特殊肥料である
草木灰は草や木などを燃やして作った灰ですが、昔から農業・園芸分野では肥料として使われてきました。そんな草木灰は、肥料の中でも「特殊肥料」に分類されます。ちなみに肥料の分類は大きく分けると「特殊肥料」と「普通肥料」の2種類がありますが、普通肥料には使用方法に注意が必要な「特定普通肥料」も含まれます。
特殊肥料とは?
特殊肥料とは、栽培者の経験・知識・五感などで品質を識別できる単純な肥料のことで、自作も可能ですが生産・輸入する場合は農林水産大臣の指定する原料を使用する必要があります。なお農林水産大臣が指定する原料には、米ぬかや堆肥などが含まれます。
自作した草木灰は原則許可がいらない
特殊肥料に分類される草木灰ですが、自作したものを自分で栽培する植物に使う場合であれば特別な許可を取らなくてもOKです。これは栽培者(この場合は自作したあなた)が自らの経験と五感で使用することが前提にあるためで、自作した草木灰を生産・販売する場合は成分データなどを提示し許可をもらう必要があります。
普通肥料とは?
普通肥料は「指定肥料」と「登録肥料」の2種類に分類されます。指定肥料とは普通肥料のみを原料としているものに限定され、生産・輸入する場合は農林水産大臣または都道府県知事への届け出が必要です。これに対して登録肥料は厳しい公定規格をクリアした肥料のことで、登録すれば生産することもできます。
草木灰の肥料効果
環境にやさしく安全に使える草木灰ですが、環境にやさしいだけが魅力の肥料ではありません。草木灰は原料によって有効成分の配分が変わるため、種類によって効果に違いはありますが、どの草木灰にも多く含まれる成分があり、それらの成分は野菜や草花の栽培に嬉しい効果を発揮します。
①植物を元気にする
原料の草木の種類で草木灰に含まれる成分の含有量が変わりますが、いずれの原料にもカリウムと石灰のほかに、植物を元気にする成分として有名なリン酸やケイ酸が多く含まれます。特にカリウムとリン酸は植物を元気にする効果があるため、農業や園芸などで人気があります。
カリウムの効果
カリウムは作物の成長を促す大事な栄養成分です。特に草木の根や球根を大きく育てる役割があるため、根を大きく伸ばす野菜や球根で栽培する草花などにおすすめです。ただし草木灰に含まれるカリウムはアルカリ成分が強いので、中には草木灰との使用がNGの肥料もあります。
リン酸の効果
リン酸には、花や果実の成長を促してくれる効果があります。しかも草木灰は水に溶けやすい性質を持っているため、即効性のある肥料として使うことができます。特に栄養成分の吸収力が強い花や果実の栽培の場合は、リン酸が豊富に含まれている草木灰で追肥すると、速やかに栄養が吸収されるため大きな花・果実ができます。
②酸性成分の土を中和させる
畑や庭などで栽培される野菜や草木の多くは酸性成分が苦手なため、アルカリ成分を多く含む草木灰で中和すると生育しやすい土に変身します。なお酸性成分の中和に効果がある肥料には石灰や苦土石灰がありますが、石灰成分には土を硬くする傾向があります。その点、草木灰は土をふっくらさせてくれるのでおすすめです。
使い過ぎは要注意
草木を原料とする天然の肥料なので環境にやさしい点ではメリットが高いですが、強いアルカリ成分を持っているため、決められた容量に従って使用することが重要なポイントです。特に草木灰を使いすぎると土がアルカリ化するため、アルカリ性が苦手な作物や植物には大きなダメージを与えます。
ボタニ子
次も草木灰の効果や使い方について紹介します!