ガーデニングの厄介者のアブラムシ
ガーデニングで頭を悩ませるのが害虫です。なかでもアブラムシは発生しやすく、被害を受ける植物が後を絶ちません。アブラムシは茎や葉から栄養分を吸汁し、大切に育てている植物を枯らしてしまいます。
アブラムシの生態
アブラムシは体長1~4mmの、白い羽をもった害虫です。植物に寄生すると生育不良を起こさせたり、病気を媒介したりします。1匹で30匹もの子を産め、放置していると爆発的に増えるため、早めの対処が欠かせません。また、アリとは共生関係にあり、体から分泌する甘い液でアリを引き寄せて、アリに身を守らせています。
アブラムシの発生時期
アブラムシの動きが活発になるのは、3~10月の気候が穏やかな時期です。西日本の太平洋側では暖冬の影響もあって一年を通して気温が高く、常にアブラムシが発生しやすい環境です。一方、北日本や東日本では越冬できない場合もあるため、晩秋や冬場にはアブラムシが発生しにくくなります。
アブラムシが発生する原因
アブラムシが好む環境になっている
アブラムシには、好む植物や居心地のよい場所があります。枝や葉の数が多く、混みあっている植物はアブラムシの被害が広がりやすいです。アブラムシが葉の裏に潜んでいても、葉や枝が密集していると、大量発生する前に発見するのが難しくなります。また、風通しの悪い植物は雨がしのぎやすく、アブラムシが好む環境です。
アブラムシが増えやすい気温
アブラムシが好むのは雨が少なく、15~30℃の温暖な気候です。気温35℃以上になる夏場は動きが鈍ります。冬の寒さには通常耐えられませんが、卵の姿で越冬し、春の暖かい時期になると再び増えはじめる種類もいます。室内や西日本の地域では気温が高く、アブラムシが活動できる環境が保たれやすいため、一年中発生することも珍しくありません。
土の窒素分が多い
植物の成長をうながす肥料も、アブラムシを寄せ付ける原因の一つです。肥料を与えると土の窒素分が増え、植物は窒素を元にアミノ酸を多く蓄えます。アブラムシは植物のアミノ酸を求めてやってくるため、肥料を多く与え過ぎるとアブラムシがたくさんやってきます。アブラムシを防ぐためには、土の窒素分をむやみに増やさないことが大切です。
重曹を使ったアブラムシ駆除
殺虫剤や農薬を使わないアブラムシ対策のなかでも、注目されているのが重曹スプレーを使用する方法です。実際に試した方の体感では、7割ほどのアブラムシが駆除できたという意見もあり、ほかの方法と比べても効果が高いとされています。
重曹スプレーの作り方
重曹と食用油をあわせたものを、水に加えてよく混ぜます。水に油を入れると分離しやすいですが、台所用の中性洗剤を1~2滴落とすと混ざりやすくなります。使用するときもよく振ってスプレーしてください。重曹と水だけでもスプレーは作れますが、油を加えるとより効果が高くなりますよ。
重曹スプレーの効果的な使い方
植物についているアブラムシに向けて、重曹スプレーを直接吹きかけます。散布したあとは乾くまで待ち、十分に水で洗い流してください。洗い流しが足りないと、葉が黒くなる恐れがあります。使用する前に植物の目立たない部分で、変色が起きないかテストしてから全体に吹きかけるとよいでしょう。
薬剤を使わないアブラムシ駆除
アブラムシの被害が少ないうちなら、薬剤を使わなくても対処できます。あまりアブラムシ対策に農薬を使いたくない場合は、大量発生する前に駆除できるように、普段からアブラムシがいないかこまめにチェックしておきましょう。
アブラムシ駆除の方法①重曹以外で作る駆除スプレー
牛乳スプレー
アブラムシの呼吸穴を牛乳の膜でふさぎ、窒息させて除去する方法です。牛乳をそのままか水で薄めて霧吹きに入れ、アブラムシに吹きかけます。スプレーした牛乳を乾かし、においやアブラムシを残さないように水洗いしたら作業完了です。散布するのは、牛乳が乾きやすい晴れた日がよいですね。
片栗粉スプレー
料理でおなじみの片栗粉でも、アブラムシ駆除スプレーを作れます。鍋に水と片栗粉を入れ、火にかけて沸とうさせます。沸とうした後は3分間煮立たせてください。液体が冷めてからボトルに詰めて完成です。アブラムシが潜む場所にスプレーすると、片栗粉でアブラムシを固めて撃退できます。
お酢スプレー
お酢に含まれるクエン酸は、害虫駆除効果が期待できます。約30倍の水で薄めて、葉の裏や茎に吹きかけてください。お酢スプレーはややにおいがきついのと、量によっては葉が変色する恐れがあるというデメリットがあります。
ボタニ子
お酢の代わりに、クエン酸の粉末を使ってもスプレーが作れるよ!
ボタ爺
クエン酸の場合は約2000倍に希釈して使用するんじゃ!
とうがらしアルコールスプレー
とうがらしにアルコールを加えることで、辛み成分に含まれる殺虫効果を高めたスプレーも駆除にぴったりです。ウォッカや消毒アルコールなどを使用して作成します。アルコールがない場合は、クエン酸を含むお酢500mLでも代用可能です。ビンの中にとうがらしを入れ、2週間寝かせます。できた液体は150~300倍に薄めてスプレーしてください。
ボタニ子
トウガラシスプレーは刺激が強いから、マスクや手袋、ゴーグルをつけて作業しようね!
アブラムシ駆除の方法②アブラムシを直接撃退する
粘着テープでアブラムシ駆除
粘着テープでアブラムシをくっつけて、駆除する方法です。使用する粘着テープはガムテープや、コロコロと転がして掃除をするテープ式掃除用具などを使います。小さい葉や芽のような、細かい部分の場合は、セロテープを使うのがおすすめです。アブラムシが少ないうちに、ペタペタとくっつけて除去しましょう。
トルシー
害虫捕獲粘着紙 トルシー
参考価格: 2,310円
トルシーは、「アブラムシは黄色いものに寄ってくる」という性質を利用した、粘着テープ式捕獲紙です。植物の近くに設置しておくだけで、アブラムシやアザミウマといった害虫をどんどんキャッチします。水に濡れても接着力が落ちにくいため、屋外でも安心して使用できますよ。
内容量 | 50枚 |
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サイズ | 10cm×23cm |
アブラムシを洗い流す
アブラムシを流水で洗い流してしまうのも、植物に優しい方法です。アブラムシを指でこすり落としながら、水で流します。直接虫を触るのに抵抗がある場合は、歯ブラシを使って優しくこするとよいでしょう。除去したアブラムシをそのまま放置すると繁殖してしまうため、袋や容器にまとめて処分してください。
天敵でアブラムシ駆除
アブラムシの天敵はナナホシテントウやナミテントウといった、身近な場所でよく見つかるテントウムシです。テントウムシ1匹でアブラムシを10匹は捕食するため、複数いれば効率的に駆除できるでしょう。ただし、テントウムシはアブラムシを食べたあと飛んで行ってしまいます。密閉された空間以外で効果は期待できません。
ボタニ子
次のページからは、あらかじめアブラムシを防ぐ方法について解説していくよ!
出典:写真AC