アサツキ(浅葱)の特徴
アサツキ(浅葱)はヒガンバナ科ネギ属の球根性多年草の一種で、チャイブ(エゾネギ)を分類上の基本種とする変種です。毎年5月~6月頃に淡薄紫色の花を咲かせます。中部地方以北では山歩きの風物詩として、アサツキの変種「シロウマアサツキ」が見られます。シロウマアサツキも食べられますが、食用の品種は「鬼あさつき」や「八房」が代表的です。
食用として売られるアサツキは、秋から春にかけて旬を迎え、幅2〜3mm、葉の長さ15cm〜40cmほどの大きさになります。緑色の葉の部分に、ビタミンCや、β-カロテン、葉酸、カルシウムなどが含まれ、球根部分には辛味成分のアリシンも含まれています。見た目や味、調理方法も青ネギと混同されがちですが、別々の野菜です。
アサツキと青ネギとわけぎの違い
アサツキと青ネギの違い
アサツキは青ネギに似ていますが、葉は青ネギより細く色鮮やかで、よく見ると葉に縦筋がはっきり見られます。香りや辛味も青ネギより強いのが特徴です。また、種から育つ青ネギに対し、アサツキは球根で育つという点も大きな違いです。球根は一度植えると、2〜3年間収穫できます。アサツキは、汎用性が高く経済的な野菜といえるでしょう。
ちなみに「万能ねぎ」は福岡県名産ブランドねぎの商品名。正式には「博多万能ねぎ」といい、限られた農家で栽培される美味しい青ネギのことなんです。
アサツキとわけぎ(分葱)の違い
アサツキや青ネギに似た、わけぎ(分葱)という野菜をご存知でしょうか?それぞれ同じヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属の野菜でとてもよく似ていますが、これも種類の違う野菜です。
わけぎ(分葱)はアサツキ同様球根から育つ多年草です。ネギと玉ねぎの雑種で、春と秋に旬を迎えます。葉はアサツキより太く7mm〜10mm、葉の長さ15cm程で収穫されます。青ネギやアサツキよりも香りは控えめです。ふっくらとした白い根元部分に強い甘みがあるため、葉と一緒に球根も食されます。調理するとぬめりが出るのが特徴で、薬味や酢味噌和え(ぬた和え)、炒め物など、幅広い料理に使われます。
アサツキの球根は生で食されることも多く、爽やかな辛味や苦味がやみつきになりますよ。
アサツキに似た野菜
わけぎ以外のアサツキに似た野菜「チャイブ」と「ノビル」を紹介します。
チャイブ
チャイブは「西洋アサツキ」と呼ばれ、日本ではまだ馴染みの薄い存在です。しかし、ヨーロッパの家庭では、料理に欠かせない素材の1つといわれています。アサツキの原種のため、アサツキにそっくりな見た目ですが、辛味も香りもアサツキより控えめです。大きな違いは、冬以外、夏場でも収穫できることです。
ヨーロッパでもスープや卵料理に混ぜて使います。日本と同じ使い方をするんですよ。
ノビル
ノビル(野蒜)は、春の短い時期にだけ見られる野草の1つです。ニラに似た細い葉ですが、葉先全体が垂れ下がり成長するのが特徴です。球根部分が特徴的で、アサツキのらっきょう型に対し、小さい玉ねぎのような丸い形をしています。その小さな球根部分と葉の部分が食され、ネギと玉ねぎの中間のような味わいです。
毎年、ニラやノビルと間違えてスイセンの葉を食べてしまい、食中毒になる事故が起きています。安全が判断できない野菜は食さないようにしましょう!
出典:写真AC