テンナンショウとは?
テンナンショウは日本を含むアジアを中心に、アフリカ、北米などに分布するサトイモ科の植物です。テンナンショウは漢字で「天南星」と表記し、中国では生薬として用いられてきました。独特の見た目と種類の豊富さから園芸植物としても人気が高く、特に美しい斑入りの個体は高値で流通しています。
テンナンショウの基本情報
分類 | サトイモ科テンナンショウ属 |
形態 | 多年草・球根 |
開花時期 | 種類によって3~6月 |
テンナンショウの仲間は世界に約200種類ほどが知られており、そのうち約30種類が日本の国内に自生しています。
花言葉
テンナンショウの花言葉は「壮大」「壮大な美」です。テンナンショウの見た目からは想像しにくいスケールの大きな花言葉です。テンナンショウ(天南星)の名前からきているのではないかという説がありますが、正確な由来ははっきりしていません。
テンナンショウの特徴
テンナンショウの最大の特徴は長い筒状の仏炎苞(ぶつえんほう)です。この仏炎苞は種類によってさまざまな色や模様があります。生態の特徴としては雌雄異株のものが多いことがあげられます。また同じ株でも環境の条件などによって性転換する植物としても知られています。
仏炎苞とは?
仏炎苞とは花を守るための苞のことで、サトイモ科の植物に見られる特徴です。花びらとは別のもので、この苞のなかに花がしまわれています。同じサトイモ科のミズバショウやアンスリウムにも見られますが、テンナンショウの仏炎苞は外から花が見えないほど長く発達しています。
毒に注意!
- テンナンショウの仲間は果実にシュウ酸カルシウムという毒を持っています。誤って口に入れるとしびれや腫れを引き起こすほか、腎臓に悪影響を起こす場合もあります。小さなお子様やペットのいるご家庭では特に注意が必要です。
テンナンショウの育て方
テンナンショウは山野草を扱っている園芸店などで購入できます。近くにない場合はインターネット通販を利用するのもよいでしょう。種類によって栽培の難易度が異なるため、まずは自分が育てるテンナンショウの種類や自生地の環境をよく調べることが大切です。ここではウラシマソウなど比較的ポピュラーな国産品種の育て方をご紹介します。
育て方①植え付け
テンナンショウの植えつけは10月~3月の冬の時期に行います。この時期のテンナンショウは葉っぱを落として休眠しています。球根の先端から土の表面までが3~5cmほどの深さになるように植え付けましょう。あまり浅く植え付けると、球根が乾燥して傷みやすくなります。春になるまで乾燥しすぎないように適度な水分を与えましょう。
環境
直射日光に弱いため鉢植え、地植えともに、1年を通じて明るい日陰で育てます。鉢植えの場合は移動できますが、地植えの場合は適度な日陰になるように遮光ネットなどで調整してください。風通しのよい場所が適していますが、あまり強い風が吹くと株が倒れてしまうことがあります。また冬に凍結しないように注意してください。
用土
適度な水はけと保水性があればあまり土を選びません。市販の山野草用培養土で十分育てることができます。自分で配合する場合は培養土に赤玉土や鹿沼土を混ぜて使うとよいでしょう。古い用土の再利用は病気や害虫被害の原因になりやすいので避けたほうが無難です。
育て方②水やり
テンナンショウは乾燥に弱く、適度な湿度が保たれた環境を好みます。夏の間は土の表面が乾き始めたらたっぷりと水やりをしましょう。葉っぱの上から水をかけると折れてしまうことがあるので、必ず株の根元に水やりをします。冬はやや乾燥気味に管理しますが、土が完全に乾いてしまわないように注意が必要です。
育て方③肥料
あまり肥料を必要としない植物なので、春から秋の生育期に緩効性(効き目がゆっくり)の肥料を少量置き肥するとよいでしょう。肥料を与えすぎると大きくなりすぎて見た目がわるくなります。また栄養状態によって雄株と雌株が入れ替わってしまうことがあります。
育て方④植え替え
植え替えは植え付けと同様、冬の時期に行います。あまり根が張らない植物ですが、球根の成長にあわせて鉢の大きさを選びましょう。植え替えの際は球根を傷つけないように慎重に行ってください。植え替えの頻度は2年に1回程度が目安です。
育て方⑤病気・害虫
病気
細菌によって葉っぱや球根が腐る軟腐病という病気にかかることがあります。軟腐病にかかると強い悪臭を放ちます。対策には薬剤を使いますが、水分が多すぎることが原因となることが多いため、風通しのよさや水やりの頻度を見直す必要があります。
害虫
テンナンショウはナメクジやイモムシ、アブラムシ、カイガラムシなど多くの害虫の被害を受けやすい植物です。こまめに観察して、害虫を発見した場合はそのたびに薬剤などで駆除しましょう。また土の中の害虫にも狙われやすいので、植え替えなどの際には球根の状態もよく確認してください。
ボタニ子
次のページではテンナンショウの増やし方や種類についてご紹介します。