葵の概要
葵は梅雨から夏の時期に咲く美しい花です。種類がとても多く、ピンクや黄色、青などの花の色や咲き方、葉の形もいろいろあります。名前は聞いたことがあっても、どのような花か思い浮かばないという方も多いかもしれませんが、日本では昔からとても馴染み深く身近にある植物です。
葵の歴史
その昔、葵は中国から日本へ薬草植物として伝わり、古くから日本文化に根付いてきました。徳川家の葵の御紋は広く知られています。時代劇ドラマ「水戸黄門」でもおなじみの三つ葉葵ともいわれるその家紋は、葵の葉がモチーフです。また、平安時代に書かれた源氏物語に、葵の上という名の女性が登場することから、古くから親しまれていた植物ということがわかります。
葵の名の由来
葵という名前は、花や葉の成長する様子が関係しているといわれます。葵の花は太陽に向かって開き、葉は太陽を向いて育っていきます。その姿から「日を仰ぐ」という意味を込めて、アオイと呼ばれるようになったそうです。また英語では、葵のことをHollyhock(ホーリーホック)と呼び、聖地の花を意味します。十字軍がシリアから持ち帰ったことが由来といわれています。
葵の種類
アオイ科に分類される植物は約1500種とされてきましたが、近年の新しい分類ではさらに種類が増えているといわれています。その用途もさまざまで、タチアオイやハイビスカス、フヨウなどの観賞用のものや、カカオやオクラ、ドリアンなどの食用のもの、綿やケナフなど繊維として使われるものまであります。
葵の種類ごとの花言葉
多くの種類がある葵には、それぞれに花言葉がつけられています。美や恋にまつわる花言葉はもちろん、見た目からは想像できない怖い意味の花言葉があります。葵の中でも代表的な種類から見ていきましょう。
①タチアオイの花言葉
葵の中でもポピュラーなのがタチアオイ(立葵)です。太陽に向かい、すっと美しく立つような姿をしたタチアオイの花言葉には「豊かな実り」「大望」などがあります。タチアオイに多くの実がなることからつけられた花言葉といえるでしょう。
②冬葵の花言葉
冬葵(フユアオイ)の花言葉には「気高く威厳に満ちた美」「高貴」などがあります。枯れてしまう植物が多い寒い冬でも、緑の葉を絶やすことなく、凛とした姿からつけられたようです。花が咲いている姿も高級感に満ちた印象を与えてくれます。
③桜葵の花言葉
桜葵(サクラアオイ)は、桜に似た可憐な花を咲かせます。その花言葉には「繊細な感受性」「今日限り」などがあります。どちらも少しめずらしい花言葉ですが、長い冬に耐えて素晴らしい花を咲かせても、すぐに散ってしまう繊細な桜のイメージからつけられたのでしょう。
④フタバアオイの花言葉
フタバアオイ(双葉葵)の葉は、有名な徳川家の葵の御紋のモチーフです。フタバアオイは森の奥などにひっそりと茂り、花よりも葉のほうが大きく印象的な形をしています。花言葉は「細やかな愛情」です。ハート型の双葉の形や、繊細で小さな花がかわいらしいことが由来といわれています。
⑤ゼニアオイの花言葉
パンジーやスミレに似た花のゼニアオイ(銭葵)は、素朴な野草です。小銭のように小さく丸みをおびた花や葉の形から名前がついたといわれます。花言葉は「母の愛」「古風な美人」などです。育てやすく身近な場所に咲いているため、つねにそばにいてくれる母の愛に似ているからかもしれません。また、古風な美人というのは和風な赤紫の花の色からきているようです。
⑥トロロアオイの花言葉
トロロアオイは、別名ハナオクラと呼ばれます。タチアオイのような花を咲かせますが、その花にはとろみがあって食用とされています。花言葉は「あなたを信じる」「知られぬ恋」「恋によって身が細る」などです。「知られぬ恋」は花が一日で萎れてしまうことから、「恋によって身が細る」は花が咲いた後にできる実が、オクラのようにとても細長い形であることからつけられたといわれます。
⑦ゴジアオイの花言葉
ゴジアオイは、昼頃に花を咲かせ、朝が来る前に萎れてしまうことから、午時(ゴジ)アオイという名がつけられました。花言葉は「私は明日死ぬだろう」です。ぞっとさせる怖い花言葉ですが、花が1日に満たない短い間しか咲いていられないことからつけられたようです。入院している方のお見舞いなどには持参しないように注意しましょう。
⑧モミジアオイの花言葉
モミジアオイ(紅葉葵)は、7月~9月に花を咲かせます。切れ込みの深い葉の形がモミジに似ていることから名前がつけられたようです。1日で萎んでしまいますが、背が高く、しとやかで品のある紅い花の姿から「温和」「穏やかさ」などの花言葉がつけられました。
⑨ウスベニアオイの花言葉
ウスベニアオイ(薄紅葵)は、英語でマロウと呼ばれます。花がハーブティとして飲用されていて、お湯を注ぐと青いお茶になるブルーマロウティーとして知られています。緩和剤の効果があるといわれ、花言葉の「柔和な心」「穏やか」なども、それにちなんでいるそうです。
葵が名前に使われる理由
葵は、女の子の名前として昔から人気があります。また、近年は男の子の名前に使われることも少なくありません。1文字で「アオイ」と読ませる以外に、「アオ」だけをとったり、「キ」と音読みで読ませてほかの漢字と組み合わせたりして使われることもあります。
理由①見た目の美しさ
名前に使われる理由として、まずあげられるのは、葵の見た目の美しさです。葵の姿は、かわいらしさと強さの両方を兼ね備えています。タチアオイのように天に向かって伸びやかに、華やかな美しさを持つ女性になってほしいとの思いや、冬葵のように環境にめげず、凛とした美しさを持つ人になってほしいとの思いが込められてきたのでしょう。
理由②音の響き
葵が名前に使われる理由には、「アオイ」という音の響きもあげられます。青い、という言葉の読みとも重なって、爽やかで情緒的なイメージを与えます。音の響きが好きだからという理由で、子どもの名前に選ぶ方も多いようです。
理由③葵の持つ意味
葵という名前自体が持っている意味も名前につかわれる理由のひとつです。太陽に向かって成長する、日を仰ぐという意味は魅力にあふれています。ヒマワリ(向日葵)の漢字にも葵が用いられているように、明るくまっすぐに成長してほしいという思いから、男女を問わず名付けに使われているのでしょう。
理由④花言葉
葵は種類ごとに、さまざまな花言葉があります。大望や豊かな実りといった花言葉は、男の子の名付けに使うのにもぴったりでしょう。また、怖い意味の花言葉を持つゴジアオイなどもありますが、ゴジアオイは日本の気候風土にはあわないことからあまり栽培されていません。花言葉を意識する必要はないでしょう。
すてきな花言葉の葵を贈ってみよう
花も花言葉も豊富な葵の中から、好きな種類を見つけてみましょう。花言葉とともに誰かにプレゼントしてみてはいかがでしょうか。また、名前をつけたり、考えたりする機会があれば、葵も候補にいれてみるのもおすすめですよ。