イエダニの生態
イエダニとはねずみやねずみの巣に寄生する、吸血性の害虫です。大きさは0.7~1.0cm程で白~淡い褐色です。吸血すると大きさ1.0~1.3cm程で赤黒く膨らむため肉眼でも確認できます。本来はクマネズミ・ドブネズミや巣に寄生しますが、環境があうと人間にも寄生します。
綱 | クモ綱 |
目 | ダニ目 |
亜目 | トゲダニ亜目 |
科 | オオサシダニ科 |
種 | イエダニ |
学名 | Ornithonyssus bacoti |
イエダニは、世界中の温帯・熱帯地方に存在しています。イエダニが注目を浴びたのは、1913年エジプトです。日本での被害が出始めたのは1926年ごろ、関東大震災での国外からの救援物資にねずみが入り込んだことによって日本でも被害の拡大がみられました。
特徴①人を刺す
ダニの種類のうち、ツメダニとイエダニは人間の皮膚を刺します。ツメダニはあえて刺すわけでなく間違って刺してしまう様子ですが、イエダニは血液が餌となり血液から栄養を得て、産卵することができます。対策しないとダニが増殖し、症状が悪化していきます。
特徴②高い繁殖力
メスのイエダニ1匹の生涯の産卵個数は、100個程です。数日のうちに20個ずつ産卵していきます。卵から成虫になるまでは2週間程度ですので非常に繁殖力が高く、繁殖は夏が多いです。寄生先をたどる方法は、二酸化炭素です。動物が近くにいると察する能力があります。
ボタ爺
ボタニ子
その寿命が尽きるまでにかなりの繁殖をするのね!
特徴③哺乳類に寄生
ねずみが家の中にいないからといって、安心はできません。どこから持ち込んでしまうかは、人間やペットの行動範囲内にいるねずみや巣からです。散歩中にねずみに接触したり、ネコがねずみを退治したりすることでも寄生され、家に持ち込んでしまうのです。
ボタニ子
人間だけが被害にあう害虫ではないのね!
特徴④宿主がいれば生存できる
イエダニは寄生する相手の巣が居場所になります。他種のダニの餌は、ほこり・食べカス・人間のフケやカビですが、イエダニの餌は哺乳類の血液です。宿主が存在する場所であれば冬でも活動できますので、他種のダニとは異なります。根絶しないと症状は消失しないでしょう。
ボタ爺
イエダニは冬でも繁殖活動できるんじゃ。冬にかゆみを伴う症状が出たら、イエダニが怪しいのぅ。
ボタニ子
イエダニを疑うってことはねずみの対策をしないといけないってことね!
特徴⑤鳥に寄生することもある
イエダニは鳥にも寄生します。ねずみが家の中にいないのにイエダニが確認された場合、鳥の巣が家の周りにないか確認してください。鳥が不在でも巣にイエダニが存在する場合、外に出て人間に寄生する可能性があります。鳥が媒介の場合、小鳥が巣立つ5~7月に発生が多くなります。
イエダニの被害が多い季節とは
6~9月に発生が多く見られます。イエダニの生態から、他種のダニのように暖かく湿った状態が1番活発に活動できるというわけではありません。冬でも宿主がいれば活動できますので、冬に発疹がかゆくなる、またはかゆみを伴う腫れがあらわれた場合は疑わしいでしょう。
ボタニ子
イエダニに刺されると、どのような症状があるのかしら?次のページで紹介しますね。
寿命は3ヵ月(100日)ほどじゃが、あっという間に成虫になって卵を産み始めるんじゃ。