山わさびとは
山わさびとは名前のとおり、山に生えているわさびです。生命力の強い植物で、途中で切ったものを植えると再生し1年~2年で収穫が可能なため、自宅で栽培している人もいます。市販のチューブ状の生わさびの成分表を見ると「西洋わさび」と明記されていますが、これは山わさびのことで「ホースラディッシュ」や「レフォール」とも呼ばれます。
山わさびの可食部位
山わさびは根わさびと呼ばれる、地中に生えている部分をすりおろしたり刻んだりして食べますが、葉や茎も食べられます。根わさびの形状で販売されているものは、土に植えると発芽します。生えてきた葉や茎をおひたしにしたり、みじん切りにして醤油漬けにしたりするとよいでしょう。根わさびは細かくすりおろすと、辛みが増します。
本わさびとの違い
本わさびはきれいな水の中でゆっくりと、数年かけて育てられ緑色をしています。断面の黒い粒が辛さの元で、それほど強い辛さではありません。山わさびはおもに北海道の山に自生しており白く、自宅でも栽培できます。成長は早く1年ほどで収穫可能で、辛みが強いのが特徴です。本わさびはアブラナ科ワサビ属、山わさびはセイヨウワサビ属です。
山わさびの上手なすりおろし方
山わさびのすり方は本わさびと同様に、葉の付いていた部分からすりおろします。目の細かいおろしがねや鮫皮がおすすめです。右回りのおろし方がよいという説がありますが、それは右利きの方に限ったことで右のほうが力が入りやすいということです。逆に右利きの方が左手でおろすと、辛くない山わさびになるともいわれます。
ボタニ子
ボタ爺
ということは左利きの人が右回りですると辛くない、ということかの。
すり方の注意点
山わさびは本わさびに比べて辛み成分が多く、するときに真上から見ていると、目が痛くなり涙が出ます。大量の山わさびのおろし方は、ゴーグルをするか、山わさびとすりおろし器を透明なビニール袋に入れ、手袋をしておろすのがおすすめです。さらに、鼻呼吸ではなく口呼吸をしましょう。換気扇を回して、そちらに山わさびを置くすり方もよいです。
ボタニ子
フードプロセッサーを使えばよいと思うかもしれないけれど、そうすると辛さが飛んでしまうので頑張ってすりおろしてね。
ボタ爺
辛み成分は「アリルイソチオシアネート」といってな、揮発性で蒸発しやすいんだ。生わさびだとより辛いの。
山わさびを辛くする方法
山わさびは植物なので多少の個体差があります。刺激を求めて山わさびをすってみたら、思いのほか辛くないということもあるでしょう。その場合は、おろし金や鮫皮の上に少量の砂糖をのせてすってみてください。できるだけ細かくするのが辛くするおろし方です。辛み成分は皮に多く含まれているので、皮を剥かずにおろすのもよいです。
ボタニ子
辛み成分のアリルイソチオシアネートは、すりおろしてから5分くらいが辛さのピークなので、少しだけ置いてからが一番辛いわ。
山わさびの保存方法
あらめにすりおろすかみじん切りにした山わさびを、消毒したビンに詰めて醤油漬けにする方法だと冷蔵で2週間くらい保存できます。そのままの山わさびはきれいに洗って水気をふき、ラップでくるんで密閉できるビニール袋へ入れて保存ましょう。常温での保存方法だと1週間程度、冷蔵での保存方法だと2週間で香りが抜けてきます。冷凍保存した場合は1ヵ月くらいで使いきるのがおすすめです。
ボタ爺
醤油漬けにしたものは、冷凍保存すると2~3ヵ月は持つぞ。そのままでも冷凍保存方法が一番長持ちするの。
山わさびの食べ方【すりおろす】
①山わさびおかかご飯
山わさびおかかご飯は定番のレシピで、メニューとして出しているお店があるほどです。温かいごはんの上に、おかかとすりおろした山わさびを適量のせ、醤油をかけて豪快に食べます。醤油の代わりに、麺つゆや白だしをかけても美味しくいただけます。ダイレクトに山わさびの味を楽しむなら、生わさびですりたてがおすすめです。
②山わさびのすき焼き
すき焼きは牛肉はもちろんのこと、鶏や豚でもおいしいレシピです。通常すき焼きはとき卵につけて食べますが、甘辛醤油にすりおろした山わさびをといたものにつけて食べるのもおすすめです。ほかの具材も山わさびのさわやかな辛みと相性がよいので、すき焼きの漬け汁として味変に用意するのもよいでしょう。
③山わさびのサンドウィッチ
山わさびのサンドウィッチは、普段辛子やマスタードを使用しているのを置き換えるだけで、さわやかな風味になります。山わさびのサンドウィッチの具としておすすめなのは、ローストビーフやサラダチキンなどの肉系や、スモークサーモンやツナなどです。マヨネーズと接触しないように挟むと、より辛さが楽しめます。
④山わさびのやまかけ
山わさびのやまかけはとろろ芋にすりおろした山わさびを混ぜこみ、お好みのお刺身や海苔と一緒に醤油をかけていただくレシピです。すりおろしたばかりの山わさびをとろろ芋にまぜると、辛み成分や香りが逃げないため刺激的なやまかけを食べられます。初心者の方は少量から、上級者の方は好きなだけ混ぜて食べてください。
⑤山わさびと青菜の白和え
山わさびと青菜の白和えは、小松菜やほうれん草、春菊や三つ葉などお好みや旬の青菜がよいでしょう。水切りした豆腐にすりおろした山わさびと青菜を混ぜて、白だしや醤油でいただく料理です。人参やコンニャクなどを入れても美味しいですよ。豆腐のまろやかさのあとから追いかけてくる、山わさびの風味を楽しみます。
山わさびの食べ方【刻む】
⑥山わさびの涙巻
山わさびの皮を剥き、中の白い部分を細く刻み酢飯に巻いて海苔巻きを作ります。少し醤油につけて食べると、ツンと鼻にきて涙が出るのが名前の由来です。本わさびで作るものも涙巻といいますが、山わさびを使うと刺激多めの涙巻ができます。ご飯が白くきれいなので皮を剥いて作りますが、より刺激を求める場合は皮つきがよいでしょう。
⑦から揚げの山わさびダレ和え
山わさびのみじん切りを醤油にまぜたタレを、唐揚げにからめていただくレシピです。唐揚げの下味を薄めにしておくとタレをたくさん絡められるので、山わさびの風味が楽しめます。鶏のから揚げだけでなく、タコのから揚げやサバのから揚げも相性がよいです。山わさびが醤油でコーディングされるので、辛さが逃げにくくなります。
⑧山わさびのタルタルソース
自作したタルタルソースにみじん切りにした山わさびを加えるだけで、さわやかな鼻に抜ける辛さが楽しいソースに変身します。市販のタルタルソースに、刻んだ山わさびを混ぜこんでもよいでしょう。から揚げやエビフライにはもちろん、白いご飯やオムレツに乗せてもよいですし、クラッカーにのせればダイレクトにタルタルソースを楽しめます。
⑨山わさびのたこわさ
おつまみとして定番料理のたこわさのわさびを、山わさびに置き換えた料理です。タコに適量のみじん切りにした山わさびを和えて、味付けは白醤油や白だしだときれいに仕上がるでしょう。最近は北海生だこのようなつるりとした食感の、半生のタコも購入できます。もちろんボイル済みのタコでも、しこしことした歯ごたえと鼻に抜ける辛さが楽しめます。
⑩山わさびのクリームチーズ和え
クリームチーズを適度に崩して、刻んだ山わさびをまぜクラッカーにのせたり、野菜をディップしたりする食べ方です。クリームチーズは常温にしておくと崩しやすいですが、ちぎって混ぜても食感が残ってよいでしょう。お好みで、麺つゆや醤油、おかかを混ぜても意外とマッチします。
右手で右回りに強くすると、細胞が壊れて辛み成分が出やすくなるの。すり方やおろし方によって、辛さが変わるのね。