わさびを自宅で自家栽培するのは難しいの?
わさびを自家栽培するのは難しいといわれています。畑などで家庭菜園をする場合、水やりや気温の管理にとても手がかかるからです。ただし、自宅のプランターなどでわさびを栽培するのはさほど難しいわけではありません。わさびの根茎を作るのは難しいかもしれませんが、葉わさびや茎わさびを楽しむことは大いに可能です。栽培環境に注意して、育て方をしっかりと学んで、さっそくはじめてみましょう。
わさびは山葵
わさびを漢字で書くと山葵となります。わさびの葉と葵の葉は似ているため、「山葵」としたのではないかと考えられます。ただし、山葵の語源はかなりあいまいで、「山葵」の漢字が見られるのは平安時代の『本草和名』という書物ですが、同時代の別の本に山葵ではない字を当てているとあります。つまり、よくわかっていないというのが本当のところのようです。
わさびの葉
とはいえ、山葵という字が使われることで、高貴な印象を受けます。葵といえば紋章のモチーフに使われ、日本の固有種であることなどから、山葵と使うと高潔な植物のように感じます。わさびの葉の形を心臓のようだという表現もあるように、わさびは健康や治療に関連していることを暗示します。
わさびの花
事実、わさびには殺菌や食欲増進などの効能が知られています。このように、わさびには山葵たる所以があり、そんな山葵を自家栽培してみたくなります。難しいといわれる山葵ですが、自宅でぜひ育ててみましょう。
わさびの種類を知ろう
わさびは日本固有の種で、学名はWasabia japonicaといいます。また、わさびには、育て方のちがいによって、大きくふたつに分けることができ、畑で育てるわさびを畑わさび、陸わさび、丘わさびなどと呼ぶのに対して、清流で育てるわさびを水わさび、沢わさびなどと呼びます。
この畑わさびと沢わさびは、本わさびと呼ばれ、根わさびと区別します。根わさびは、西洋わさびと呼ばれるわさびです。本わさびは、日本で作られたわさびであり、根わさびに比べて味わいがいいことから、この本わさびを高級品として扱うこともあります。
育て方が難しいとされている沢わさび
わさびと聞くと、山中の沢で育ったわさびを想像しますが、このわさびが沢わさびです。沢わさびは、渓流などを利用して作られた「わさび田」で栽培され、この栽培方法で作られたわさびは根を食します。刺身に添えられたすりわさびなどは、この方法で栽培されたものです。
沢わさび
沢わさびは、ふんだんな清流を利用して栽培されるため、きれいな水が必要とされます。このため、栽培する場所が限定され、栽培が難しいとされています。
畑で栽培される畑わさび
畑わさびは、畑で栽培するわさびのことで、葉や茎を食します。店頭で販売されているねりわさびなどの原材料として使われています。流水がなくても育てられ、夏が涼しく湿気の多い場所であれば栽培することができます。
畑わさび
畑わさびが大きく成長するには時間がかかります。苗を植えてから収穫できるようになるまでは、土の状況などにもよりますが、2~3年はかかります。
根わさびはおもにねりわさびとして
根わさびは、おもにヨーロッパの北部で栽培されている西洋わさびのことでで、日本では北海道などで栽培されています。根茎はなく、白い根を食しますが、和食には合わなかったため、日本ではあまり普及せず、ねりわさびの原料などに使われています。
根わさび
ただ、市販されているねりわさびの商品に「本わさび入り」と表記されている場合、本わさびが使われたねりわさびです。この本わさび入りのねりわさびは、根わさびで作られたねりわさびよりも高級品として扱われます。ねりわさびを購入する際、本わさび入りとそうではない根わさびのねりわさびなのかを確認してみましょう。
本わさびと根わさびのちがいって?
畑わさびと沢わさびに分類される本わさび。この両者は栽培方法がちがうものの、品種としては同じものです。しかし、本わさびと根わさびは、同じアブラナ科の植物ではあるものの、異なる属性の植物です。本わさびはワサビ属ですが、根わさびはセイヨウワサビ属で、本わさびの原産は日本ですが、根わさびの原産はヨーロッパです。
本わさび
わさびの特徴とは?
わさびはアブラナ科に属する常緑性の多年草です。おもに根を香辛料として利用しますが、花や葉も花わさびや葉わさびとして利用するため、わさびを育てると無駄なく利用することができます。
わさびの葉は、葉わさびと呼ばれ、根からは茎を10cnほど伸ばし、根茎を取りまくように伸びていきます。葉わさびは、軸となっている根茎の先から新しい葉を開きながら成長し、古い葉を落としていきます。葉わさびは、開いた若い葉を収穫し、わさび漬けなどで使われます。
わさびの花の開花時期は?
また、わさびの花は小さく白い花で、花の咲くのは3~5月ごろ。花を咲かせる前の状態で収穫したものを花わさびと呼びます。花わさびにも特有の辛みがあって、おひたしやあえ物、揚げ物など、さまざまな形で食されます。
日本での主な産地は?
おもな産地は静岡県、長野県、東京の奥多摩、島根などで、とくに匹見わさび(島根県益田市)、安曇野わさび(長野県安曇野市)、有東木わさび(静岡市)を指して日本三大わさびと称することがあります。
わさびの栽培方法
沢わさびと畑わさびのおおまかな栽培スケジュールは下表の通りです。なお、本わさびは沢わさびと畑わさびのどちらもに分類されます。根わさび(西洋わさび)に関しては本記事では割愛します。
栽培スケジュール概要
沢わさび | 畑わさび | |
3月 | 種まき | 種まき |
春 | 肥料 | 肥料 |
9~10月 | 苗の植えつけ | 苗の植えつけ |
10月 | 種まき | 種まき |
秋 | 肥料 | 肥料 |
2年後 | 収穫 | 収穫 |
自家栽培は難しいといわれるわさびを自宅で栽培すると決めたら、まずは必要なものを準備して、失敗を恐れずにはじめることをおすすめします。沢わさびは無理だと思われがちですが、水槽やペットボトルなどを使えば不可能ではありません。また、栽培キットなども販売されているため、とくに沢わさびを育ててみたい方はおすすめです。
沢わさびの栽培
沢わさびは、種まきができないため、プランターで種まきをして、苗が育ったら移植します。このため、種から沢わさびを育てようと考えてらっしゃる方は、畑わさびの種まきからの育て方を参考にしましょう。
沢わさびの準備
自宅で沢わさびを作ってみようという場合、水槽やペットボトルなどを準備します。水槽には酸素供給機などが付いているものもあるため、沢わさびをはじめる方におすすめです。わさびの根を川砂に埋めるため、川砂も必要です。
沢わさびの苗の植えつけ
自家栽培で沢わさびを育てる場合、水槽やペットボトルに苗を植えつけていきます。川砂を敷いて、根茎が隠れるまでの土を置き、そこに苗を植えていきます。土の表面から2~3cmくらいの高さまで水を入れます。
出典:写真AC