ゲンノショウコとは
基本情報
園芸部類 | 山野草 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 30~50cm |
花の色 | 白、ピンク |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 薬草、食用 |
栽培の可否 | 可 |
名前の由来
ゲンノショウコの名前は、薬草としての効果がたちまちあらわれることに由来します。ゲンノショウコは日本の三大薬草のひとつで、古くから民間薬として下痢止めや胃腸の不調に使われてきました。漢字で表すと「現之証拠」となり、煎じて飲めば「現の証拠(この通り効く証拠)」を実感できるといわれます。
別名
ゲンノショウコは別名「玄草(ゲンソウ)」という名前で流通し、そのほか多くの別名をもちます。果実の形がロウソクに似ているため「ロウソクソウ」、種子が飛び散った後の形を神輿(ミコシ)に見立てて「ミコシグサ」、葉の形がネコの足に似ているため「ネコアシ」、花と茎の姿から「ウメズル(梅蔓)」などはその一部です。
効果をあらわした別名
ゲンノショウコには、そのすぐれた薬効から「イシャイラズ(医者いらず)」など地域によって多くの別名があります。そのほか「イシャゴロシ」、その効果がすぐにあらわれるため「タチマチグサ(たちまち草)」「テキメンソウ(覿面草)」など、それぞれゲンノショウコの効き目があらわされる別名です。
花言葉
ゲンノショウコの花言葉は「心の強さ」です。ゲンノショウコの薬効で体の健康が得られ、心の強さにつながるということなのでしょう。いざというときに頼りになるゲンノショウコの薬効が、花言葉にもあらわれています。
見間違いやすい植物
トリカブトとの違いと見分け方
ゲンノショウコの若葉は毒草であるトリカブトの若葉とそっくりなので、採取する際には注意が必要です。見分け方はゲンノショウコの若葉の赤い斑点です。トリカブトの葉には斑点はみられません。根の形状はゲンノショウコ細い根のみ、トリカブトには塊根(イモ状の)をもつので見分けられます。
ウマノアシガタとの違いと見分け方
ゲンノショウコによく似たウマノアシガタも毒草なので、採取時は注意が必要です。ウマノアシガタとの見分け方は、前述のとおり若葉の赤い斑点の有無です。ゲンノショウコの葉は裏側の葉脈が浮き出ていることも見分け方のポイントなので、葉の裏をしっかり観察してください。
ゲンノショウコの特徴
日本の三大薬草
ゲンノショウコは古くからセンブリ、ドクダミと並んで日本の三大薬草のひとつに数えられています。とくに下痢止めとしての薬効が有名で、江戸時代から民間薬として用いられてきたと記録されています。現在でも市販薬の下痢止めにゲンノショウコが配合されるものがあるので、探してみましょう。
ゲンノショウコの効果・効能
ゲンノショウコは花が咲く7~10月に根を除く、全草を刈り取って天日干したものを煎じて民間薬「現之証拠」として使用します。ここからはイシャイラズとも呼ばれるゲンノショウコのすぐれた薬効について詳しく見ていくことにしましょう。
効果・効能①下痢止め
ゲンノショウコを煎じて飲むことで、赤痢などによる下痢やしぶり腹(便意があるのに便が少量またはでない状態)への効果が認められています。これはゲンノショウコに含まれる、ゲラニインなどの豊富なタンニンによる作用といわれます。下痢止めとして使うポイントは、時間をかけて煎じて2/3程度になるまでじっくり煮詰めて服用することです。
効果・効能②便秘解消
下痢止めに効果のあるゲンノショウコは、便秘の改善にも効果をあらわします。緩下剤として使用する場合、煎じる時間は10~15分と短めにすることがポイントです。短時間で煎じることによりタンニンの抽出量を控えめにします。
効果・効能③健胃・整腸作用
ゲンノショウコにはすぐれた健胃や整腸作用が認められています。日本の伝統的な胃腸薬「陀羅尼助(ダラニスケ)」「百草丸(ヒャクソウガン)」にはゲンノショウコが配合されています。食あたりにも効果的な「百草丸」は市販薬として販売されているので、薬局やドラッグストアで探してみてください。
効果・効能④かぶれの改善
ゲンノショウコは外用としても効果を発揮する薬草です。かぶれや腫れ物、しもやけなどの症状にゲンノショウコを煎じた液を外用薬としても使用します。
効果・効能⑤冷え性の改善
ゲンノショウコは入浴剤として利用すると、冷え性や女性ホルモンの変化によっておこる月経や妊娠・更年期などの身体的・精神的な症状に効果が期待できます。しぶり腹など体をあたためたい症状にも、ゲンノショウコは薬湯として効果があるとして用いられます。
ゲンノショウコの育て方
ゲンノショウコは生命力がとても強い植物なので、育て方はむずかしくありません。種や苗を入手することができれば、花の後にはこぼれ種で自然に増える多年性の植物なので、初心者にもおすすめです。
育て方①適した環境
ゲンノショウコは日当たりのよい土地を好みます。耐陰性は強いのですが、なるべく日光に当たる場所で育てましょう。夏場に強い直射日光が当たる場合には遮光するなどの工夫が必要です。
育て方②管理
ゲンノショウコは山野にはえる野草なので、はえていた場所に近い環境で管理することがポイントです。日照りが続かない限り水やりの必要はありません。できれば自生地と同様の酸度の土を使いましょう。ゲンノショウコが自生できる場所が激減しているため、根ごと掘り起こして持ち帰ることは避け、種を採取して栽培しましょう。
ゲンノショウコは優れた薬効がある!
ゲンノショウコは市販薬にも配合されるすぐれた薬効をもつ薬草です。イシャイラズという名前はその効能をあらわし、昔から健康を維持するための頼れる植物でした。日本では道端や山野にはえる植物ですが、よく似た植物には毒をもつものが多いので、採取には十分に注意してください。