ノカンゾウとは?その特徴や食用での効能を紹介!ヤブカンゾウと違いは?

 ノカンゾウとは?その特徴や食用での効能を紹介!ヤブカンゾウと違いは?

初夏になるとオレンジ色のユリに似たノカンゾウの花が咲きます。ノカンゾウの花は万葉集にも「わすれぐさ」の名で詠まれたロマンチックな植物です。本記事では ノカンゾウの特徴・食用としての効能・ヤブカンゾウとの違いなどについてまとめてみました。

記事の目次

  1. 1.ノカンゾウ(野萱草)の特徴
  2. 2.ノカンゾウとヤブカンゾウの違い
  3. 3.ノカンゾウの仲間の野草
  4. 4.ノカンゾウの効能
  5. 5.ノカンゾウの食べ方
  6. 6.まとめ

ノカンゾウ(野萱草)の特徴

 出典:写真AC

ノカンゾウはユリ科ワスレグサ属の多年草です。日本中の山野によく見られる野草で、土手や川辺から高山まで自生します。海外では中国、朝鮮半島に分布しています。花期は6月〜8月で草丈は50~80cmほどになります。花はユリの花の形をした橙赤色や茶褐色などで、朝開き夕方にはしぼむ「一日花」です。

ノカンゾウ(野萱草)の名前の由来

漢名に由来

「ノカンゾウ」(野萱草)という和名は中国のホンカンゾウに似てよく野原にみられるという意味から、漢名(中国の植物名)の「萱草」(カンゾウ)に野原の「野」をつけて「野萱草」(ノカンゾウ)になりました。

ノカンゾウの別名

別名には「ベニカンゾウ」があります。また和歌では「和須礼久佐」(わすれぐさ)の名で詠まれ古くから人々に愛されてきました。ノカンゾウを乾燥して食用にしたものは「金針菜」(きんしんさい)と呼びます。

学名の由来

学名は「Hemerocallis fulva」で「Hemerocallis」(ヘメロカリス)はギリシャ語の「hemera(一日))「 callos(美)」が語源で「一日で美しい花がしぼむ」というノカンゾウの特徴からつけられました。「fulva(茶褐色の)」は花の色を表しています。ノカンゾウの花は色の変化に富んでいるので茶褐色ともいわれたのです。

ノカンゾウとヤブカンゾウの違い

ノカンゾウによく似た花ヤブカンゾウ

ヤブカンゾウはノカンゾウとよく似た花で同じユリ科ワスレグサ属の野草です。一日花で食用にできるところもノカンゾウと共通しています。上の写真を見てもわかるように、ちょっと見ただけでは全く見分け方がわからないほどヤブカンゾウはノカンゾウによく似た花なのです。花が開き切るまでは見分け方が難しいようです。ではノカンゾウとヤブカンゾウにはどんな違いがあるのでしょうか?(※上はヤブカンゾウ」の写真)

ノカンゾウとヤブカンゾウの見分け方

ノカンゾウは一重咲きの花

 出典:写真AC

ノカンゾウは花びらが重なり合わずに咲く「一重咲き」の花です。花が開くと花びらがきっちり6枚でわかりやすいです。葉質はやや硬めで垂れにくいですが、葉の特徴だけで見分けるのは難しいようです。生息環境はくぼみや溝などやや湿ったところを好みます。

ヤブカンゾウは八重咲きの花

 出典:写真AC

ヤブカンゾウは花びらが重なり合って咲く八重咲きの花です。雄しべと雌しべは花びらのようになって重なり合うので、開いた花はこんもりとしてノカンゾウとの見分け方が簡単になります。葉はやや柔らかくて垂れやすく、野原などの日当たりの良い生育環境を好みます。

ノカンゾウの仲間の野草

ノカンゾウと同じワスレグサ属の仲間の野草には、他にニッコウキスゲ、トビシマカンゾウ、ヒメカンゾウ、ハマカンゾウ、ホンカンゾウなどがあります。中国の「憂いを忘れさせる草」・「萱草」(かんぞう)に由来した名前が多いですね。

ニッコウキスゲ

 出典:写真AC

   ユリ科ワスレグサ属の多年草でノカンゾウの仲間です。開花期は6月~8月で日本では北海道から中部地方にかけて分布しています。朝開き夕方しぼむ一日花ですが、近縁種の仲間には夕方咲いて翌朝しぼむ「キスゲ」があります。

ヒメカンゾウ

ヒメカンゾウ はニッコウキスゲによく似た花ですが、名前の由来はニッコウキスゲより花の色が濃く美しい黄色で、小型なことからきています。ノカンゾウとの違いは花期が4月~5月頃と早いことと、野生種はなく園芸用に栽培されてきたということです。

ハマカンゾウ

ハマカンゾウは関東以西に分布する多年草です。海に近い砂浜や草原によく見られるため「ハマ」(浜)のついた名前になっています。花はノカンゾウとよく似ていますが、違いは葉が光沢のある濃緑色で厚く、常緑性であることです。

ホンカンゾウ

ホンカンゾウはノカンゾウに本当によく似た花なのですが、海外の中国、ネパール、タイなどに分布する野草で、日本では園芸用鑑賞植物として栽培されるため野生種はなく、自然の野原で目にすることはできません。

ノカンゾウの効能

ノカンゾウには利尿作用・解熱作用があるだけでなく、むくみや不眠・うつ症状を改善する効能もあるとされることから、食用にされたり、薬として利用されてきました。根・蕾・若芽など用いる部分の違いよって効能も少し異なるようです。

金針菜(きんしんさい)

6月~7月にかけて採取したノカンゾウの蕾を天日干しにし乾燥させた生薬を「金針菜」(きんしんさい)といいます。中華料理の食材として袋で売られているものもあります。手軽に利用できるのが魅力ですね。

ノカンゾウの食べ方

ノカンゾウの若芽・花・蕾は甘みがあって美味しいと言われており、食用にもされています。一般に春には若芽、初夏に花・蕾が食べられます。一度は試してみたい自然の食材と言えますね。どう料理したらいいのでしょうか?

ノカンゾウの調理法

ノカンゾウの調理法は、茹でる、炒める、煮る、揚げるなどの調理法があります。フキノトウ・タラの芽・ワラビなどの他の山菜と同様の調理法ですが、アクがなく苦みもないので調理しやすい食材です。ノカンゾウのメニューの写真をいくつ紹介しておきます。

ノカンゾウの酢味噌和え

ノカンゾウのスープ

ノカンゾウの野草コロッケ

まとめ

和歌に詠まれる「忘れ草」にはノカンゾウも含まれています。一日花であるがためのはかなさや美しさに心を寄せた歌人たちは少なくありません。ノカンゾウの花を見かけたらしばし立ち止まって眺め、憂いを忘れてみたいものですね。

忘れ草我が紐(ひも)に付く香具山(かぐやま)の古(ふ)りにし里を忘れむがため

quesera2
ライター

quesera2

知恵と工夫と努力で季節の花が彩る庭をつくるのが好きです。

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