はじめに
オリーブアナアキゾウムシは、その名の通りオリーブの木に穴をあけ、前頭部に象の鼻のような形をした出っ張りがついている虫です。その頑丈な突起を使って、オリーブの樹皮を食い荒らしていくので、発見が遅れると、1年で数百本ものオリーブの木を枯らしてしまうこともあります。
ボタニ子
オリーブアナアキゾウムシの生態
オリーブアナアキゾウムシの生息地
オリーブアナアキゾウムシは日本固有種で、本州、四国、九州、八重山諸島などに生息しています。
オリーブアナアキゾウムシの一生
オリーブアナアキゾウムシは越冬することができ、寿命は3~4年です。幼虫からさなぎ、そして成虫へと変化します。その一生の間に卵を平均して200個ほど産むと言われています。活動期は3月下旬から11月上旬までで、成虫になる前に冬を迎えた幼虫も越冬することができます。
ボタニ子
虫でありながら数回も越冬するとは驚きです。
オリーブアナアキゾウムシの食べ物
オリーブアナアキゾウムシはイボタノキ、ネズミモチ、オリーブの材部を食べますが、その中でもオリーブを好んで食します。幼虫は樹皮に潜入し、ぐるぐる回るようにオリーブの幹の柔らかい部分を食い荒らしていきます。成虫になると、地面土近くの樹皮から、若い枝の樹皮まで食べます。オリーブアナアキゾウムシは樹皮が大好物なのです。樹皮を食べつくすとオリーブの実を食べることもあります。
ボタニ子
ちなみに葉は食べません。
オリーブアナアキゾウムシの被害が発生しやすい時期
オリーブアナアキゾウムシの活動期はとても長く、3月下旬~11月上旬です。産卵時期も4月~10月と長く、産み付けられた卵は10日ほどで孵化し、2か月ほどで成虫になります。そのため、成虫と幼虫のどちらも活発に活動している時期、つまり8~10月は一番被害の多く出る時期と言えます。
オリーブアナアキゾウムシの駆除方法①捕殺
無農薬でオリーブアナアキゾウムシからオリーブの木を守るには、被害が大きくなる前に捕まえることが一番の対策です。では、幼虫や成虫がどこに潜んでいるのか、その見つけ方についてご説明します。
オリーブアナアキゾウムシの幼虫の見つけ方
高さ40cm以下の根元周辺
多くの幼虫は木の根元周辺の土から10cm程度の低い位置に潜んでいます。土の部分から40cmを超えることは稀です。幼虫を見つけるには、まず根元周辺をしっかりと観察しましょう。
根元周辺の木くず
幼虫は木くずのような糞を出しながら樹皮を食べていきます。そのため、木の根元に木くずのようなものがあった場合は要注意です。幹中に幼虫が潜んでいるかもしれません。ドライバーなど先が細く固いものを使って周辺をほじってみましょう。幼虫によって食い荒らされているため比較的簡単にほじることができます。
小さな穴や黒い染み
オリーブアナアキゾウムシの幼虫発見の最大のポイントは、木くずのような糞ですが、その糞が見られない場合もあります。木に5mmほどの小さな穴があいていたり、その小さな穴から黒い液のようなものが滲み出てシミがあったりすることも幼虫発見のポイントです。
オリーブアナアキゾウムシの成虫の見つけ方
木の根元周辺や落ち葉の中
成虫は体の色がオリーブの木肌の色によく似ていることから、少々見つけにくいといえます。一番多くいる場所は幼虫と同じく木の根元です。ごつごつした根元では、よく観察しないと見落としてしまいます。また、日中は木の根元や落ち葉に潜んで静かに過ごしていることが多いです。落ち葉をめくって裏側を見るなど、丁寧に探しましょう。
低い枝や支柱と木の接合部分
次に多いのは、地面から1m程の高さの低い位置にある枝や支柱と木の接合部分です。支柱と木の接合部分にできる狭いすき間はオリーブアナアキゾウムシが隠れやすい場所といえます。しっかり観察すれば、こちらは目視できるので発見しやすいでしょう。
オリーブアナアキゾウムシの駆除方法②殺虫剤
オリーブアナアキゾウムの駆除や発生の予防で一番効果的なのは、やはり農薬の散布です。オリーブの実の収穫を目的にされている方にとって無農薬での栽培はとても魅力的ですが、無農薬にこだわるあまり害虫によってオリーブの木が弱ってしまったり枯れてしまったりしては元も子もありません。農薬を上手く取り入れ、正しい使い方をすれば無農薬と同じく安全に実を収穫することができますので、ぜひ活用しましょう。
殺虫剤による駆除と防除
殺虫剤にはオリーブアナアキゾウムシを殺す作用があります。また害虫を寄せ付けない作用、つまり防除の効果もあります。防除とは、予防して害を受けないようにすることです。時期をあけて殺虫剤を数回使用することで、防除と駆除の高い効果が期待できます。
オリーブアナアキゾウムシの駆除に使える殺虫剤
オリーブアナアキゾウムシ駆除!スミチオン散布
住友化学園芸 スミチオン乳剤 100ml
参考価格: 756円
容量 | 100ml |
---|---|
有効成分 | MEP |
適用 | バラ、花類、トマト 他 |
希釈倍率 | 1000〜2000倍 |
殺虫剤であるスミチオン乳剤を50倍に薄めた液を4~8月にかけて葉や樹幹にかけます。果実にかからないよう注意して散布します。散布回数は3回以内とし、収穫の3週間前は散布してはいけません。また、毎年スミチオンを使用しないようにしましょう。同じ農薬を連用してしまうと耐性ができてしまいオリーブアナアキゾウムシの駆除に効果を発揮しなくなってしまいます。
オリーブアナアキゾウム駆除!アディオン水和剤
同じ農薬の連用を避けることについては上記で説明したとおりです。では、スミチオン以外の殺虫剤にどのようなものがあるのか説明します。それはアディオン水和剤です。2000倍に薄めたものを使用し、散布回数は2回以内とします。こちらの農薬は収穫の7日前まで散布することができます。
オリーブアナアキゾウムシ駆除!ダントツ水溶剤
オリーブアナアキゾウムシに使える殺虫剤。最後はダントツ水溶剤です。こちらも2000倍に薄めたものを使用し、散布回数は2回以内です。収穫まで気を抜けない害虫の発生ですが、ダントツ水溶剤は収穫の前日まで使用することができます。
オリーブアナアキゾウムシの予防方法
オリーブアナアキゾウムシは飛ぶことができます。そのため移動ができる多くの害虫と同様、オリーブアナアキゾウムシの発生を完全に抑えるのは残念ながら難しいといえます。いかに早く見つけるか、いかに害虫の拡大を防ぐかということが大切です。そこで、オリーブアナアキゾウムシの発生拡大を予防するためにできる日頃のケアについてご説明します。
雑草や落ち葉の処理
根元周辺を裸土の状態にする
オリーブアナアキゾウムシを発見するためには、オリーブの木の根元にある雑草や落ち葉をしっかりと取り除き、土が見えるように手入れをしておくことが大切です。理想は、根元周辺の半径1mを一年中裸土の状態にしておくことです。地道な方法ではありますが、劇的にオリーブアナアキゾウムシの発生が減少します。
剪定する
剪定のメリット
木にとって剪定には多くのメリットがあります。樹形を整えることはもちろん、整枝することで日光がよく当たり成長を促します。風通りもよくなるので剪定することで病気の予防になります。
剪定に適した時期
剪定に適した時期は、木の成長が穏やかな2~3月頃です。ただし、枝に成虫による食害が見られた時は時期に関係なく枝ごと切り落とし、被害の拡大を防ぎましょう
害虫に負けない元気な木にする
不要な枝を適切に切ることでオリーブの木が元気に成長します。勢いのある木は少々オリーブアナアキゾウムシに樹皮を食害されたとしても、枯れてしまうことはありません。しっかりと実をつけてくれるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?大切なオリーブの木を守るためには常日頃からの観察で小さな異変に気付き、早期に対策することがとても大切です!地道に思える日頃のお手入れで、劇的にオリーブアナアキゾウムシの発生を減らすことができますよ。予防と駆除をしっかり行えば木を枯らしてしまうほどの被害は防げます。元気なオリーブの成長を楽しんでくださいね。
一体どんな虫なのか、まずはその生態についてご説明します。