アクアテラリウムの魅力
「アクアテラリウム」は、水中飼育ができる環境をさす「アクアリウム」と、陸上で生き物が育つ環境をさす「テラリウム」があわさった飼育・技術です。アクアテラリウムの魅力は、陸と水中の自然を水槽の中で再現できることです。観賞用だけでなく、自分好みの空間で生き物を育てられる満足度の高さが人気を呼んでいます。
魅力①インテリア性が高い
アクアテラリウムの魅力は、まるで水槽アートのように自分の感性をもとに水中と地上空間を水槽内で作れることです。アクアテラリウムはインテリア性が高く、見る角度によっても違った印象を楽しめるでしょう。水槽の中で育てる生体によっても色味が変わってくるため、眺めて楽しむ観賞用インテリアとしても最適です。
魅力②生体や水草の成長を楽しめる
アクアテラリウムは、生体の飼育と水草の成長を同時に楽しめる点が魅力です。目立つレイアウトが好みの人は、水草以外にも、観葉植物を使ったレイアウトがおすすめです。実際の森のようなダイナミックな生態系をつくり、生体の成長の様子を楽しみながら観察しましょう。
魅力③水生・陸生どちらも楽しめる
アクアテラリウムでは、水生と陸生の両方で飼育が楽しめることが大きなメリットであり魅力です。水に強い観葉植物や、石や流木を使ってレイアウトすることで自然の姿を再現できるでしょう。小物を使って滝の流れを再現することも可能です。水槽の半分に水を入れてカニなどの甲殻類も育てられ、植物を増やすことで、生体も自然の中のような環境の中で飼育ができます。
アクアテラリウムに必要な基本のアイテム
①水槽
水槽を使ってレイアウトにもこだわれば、本格的なアクアテラリウムを楽しめます。生体をたくさん入れる場合、水槽のサイズは成長の早い水草や熱帯魚をまとめて飼育できるほどよい広さの60cm水槽(幅60×奥行き30×高さ36cmの規格水槽)がよいでしょう。水槽が小さいのに生体を入れすぎると水が濁りやすくなるからです。60cm以上の水槽なら、比較的大がかりなレイアウトも楽しめるでしょう。
②フィルター(ろ過器)
フィルターとは、水槽内の細菌を防ぎ水の濁りをなくす装置で、水槽の底や外に設置するろ過器です。底辺フィルターは、水槽の底に敷き、その上にソイルなどの砂を敷きつめて使用します。フィルターには、水槽の外部に設置する外掛けろ過器フィルターもあり、種類も豊富です。ろ過力にも違いがあるため、生体の種類にあわせて選びましょう。
③生体・水草
アクアテラリウムでは、熱帯魚などの生体や水草、観葉植物が同時に育てられます。観賞用に、美しい尾ひれがある魚や、エビ、品種改良されたメダカが人気です。水草は生体のえさになるものや、レイアウトするときに生体の隠れ家になる相性のよいものもあります。水草か生体にあわせての購入がよいでしょう。
水草の特徴にあった生体とレイアウト一覧
水草 | 相性のよい生体 | レイアウト | 特徴 |
ウィローモス | エビの飼育におすすめ | ・流木や岩に付着させる ・水中に沈めておく |
・日蔭でも育つ ・エビの隠れ家になる ・co2添付が不要 ・水温20℃~25℃が最適 |
アヌビアス・ナナ | メダカなどの飼育に最適 | ・流木や岩に付着させる ・低床に植える |
・強い光が不要 ・CO2添付が不要 ・枯れにくい ・成長が遅い |
アナカリス | 金魚・エビ・メダカの飼育に最適 | ・低床に植える ・水に浮かす |
・丈夫で室内で肥料が少なくても育つ ・生長がはやい ・浮力が強い ・低水温でも枯れにくい(適温13℃~30℃) ・白い花が咲く ・水の浄化効果がある |
マツモ | 金魚・メダカ・エビの飼育に最適 | 低床に植える | ・追肥をしなくても育つ ・蛍光灯の光でも育つ ・成長が早い ・沈水する ・水温15℃~25℃が最適 ・水の浄化効果がある |
④土台・ソイル
アクアテラリウムでは植物と生体の両方を育てるため、土台には砂やセラミックより、どちらの飼育にも適したソイルがよいでしょう。ソイルには吸着タイプと栄養タイプがありますが、なかでも吸着するタイプのソイルは、藻の発生を抑え水質もきれいに保つ効果があり、水槽に向いています。栄養タイプのソイルは水草を育て、エビや熱帯魚やメダカを育てやすくする環境をつくります。
ボタ爺
栄養ソイルは水草に合う水質を作り、吸着ソイルは生体の排出した汚れを吸い取ってくれるバクテリアを含んでいるんだ。
ボタニ子
吸着ソイルはろ過装置の役目もあるんですね。
吸着ソイル | ・ある程度の栄養素も含むため水草も育つ ・生体の飼育に最適 ・アクアテラリウム向け |
・水質をきれいにしてくれる ・藻の発生を防ぐ ・バクテリアが発生しにくい |
栄養ソイル | ・水草メインの育成に向いている ・植物を育てるのに適したミネラルや栄養素を含んでいる |
・エビや熱帯魚の飼育に向いている ・水草がよく育つ ・藻が発生しやすい |
ボタニ子
「どれを買っていいかわからない!」というときは、初心者用向けのスターターキットもおすすめです。
アクアテラリウムのレイアウトアイデア【①~⑤】
小物を設置したり、水草やソイルで奥行きや遠近感をつくったりしてレイアウトを楽しめるのは、アクアテラリウムの醍醐味です。アイデアを参考に、素敵にレイアウトしてみましょう。
レイアウト①奥行きを出す
アクアリウムで奥行きを出すときは、砂やソイルなどの床材を盛り、山を作るなどして傾斜をつけます。前面の床を低くして後面を高くしましょう。高さのある岩と小さな岩を並べて配置したり、バックスクリーンに淡い色のカラーや写真を貼ったりしても奥行きがつくれます。
レイアウト②滝を作る
アクアテラリウムのレイアウトに最適な吸水石を使って、大自然のように壮大な滝を演出してみましょう。滝の流れを1カ所にまとめたいときは、吸水石を設置する前にノミと金づちを使って溝を削っておけば、渓流の流れまでも作れます。滝の流れを目立たせるためには、太めのポンプの使用がおすすめです。
レイアウト③小物を取り入れる
アクアテラリウムの雰囲気を変えたいときには、小物を使ったレイアウトもおすすめです。グッピーやエビなどの透明感のある生体の色とあう、クリアなビー玉をいれてライトアップもよいでしょう。透明感のある小物を床に敷きつめれば幻想的な空間がつくれます。
レイアウト④遠近法を取り入れる
水草や岩などの素材を使って遠近感をつけることで、大自然を思わせる遠近感のある風景をつくれます。奥に濃い色の素材や水草を置き、前面に淡い色の素材を設置すれば立体感がでて、自然豊かな遠近感のある風景に仕上がるでしょう。水草の色は同色だけを使うと平坦な印象に見えてしまうため、遠近感を出すために、色柄で素材を選ぶのもおすすめです。
レイアウト⑤三角形を意識する
水草を使ってレイアウトするとき、岩や水草の形が全体的にみて三角形になるように意識してみましょう。洗練されて、すっきりしたレイアウトに仕上がります。水草の種類を高さ別に植えることでも、きれいな三角形が作れるでしょう。アクアテラリウムで使用する水草は、前景草と後景草の購入がおすすめです。
前景草と後景草
- 前景草…リシア、キューバパールグラス、ブリクサショートリーフ、ドワーフリシア、ブセファランドなど
- 後景草…グリーンロタラ、イエローアマニア、アラグアイアミズマツバ、テンプルプラントナローリーフ、アマゾンチドメグサなど
ソイルは土壌が風化した粒状のもので、植物や生物が混ざってできているのだよ。