期になると子房が乾いて種子が弾けて飛びます。種まきを行う場合は弾ける前に種を回収しましょう。種まきを行わなくても、庭をタカサゴユリだらけにしたくない場合や、近隣にガーデニングに力を入れている庭がある場合も要注意です。また球根植物は根も強いため、育ってしまうと引き抜くのにかなり労力がいります。
野生のタカサゴユリを育てる場合
自然に発生した、野生だったタカサゴユリも育てることは可能です。苗で購入したときと同じように育ててあげましょう。タカサゴユリは雑草ということもあり丈夫なため、基本的に細かな管理は必要ありません。野生で育っていたタカサゴユリも同様です。それでも、できるだけ立派な茎、花に育てたいときは肥料や水やりに気を配ってあげましょう。
タカサゴユリを育てるときに気をつけること
連作障害を忘れないこと
連作障害とは、同じ植物を何年も同じ場所で育てることにより、地中の栄養バランスや菌や微生物の量が変化し、植物の生育に影響が出ることです。タカサゴユリは連作に弱いことも特徴で、毎年植え替えをするのが確実です。
繁殖力の強さ
雑草として各地で生き残っている種のため繁殖力が高く、庭で栽培し放置していると徐々に増えていき、一面がタカサゴユリだらけになるでしょう。連作障害さえなければそんなユリだらけの庭も目指せるかもしれません。自然に増殖する場合は、開花後の種が原因です。庭を管理したい場合はもちろん、外来種であることも意識しユリの種子の管理には注意しましょう。
外来種であること
元々は台湾原産の外来植物です。したがって自分の庭や管理地区のみでの栽培に留めましょう。他人の庭や、日本の野に放たれすぎてしまうと自然環境に影響が出てくる可能性があります。
まとめ
タカサゴユリの管理は、難しいものではありません。手間をかけずとも、立派な白い花を咲かせてくれます。しかし、美しくあっても日本の種を脅かす外来種です。種の管理はしっかりと行ったほうがよいといえるでしょう。
出典:写真AC