カラムシ(苧麻)とは?特徴・繊維などへの利用法や駆除方法をご紹介!

カラムシ(苧麻)とは?特徴・繊維などへの利用法や駆除方法をご紹介!

カラムシという言葉を聞いたことがありますか?ムシという言葉が含まれているので、昆虫などの虫を想像する方もいらっしゃるかもしれません。実は、カラムシというのは虫の種類ではなく繊維の取れる植物なのです。カラムシの特徴から繊維の用途までをまとめてご紹介いたします。

記事の目次

  1. 1.カラムシって一体なんだろう?
  2. 2.カラムシの別名
  3. 3.カラムシの特徴
  4. 4.カラムシの種類
  5. 5.植物から繊維がとれる!?
  6. 6.糸や生地の原料
  7. 7.カラムシの外敵と駆除
  8. 8.まとめ

カラムシって一体なんだろう?

出典:写真AC

カラムシの基本情報

  • 属性:イラクサ科 カラムシ属
    学名:Boehmeria nivea var. nipononivea
    分布地域:アジア地域各地
    花期:おおむね8月から10月

カラムシの原種は亜熱帯地域のもので、高温多湿を好む多年生植物です。アジア大陸の各地域に広く分布しており、古くから栽培されていることでも知られています。植物でありながらも、その茎の部分から繊維がとれることで重宝されており、その繊維は主に麻生地としての用途があって様々なものに利用されています。アジア地域の各国々などで特徴のある生地が次々と生み出されてきたのもうなずけます。

世界的に見ても約65種類もあるカラムシ

日本においても、カラムシは本州から沖縄まで広い地域にわたって自生しています。ひとくちにカラムシと言っても、国や地域によってその生態が違うという点は非常に興味深く感じられます。さらに踏み込んでみると、日本国内のすべての地域のカラムシが同じ形状というわけではありません。色や葉の形、葉の表裏の質感が違ったりといったように、日本の中だけでも地域によって違いがあるという事です。
 

カラムシの別名

出典:写真AC

カラムシは、漢字で表記すると「苧」と書くのですが、あまり馴染みのない文字であると感じる方も多いのではないでしょうか。中国名で表わされるカラムシは、ほとんどの種類に「麻」という感じが利用されています。繊維の種類である麻の文字が含まれているという点で、カラムシという植物の用途が一目で分かるというのが面白いですね。

字を見ておおよその見当がつく

日本での植物の属性でみると、カラムシ属・ヤブマオ属・マオ属などと何種類かあり統一されてはいないようです。また、カラムシには別名もたくさん存在しており、(お)・苧麻(ちょま)・(あおそ)・山紵(やまお)・真麻(まお)・苧麻(まお)などがあるようです。やはり漢字には麻の文字が使われている率が高いですね。

カラムシの特徴

カラムシの姿かたち

Photo bysipa

カラムシの葉は、緑色の葉でふちの部分は細かくギザギザした鋸歯があり、葉の先っぽがやや尖った形状をしています。葉の長さは約10センチから15センチほどです。葉の表面はあまりツヤがなくマットな質感です。対して、葉の裏側はとても特徴的で、細かい綿毛が密生しており遠目にはやや白っぽい葉のようにも見えます。

カラムシは変異である

現在日本で自生しているカラムシは、古来から日本の本土で栽培されてきているのですが、大元をたどれば繊維を採取するためにアジア大陸から持ち込まれた植物なのではないかという説が有力です。つまり、カラムシはナンバンカラムシが日本国内で変異したものではないかとされているのです。

ほかの雑草との見分け方が容易である

カラムシは、茎の部分に非常に特徴的な面を持っている植物です。緑色のしっかりとした細くて真っ直ぐ上に伸びる茎で、高さが1メートルから1.5メートルある特徴的な姿で見分け方は簡単です。同じ一本の茎に雄花と雌花を持つ雌雄同株で、その見分け方は雌花が茎の上の方の部分に付き雄花は茎の下部の方に付くという点になります。

カラムシはどこで見つけられるか

Photo bynile

カラムシは、熱帯地方で多く生育していることから、比較的気温の高い場所やジメジメした湿地などを好んで自生している植物です。日本国内では、主に木の生い茂った林などに多く見られ、私たちの身近な場所としては河川敷や土手、または道端や石垣のそばなどに生えています。地下茎の性質を併せ持っているため、地下へも茎を伸ばしてしっかりと生い茂っていきます。

カラムシの種類

アオカラムシ(青苧)

Photo by kayakaya

他のカラムシとの見分け方は簡単で、葉の表面がどちらかというと青よりの緑色で、葉の裏面には綿毛がない種類です。カラムシの特徴といえば、葉の裏面が白毛に覆われている部分なのですが、このアオカラムシにはその白毛が生えていないのです。そして葉っぱの幅もカラムシよりもやや広く、大きめながっしりした葉という印象です。

ノカラムシ(野茎蒸)

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ノカラムシは、日本国内でも主に沖縄県周辺の地域に多く自生しています。沖縄の方言では ‟うーべー“ などと呼ばれているそうです。カラムシとよく似た生態の葉を持っていて、葉や茎の部分は煎じて薬草にしている地域もあるようです。ノカラムシとカラムシなどは、酷似しているため見分け方もコツがいるのかも知れません。

ナンバンカラムシ(南蛮苧)

Photo by yutaka-f
ナンバンカラムシ

アジア原産のカラムシの祖先ともいえるのが、このナンバンカラムシです。カラムシとほぼ似たような形状の種類ですが、大きく異なる特徴があります。その見分け方として一番手っ取り早いのが、茎の部分に白毛が生えているかいないかという点で、それが一番の見分け方だとされています。ナンバンカラムシは、本州(関東地方よりも西の地域)・四国・九州などに分布しています。

ラミー(苧麻)

Photo by Dinesh Valke

主に中国などで栽培されていて、カラムシよりもやや大形の植物です。カラムシと同じように植物から繊維がとれるのが特徴の植物です。日本では大正時代に、中国などから大量にナンバンカラムシを輸入した経緯がありそれらがのちに改良種とされ定着し、その種類をラミーと呼ぶようになったのです。このラミーという名称は、もともとマレー半島で栽培されていたカラムシを指すもので、麻として利用されてフランスをはじめ世界各国へ広がり、現在ではラミーという名称が周知されるまでになりました。
 

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植物から繊維がとれる!?

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