はじめに
皆さま、カメムシはお好きですか?おそらく、多くの方は嫌いでしょうね。あの臭い、好きになれるはずがありません。そんなカメムシ、どのような駆除方法があるのでしょうか。名前の由来をはじめ、種類や食用カメムシの話題も含めて、その実態に迫ります。
カメムシの特徴
前半で、カメムシの分類や名前の由来、臭いの成分についてご案内します。カメムシが発するあの臭いの成分は何でしょうか。また、後半ではカメムシが与える被害や習性に迫ります。
基本情報
カメムシは、カメムシ目カメムシ亜目に分類される昆虫で、アメンボやタガメが仲間です。種類が非常に多く、日本では1,500種以上、世界中で40,000種以上のカメムシがいると言われています。形態として、ストロー状の口が共通の特徴です。背中に折りたたんだ羽で、餌を求めて飛び回ります。
カメムシ類は世界で4万種以上、日本だけでも1,500種余が知られ、農作物の害虫であることも多い。
名前の由来
丸い外見が亀の甲羅に似ているため、「亀虫」と呼ばれるようになったのが由来です。方言として多くの地域では、「へっぷりむし」や「へこきむし」の名前でも呼ばれています。いずれも、臭いを出す特徴が由来です。
「椿象」もカメムシ
漢字で「椿象」と書いても読み方はカメムシです。元となった中国語で「椿」はツバキではなく、チャンチンという香り高い植物を示します。「象」も動物ではなく「~のような」の意味で、「チャンチンのように香りを出す虫」が「椿象」の意味です。なお、チャンチンの香りはくさくありません。
臭い
カメムシと言えば、あの臭いです。パクチーにも含まれる「トランス-2-ヘキセナール」という化合物が主成分です。動物が本能的に警戒する臭いで、これによりカメムシは捕食者から身を守っています。ただ、嗅覚が弱い鳥に対しては、あまり効果はありません。
農業害虫としての被害
カメムシは植物を食用とするものが多く、農業上の重要害虫です。お米の場合、刺された部分が茶色く変色する、斑点米などの被害があります。また、果物の被害は硬化、へこみ、カサブタ状の傷の発生などです。いずれも、商品価値を著しく低下させてしまいます。
不快害虫としての被害
家の中に侵入したり、非常に嫌な臭いを発するカメムシには、農業害虫だけではなく、不快害虫としての側面もあります。窓や壁に群れている姿も、どちらかと言えば不快ですよね。群れるのはカメムシの習性で、フェロモンにより集まります。
なぜ家に入ってくるのか?
偶然迷い込む場合もありますが、カメムシは選択的に人家に侵入しています。冬越しに備えて、暖かい場所を求めて移動するからです。そのため、カメムシ侵入の被害は10~11月に多く発生します。洗濯物や壁に付くのも、日当たりがよく暖かいためです。
代表的なカメムシ
代表的な害虫カメムシ5種をご紹介します。アオカメムシ、クサギカメムシ、マルカメムシ、ホオズキカメムシ、クモヘリカメムシの5種です。衛生害虫である前の3つは、皆さまも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
アオカメムシ(青椿象)
カメムシ、というと緑色のこの姿を想像する方が多いのではないでしょうか。代表的なカメムシで、アオクサカメムシやミナミアオカメムシなど複数の種類がおり、「アオカメムシ」はこれらの総称です。お米や果物だけではなく、ヒノキの実など、とても広い範囲の植物を餌とします。
クサギカメムシ(臭木椿象)
アオカメムシよりも一回り大きな茶色いカメムシで、色違いではなく別の種になります。アオカメムシ同様、広い範囲の植物を餌にします。東アジア原産ですが、自動車などの貨物に紛れ込むことで世界中で分布を拡大しており、アメリカやオーストラリアなど各地で警戒中の昆虫です。
マルカメムシ(丸椿象)
名前のとおり丸い形をした、1cm程度のカメムシです。広い範囲の植物を餌としますが、特にダイズやアズキ、クズなどのマメ科植物を好みます。よく目にするのは、餌のクズが大変身近な雑草であるためです。小さなカメムシですが、くささは変わりません。
ホオズキカメムシ(鬼灯椿象)
後脚が特徴的な、植物の茎に針を刺すカメムシです。トマトやピーマン、ナス、ジャガイモなどのナス科植物の他に、サツマイモなどを食害します。一夫多妻制をとったり、縄張りを持ったりと、珍しい習性のあるカメムシです。縄張りに他の雄が侵入すると威嚇します。
クモヘリカメムシ(蜘蛛縁椿象)
イネの害虫で、本州以南に広く分布します。あまりカメムシらしくない、スマートな体系はホソヘリカメムシ科の特徴です。イネの他にエノコログサ(ネコジャラシ)やオヒシバなど、イネ科植物の実を吸汁します。
出典:写真AC