イモカタバミとは
イモカタバミの概要
イモカタバミは南米原産の多年草です。戦後に観賞用として日本に持ち込まれて以来、道ばたでよくみられるようになった帰化植物です。耐寒性が強く、暖かい地域では11月ごろまで花を咲かせます。また、カタバミ科の植物で葉や花が特に美しいものはオキザリスの名で流通しており、オキザリス・アルティクラタはイモカタバミを指します。
イモカタバミの基本情報
別名 | フシネハナカタバミ |
学名 | Oxalis articulata |
科/属 | カタバミ科カタバミ属 |
日本での分布 | 北海道/本州/四国/九州/沖縄 |
花期 | 5月~9月 |
イモカタバミの特徴と見分け方
カタバミ科の植物はどれも同じように見えますが、葉や花の特徴によって見分ける方法があります。身近なものでは、緑色の葉に薄く毛があり水をはじく黄花のカタバミ、在来種で赤紫色の葉のアカカタバミ、緑紫色の葉で黄花のウスアカカタバミです。以下では、特に似ているムラサキカタバミやベニカタバミと見分ける方法をまとめました。
「花」の特徴と見分け方
おしべの葯が黄色
イモカタバミの花色は明るいピンクで、中心に向かってグラデーションがかり、放射状に紫色の筋をもつのが特徴です。おしべの葯(ヤク:花粉が入る袋)は黄色で、白い花びらをもつ品種、シロバナイモカタバミもあります。一方、ムラサキカタバミは紫から薄ピンク色の花でおしべの葯は白色です。
「葉」の特徴と見分け方
葉表面につやがない
イモカタバミの葉表面にはつやがなく、裏側に細かい毛があるのが特徴です。一方、ベニカタバミの葉はやや丸みをおび、表面につやがあります。夜、暗くなると葉が閉じるように片側に折れ、半分食べられたように見えることや、芋のような塊茎をもつことが「芋片喰」イモカタバミの語源とされています。
「根」の見分け方
サトイモに似た塊茎
根を掘り返すと、小さい球根のような塊があります。この塊を塊茎(かいけい)といい、経年により節(ふし)が増え、やがて大きな塊茎に育ちます。根にフシができることに、フシネハナカタバミの別名が連想できるでしょう。繁殖は塊茎を球根のように分球して行います。ムラサキカタバミは白い大根のような主茎をもつため、安易に見分けられます。
イモカタバミの育て方
日当たりのよい場所で育つ
イモカタバミは、球根のような塊茎を植えて育てます。ほかの植物の近くで育てるなら、根切りプレートで仕切ったり、鉢植えにしたりする工夫が必要です。育て方はかんたんで、水やりは地植えでは必要なく、鉢植えでも乾かし気味に育てるのがよいでしょう。夏に蒸し暑くなる地域では葉や茎を枯らして休眠し、秋になるとまた葉をつけ花を咲かせます。
イモカタバミの駆除方法
塊茎と根を駆除する
イモカタバミは種子をつけづらい品種ではあるものの、球根状の塊茎で繁殖する力がとても強い植物です。スコップで土を深く掘り起こし、塊茎や根をごっそり取り除き駆除しましょう。除草剤を使うなら、防除したい植物だけに吹きかけられるスプレータイプが効果的です。
まとめ
強健な繁殖力に子孫繁栄の縁を担ぎ、平安時代から家紋にも使われてきた縁起のよいカタバミの葉。庭の植物の生育を脅かすほど増えて困るときもありますが、園芸種のイモカタバミは、小さく可憐な花を咲かせるため育て方を知りたいと思う方も多いのではないでしょうか。道ばたで見つけたら、葉や花を観察してみましょう。
出典:筆者撮影