野菜の食べ方
栄養豊富な野菜は健康維持に欠かせないものです。野菜の食べ方は生野菜と温野菜の大きく2つに分けられます。どちらがよいかは野菜の種類などによって異なり一概には言えません。それぞれにメリットもデメリットもあるため、どちらか一方だけでなく両方のよいところを取り入れましょう。
生野菜として食べる
健康や美容によいビタミンCや酵素などは加熱すると失われてしまいますが、生野菜ならしっかりとれます。しかし、野菜には体に悪い菌や寄生虫などが付いていることもあり、生食すると食中毒のリスクが高くなるため、よく洗ってから食べましょう。妊娠中や体調が悪いときなどには要注意です。
生野菜のメリット
- 野菜に含まれる栄養素をそのままとれる
- 満腹感を得られやすく食べ過ぎ防止になる
- 手間をかけずに食べられる
生野菜のデメリット
- 温野菜よりも食中毒のリスクが高い
- かさが多く一度に大量に食べれない
- 体が冷えやすい
温野菜として食べる
かさが少ない温野菜は効率的に野菜をとるのにぴったりな食べ方です。βカロテンなど細胞内にある栄養素も加熱によって細胞壁が柔らかくなり、吸収率がアップします。一方で、加熱によって失われる栄養素もあるため注意しましょう。ゆでると水溶性のビタミン・食物繊維なども流出することから、できるだけ栄養を逃がさない工夫が必要です。
温野菜のメリット
- 効率的に野菜をとれる
- βカロテンなどの栄養素を吸収しやすくなる
- 柔らかく消化しやすい
- 温かい状態で食べれば体が温まる
温野菜のデメリット
- 熱に弱い栄養素が失われる
- ゆでると水溶性の栄養素も流出する
- 加熱し過ぎると色や歯ごたえが悪くなる
生野菜におすすめの種類5選
ビタミンCや酵素をしっかりとれて満腹感も得られやすい生野菜は、ダイエット中の食べ過ぎや美容を気にする人におすすめです。食物繊維の便秘改善効果を期待するなら、形のあるままでとれるサラダなどにしましょう。一方で、生野菜を効率よくとりたいときにはスムージーがぴったりです。
①大根
大根にはビタミンCや消化酵素のアミラーゼ、辛み成分のイソチオシアネートなど健康によい成分が含まれており、これらの成分はいずれも熱に弱く生食がおすすめです。アミラーゼには炭水化物の消化を促し胃もたれなどを予防する効果、イソチオシアネートには老廃物の排出を促す効果があります。
大根おろしなら栄養を余さずとれる
皮ごと食べると大根の栄養を無駄なくとれます。生のままサラダや大根おろしなどにしましょう。時間がたつとイソチオシアネートが失われるため調理後すぐに食べてください。大根おろしにするならイソチオシアネートが溶けている汁までとりましょう。大根の辛みが苦手な場合は、辛みの少ない上部を使ってください。
②玉ねぎ
玉ねぎやニンニクに含まれる辛み成分アリシンには血液をサラサラにするなど健康によい効果がありますが、熱に弱く水に溶けやすいです。そのため、アリシンの効果を期待する場合には生食をおすすめします。ただし、生の玉ねぎを食べ過ぎると胃痛や腹痛が起きることもあるため注意してください。
空気にさらすと食べやすくなる
玉ねぎの辛みが苦手な場合は繊維を断つように切り、15分ほど空気にさらしてください。空気に触れることで辛みが和らぎ食べやすくなります。なお、水にさらすとアリシンが流出してしまうため注意しましょう。空気にさらした玉ねぎは、生のままサラダなどにして食べるのがおすすめです。
③パプリカ
パプリカは甘みがあって食べやすい野菜です。ピーマンが苦手な人でもパプリカならおいしく食べられるかもしれません。また、生パプリカのきれいな色は食卓に彩りを添えてくれます。味や見た目を活かした生食がおすすめです。なお、パプリカに含まれる栄養素は熱には強いものの、ゆでると流出してしまうのが弱点です。
複数色を使うと華やかさが増す生野菜
サラダやピクルスなどに複数色のパプリカを使うと、見た目がより華やかに仕上がります。しっかりとした歯ごたえを楽しみたいときには繊維に沿って切ってください。反対に、繊維を断つように輪切りにすると軽い歯ごたえで花のような形の断面も美しいです。色鮮やかなパプリカはスムージーなどにもよく利用されます。
④キャベツ
キャベツは低カロリーでビタミンCが豊富な野菜です。また、胃の健康を保つ効果のあるキャベジンも含まれています。ビタミンCもキャベジンも熱に弱いため、キャベツは生食がおすすめです。生キャベツならではのシャキシャキとした食感も楽しめます。栄養豊富な芯まで利用しましょう。
油と一緒にとると栄養素が吸収されやすくなる
キャベツには脂溶性のビタミンKも含まれているため、油と一緒にとれるコールスローサラダや千切りにして肉料理の付け合わせなどにするのがおすすめです。なお、ビタミンCが流出してしまうことから、キャベツは長時間水に浸さないでください。硬い芯もそぎ切りにして使い切り、食べ方のバリエーションを増やしましょう。
⑤ブロッコリー
ブロッコリーは温野菜として食べるのが一般的ですが、効率のよい栄養摂取なら生食がおすすめです。つぼみだけでなく茎も生食でき、生のほうが葉酸・カリウム・ビタミンCなどが多くとれます。また、ブロッコリーには体の解毒力・抗酸化力を高めるとされるスルフォラファンが含まれており、効率よくとるには生のままよく噛んで食べることが大切です。
水に浸けるとつぼみの中の虫まで取り除ける
ブロッコリーのつぼみには虫が入り込みやすいです。生食するときには流水で洗うだけでなく、つぼみを下にして水を張ったボウルにしばらく浸けてください。洗ったら、生のまま小房に分けてサラダ・漬物・スムージーなどに利用しましょう。茎が硬くて食べれない場合は、皮を厚めにむいて千切りにすると食べやすくなります。
温野菜におすすめの種類4選
アクの強い野菜や加熱したほうが栄養の吸収率がアップする野菜などは温野菜におすすめです。加熱することで野菜の味や食感が変わり、野菜が苦手な人でも食べやすくなることがあります。炒める・ゆでる・蒸すなどさまざまな方法の中から、野菜に含まれる栄養素などにあった食べ方を選びましょう。
①ニンジン
ニンジンに含まれるβカロテンは体内でビタミンAに変化して作用し、皮膚や粘膜の健康維持に効果があります。βカロテンの吸収を高めるおすすめの食べ方は温野菜としてとることです。ニンジンだけでなくかぼちゃ・ピーマンなどのβカロテンを多く含む緑黄色野菜は加熱調理に向いています。
すりおろせば皮まで食べやすい
ニンジンは栄養豊富な皮ごと使用しましょう。皮の食感が苦手な場合は、すりおろしてポタージュやキャロットケーキなどにすると食べやすくなります。また、脂溶性のβカロテンは油で炒めたり、肉や卵など脂質の多い食材と一緒にとったりすると吸収率がアップします。グラッセや炒め物などにおすすめです。
②トマト
トマトが赤いのは細胞の老化を防ぐ効果のある色素成分リコピンを含んでいるからです。リコピンの吸収を高める食べ方は温野菜としてとることです。トマトにはβカロテン・ビタミンC・カリウムなども豊富に含まれています。加熱したトマトは食べやすいため、生のトマトが苦手な人にもおすすめです。
リコピンは油と一緒にとるとよい
脂溶性のリコピンは油と一緒にとることで体内に吸収されやすくなります。焼きトマト・ピザ・パスタ・トマトソースなどにおすすめです。トマトも皮に栄養が多く含まれているため、トマトソースにするときには皮ごと使ってください。水を使わない方法で調理し、ビタミンCなど水溶性の栄養素も逃さないようにしましょう。
③ほうれん草
ほうれん草やごぼうなどのアクの強い野菜は生食には向きません。生のほうれん草にはシュウ酸が多く含まれており、食べ過ぎると結石ができることもあるため要注意です。苦手な人も多いほうれん草特有のえぐみを取るためにも、シュウ酸を減らしてから食べましょう。なお、生のまま食べたいときにはシュウ酸の含有量が少ない「サラダほうれん草」を選びましょう。
おいしく食べるにはアク抜きが必須
水溶性のシュウ酸は、ゆでたほうれん草を水にさらすアク抜きによって減らせます。ゆでるときには塩を少量加えて変色を防ぎましょう。ゆで過ぎると食感が悪くなってしまいます。下処理の済んだほうれん草は食べやすいサイズに切り、ゴマ和え・ソテー・汁物などさまざまな料理に利用できます。
④じゃがいも
長芋や山芋を除き、いも類に含まれるデンプンは未加熱の状態では消化されにくいです。生のまま食べ過ぎると消化不良を起こすこともあります。また、じゃがいもはビタミンCが豊富な野菜ですが、じゃがいものビタミンCはデンプンに守られているため、加熱しても失われにくいのが特徴です。
皮ごとゆでると栄養が逃げにくい
じゃがいもに含まれるビタミンCを効率よくとるには、皮ごとゆでる・電子レンジ調理・汁物にするなどの調理方法がおすすめです。ポテトサラダやじゃがバター、カレーなどさまざまな料理に使用しましょう。なお、芽や光が当たって緑色になった皮にはソラニンという体に悪い成分が含まれるため、必ず取り除いてください。
次ページでは、生野菜として食べると危険な種類を紹介します。