トリアシショウマとは?
名前 | トリアシショウマ(鳥足升麻) |
学名 | Astilbe odontophylla |
分類 | ユキノシタ科/チダケサシ属 多年草 |
原産地 | 日本 |
草丈 | 40cm~1m |
開花時期 | 7月~8月 |
トリアシショウマの生息地
トリアシショウマ(和名:鳥足升麻)は日本の固有植物で、北海道から中部地方(おもに日本海側)に生息し、草原や温帯林、亜高山帯などで育ちます。トリアシショウマが生息する熱帯と寒帯の中間の温帯林には、ほかにブナやナラ、カエデなどがの樹木も生息し、低山と高山の中間に位置する亜高山帯にはトウヒやシラビソなどの樹木を見ることができます。
トリアシショウマは日本三霊山の「白山」にも生息
日本三霊山のひとつ「白山」は、石川県と岐阜県にまたがる山で、標高は2,702m。花の山とも言われる白山では数々の植物が自生し、トリアシショウマもその中のひとつとして観察されています。白山は大勢の登山客が訪れる山としても有名で、トリアシショウマやほかの高山植物が、訪れた登山客の目を楽しませています。
学名と分類
トリアシショウマの学名は「Astilbe odontophylla」で、分類はユキノシタ科チダケサシ属。学名の「Astilbe(アスチルベ)」はギリシャ語で「a=無し」、「stilbe=光沢」という意味を持ち、トリアシショウマの属名「チダケサシ属(Astilbe)」でもあります。トリアシショウマ以外のユキノシタ科の植物には、多年草のクモマグサやネコノメソウ、ヒマラヤユキノシタなどがあります。
トリアシショウマの特徴1:茎と根茎
茎と根茎の色や形
40cm~1mほどの高さに成長するトリアシショウマの茎は緑色で、節や葉柄の根元に短毛があり、根茎は細くまっすぐ伸びる茎とは違い太い塊状で色は濃い褐色です。
トリアシショウマの特徴2:葉
葉の形態や形
トリアシショウマの葉は根から直接でているように見える「根生葉(コンセイヨウ)」と呼ばれる形態で、ひとつの茎に対し複数の葉柄が三回三出複葉に生じます。葉の大きさは5cm~12cmで、形は長めの卵形や卵状の披針形をしており、葉の縁に鋭いギザギザがあります。
トリアシショウマの特徴3:花
花の配列と花弁の形や大きさ
開花時期は7月~8月。トリアシショウマは葉をつける茎とは別に花茎を生じ、花茎はあまり枝分かれせず数本の茎をつけ、花茎の先端から下へ円錐状に花が配列します。花茎の長さは10cm~30cmで白い花を鈴なりにつき、小さな花の花弁はさじ形で長さが4mm~6mm、5枚の花弁の中央には雌しべと花糸の長さ2.5mm~3mmの雄しべがあります。
トリアシショウマの特徴4:実
花後にできる実
多年草のトリアシショウマは、花が終わると小さな茶褐色の実ができます。早いところでは8月の終わりころから実ができる地域もあり、完熟後に種がこぼれ落ちて翌年の新芽につながります。
トリアシショウマの名前の由来
鳥の足に似ている若芽
春に芽吹いたトリアシショウマの若芽は鳥の足を逆さまにしたような形で、茎全体に短毛がびっしりついています。名前の「トリアシ(鳥足)」は、若芽が鳥の足に似ていることからつけられました。
「升麻(ショウマ)」とは?
「升麻(ショウマ)」とは生薬のことで、トリアシショウマの根茎が「升麻」と呼ばれる漢方薬になることから名前にもつけられています。
トリアシショウマの若芽は春の山菜
若芽の特徴や別名
鳥の足に似たトリアシショウマの若芽は、春が旬の山菜で食べることができます。若芽は地方によって「サンボンアシ」や「トリアシ」などの呼び名があり、天ぷらやおひたし、煮物、和え物で親しまれています。
春の山菜は栄養豊富!
春に採れる山菜は栄養が豊富なことでも知られ、トリアシショウマの若芽も栄養がたくさん詰った健康食材として昔から食されてきました。厳しい冬を乗り越えて芽吹くトリアシショウマは栄養豊富なだけでなく「季節もの」として貴重な食材になっています。
若芽の味は?
アクが少ない若芽は、えぐみやクセがあまりなくさっぱりとした味わいで、ぬめりと食感があります。
若芽の収穫時期は?
収穫時期は4月~5月。若芽は成長が進むと筋が入り堅くなってしまうので、茎の先についた葉が開ききる前に収穫するのがベストです。
トリアシショウマの若芽の食べ方:お浸し
トリアシショウマのお浸しは作り方も簡単で、ポピュラーな食べ方。シンプルなだけに、素材そのままの味や食感が楽しめます。お浸しの材料や作り方は以下のとおりです。
材料
- トリアシショウマ…適量
- 塩…小1~適量
- 醤油…お好みの量
- 削り節…お好みの量
作り方
- 大きめの鍋にたっぷりのお湯を沸かし、塩を入れます。
- トリアシショウマを鍋に入れて、5~6分ほど茹でます。
- 茹であがったトリアシショウマは、冷水つけて冷やしましょう。
- 水気を切って食べやすい大きさに切り、器に盛りつけます。
- お好みで醤油と削り節をかけて食べます。
トリアシショウマに似ている植物
トリアシショウマには名前や姿に似ている「アカショウマ」や「ヤマブキショウマ」などの植物があります。それぞれの特徴とトリアシショウマとの見分け方を見ていきましょう。
似ている植物1:アカショウマの特徴
アカショウマは東北地方の南部から近畿地方に生息し、少し明るい森の中や林の縁に自生します。トリアシショウマと同じく葉柄が三回三出複葉に生じ、光沢のない葉の形は楕円形や卵形で、葉の縁にはギザギザがあります。開花時期葉はトリアシショウマより早い5月~7月で、さじ形の花弁を持つ白い花をたくさん咲かせます。
違いと見分け方
アカショウマの小葉の幅は狭く、花柄が一番下を除いて上の部分は枝分かれしません。トリアシショウマとアカショウマは、小葉の大きさと花柄の違いで見分けます。
似ている植物2:ヤマブキショウマの特徴
バラ科の植物ヤマブキショウマは北海道から九州に生息し、草地や岩場、山地に自生します。生息地は日本だけでなく、中国や朝鮮、サハリンなどアジアに広く分布するヤマブキショウマは、姿がトリアシショウマによく似ています。草丈が30cm~1mに成長するヤマブキショウマの花は白く、開花時期は6月~8月。葉の大きさは3cm~10cmで形は卵形、葉先が細く伸び、縁は重鋸歯になっています。
違いと見分け方
ヤマブキショウマの若芽の茎色は緑色で短毛がなく、枝先は鳥の足のように枝分かれせず、茎に対し段になって枝分かれします。トリアシショウマとヤマブキショウマは、若芽の色や枝の分かれ具合で見分けます。
まとめ
三霊山の1つ白山にも自生する、日本の固有種トリアシショウマ。名前の由来にもなっている鳥の足に似た春の若芽は、山菜としてさまざまな調理方法で食され、夏はほのかな香りを立たせる白い花が目を楽しませてくれます。根茎は古くから漢方薬としても利用され、山菜、季節の花、漢方薬と、トリアシショウマはたくさんの魅力的な特徴を持っています。日本の広範囲に自生し、その名前も地域によってさまざまで、呼び名が変わるのもトリアシショウマが昔から生活の身近で親しまれてきたことを物語っています。トリアシショウマをはじめて知った人は、ぜひ春の山菜から楽しんでみてくださいね!
トリアシショウマの根茎から作られる漢方薬には、解熱作用や抗炎症作用があります