無洗米とは
無洗米とは、肌ヌカを取り除くことで、研ぎ洗いをせずに炊飯できるように加工されたお米です。一般的な精白米の表面には、肌ヌカと呼ばれる精米過程で取り切れなかったヌカがわずかに残っています。そのため、そのまま炊飯すると風味が悪くなってしまい研ぎ洗いが必要でした。ですが、無洗米は肌ヌカをほとんど除去してあるので、洗わずに使用できます。
手間がかからない
無洗米のメリットといえば、手間がかからないことでしょう。無洗米は洗う必要がないため、その分の労力や時間を省けます。忙しい方や少しでも楽したい方には、たいへん便利です。さらには使用する水も節約できます。お米を研ぐとなると、2~3回は水を注ぎ入れるので、長期的にみるとかなりの節水になります。
栄養の流出が少ない
無洗米は洗う必要がないので、栄養の流出が少ないです。お米を研ぎ洗いをする際、水溶性のビタミンB1やナイアシン、ミネラルなどは水に流れ出てしまいます。さらに、かき混ぜることでお米の表面部分が削れるため、その層に含まれる栄養も失われてしまいます。ですが、そもそも無洗米は研ぎ洗いをしないため、栄養が損なわれる心配がありません。
日持ちする
無洗米は肌ヌカがないので、味が落ちにくく日持ちします。肌ヌカは時間とともに酸化し、お米の成分や食味を低下させます。無洗米は酸化による劣化がおこらないので、精白米に比べ日持ちします。
無洗米のデメリット
デメリット①値段が高い
無洗米は、加工するための費用がかかっているため値段が高いです。無洗米は精白したお米を、さらに工場で加工してつくられます。そのため同じ銘柄で比較しても、無洗米は精白米よりも一割ほど高く値段が設定されています。
必ずしも割高ではない
ただ、無洗米は肌ヌカがない分、精白米と同じ重量でも粒数が多くなることがほとんどです。また、無洗米は洗う必要がなく水道代が節約できることから、一概に割高であるとはいえません。
デメリット②銘柄が少ない
無洗米は一般的に普及してきたとはいえ、まだまだ選べる銘柄が少ないです。スーパーなどで見ても、いまだ精白米の方が多くの種類が棚に並んでいます。そのため、もし好みの銘柄があっても、目的の無洗米が売っているとは限りません。
増えてくる可能性も
どの銘柄のお米であっても、加工すれば無洗米にできます。無洗米の人気がさらに出て、より一般に普及することになれば、銘柄も増えるでしょう。
デメリット③乾燥しやすい
無洗米は肌ヌカがないので乾燥しやすいです。品質の劣化を引き起こす肌ヌカですが、表面を覆っているため乾燥を防ぐ効果もあります。乾燥したお米は、炊きあがりの食感がパサついてしまったり、ニオイ移りをして風味が悪くなってしまいます。
なるべく早く消費する
無洗米のメリットとして「日持ちする」ことをあげましたが、反対に乾燥のよる品質の低下も早いです。なので、無洗米であってもなるべく早く消費する、もしくは食べる分だけこまめに購入するべきでしょう。お米の賞味期限は、一般的に精米から一ヶ月ほどといわれています。
無洗米がまずいと感じる理由
無洗米は食味が低下しにくいことがメリットですが、一方で「まずい」という声も聞かれます。しかしそれらは、無洗米自体ではなく、その調理法に問題があり、「まずい」と感じてしまっている可能性があります。無洗米はまずい、美味しくないと感じてしまう理由に考えられるものを紹介します。
理由①炊くときの水が少ない
無洗米が美味しくないと感じてしまう理由に、炊くときの水が少ないことが考えられます。無洗米は精白米に比べると、重量当たりの粒数が多くなります。そのため、炊く際は精白米の基準よりも5~10%ほど水を多く加える必要があります。水加減が少ないと、炊きあがりのお米が固くなってしまい、結果としてまずいと感じてしまうかもしれません。
理由②浸水が十分でない
無洗米も浸水の時間が十分でないと、炊きあがりが美味しくなくなってしまいます。無洗米は洗う必要はありませんが、精白米と同じで上手に炊くには浸水させなければいけません。「無洗米は手間がかからない」と思い込んで浸水もおろそかにすると、まずいと感じてしまうかもしれません。
無洗米の浸水時間は?
無洗米の浸水時間は、夏場は30分、冬場は1時間程度が好ましいです。浸水前のお米は透明ですが、しっかり浸水したお米は白く、やや膨らんだ見た目になります。パッケージにそれぞれ目安が書いてあることも多いので、参考にするとよいでしょう。
理由③研ぎ洗いをしてしまった
無洗米を洗うとまずいと感じてしまう可能性もあります。お米の表面の肌ヌカを落とすために行う研ぎ洗いですが、すでに落としてある無洗米で行うと、栄養やデンプン質が溶け出し、炊きあがりの風味や食感が悪くなってしまいます。お米を洗わないことに抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、無洗米はなるべく研ぎ洗いしない方がよいでしょう。
理由④保存方法が適切でない
保存方法が適切でないことも、美味しくないと感じてしまう理由に考えられます。デメリットで紹介したように、無洗米は乾燥しやすく、ニオイも吸着しやすくなっています。空気に触れる状態で保存しておくと、乾燥が進み、ニオイ移りしてしまった結果、炊きあがりのお米の風味が悪くなってしまい、まずいと感じてしまうかもしれません。
無洗米の正しい保存方法は?
密閉容器に入れ、野菜室など涼しく湿気のない場所に保管しましょう。その際、ニオイの強い食材のそばに置くとニオイ移りしてしまうため注意が必要です。
無洗米は危険なの?
無洗米が注目されるとともに、「無洗米は危険だ」という意見も見受けられるようになりました。しかしそれらは、無洗米が開発されてから国による品質基準がなかったため、多様な製造方法や商品が生まれ、結果として多くの憶測や誤解が生まれたためと思われます。指摘される無洗米の危険性や、実際はどうなのかについて解説します。
無洗米は薬品などが添加されている?
「無洗米は製造時に薬品を使っている」というのが、指摘される危険性です。しかし、これは誤った情報です。無洗米の製造方法には以下の4つがあります。
- ヌカ法(BG精米法)…肌ヌカ同士がくっつく性質を利用して落とす
- 水洗い式…水で洗い落とす
- タピオカ式…タピオカでん粉で吸着して落とす
- 研磨式…ブラシなどで物理的に削り落とす
無洗米は環境に悪い?
「無洗米は環境に悪い」という意見もあります。しかし、これも誤りで、無洗米の製造は環境に配慮されています。お米のとぎ汁は河川に流れれば水質汚染につながり、下水処理場で分解するのにもエネルギーを必要とします。その点、ヌカ式では肌ヌカのみを分離することができるため、とぎ汁は発生しません。さらに、分離した肌ヌカは有機質肥料として再利用されます。
無洗米を試してみよう
無洗米にもいくつかデメリットはありますが、適切に保管や調理をすれば「まずい」と感じることはありません。また、無洗米になることで危険が生まれることもありません。ぜひ一度試してみて、白米とどちらが美味しいか、どちらが便利かなど比較し普段の食事に取り入れてみてくださいね。
出典:写真AC