白南天とは
白南天の意味・概要
一般的に南天と言えば赤い実を指します。赤い実がなる普通種の南天は赤南天とも呼ばれ、対して白い実がつく南天を白南天と呼ぶのです。
読み方は?
白南天の読み方はシロナンテンと読みますがハクナンテンという読み方をする地域もあります。またシロミナンテンという別名もついています。生薬市場での白南天の実は南天実(ナンテンジツ)、南天の葉は南天葉(ナンテンヨウ)と呼ばれて流通しています。
白南天の特徴
たくさんの種類がある南天の一品種である白南天は中国、日本、インド原産の常緑低木で、ガーデニング初心者でも育てやすい植物として、高い人気を誇ります。6月ごろ花を咲かせ、冬の時期に実をつけます。白南天の葉は一年を通して緑色のままです。
日本で自生しているエリアは?
茨城県、神奈川県から四国、中国、九州の比較的暖かいエリアの山野に自生しているとされていますが、自生する白南天は希少で、目にすることも少ないとされています。見つけた方は、強い運の持ち主かもしれません。直径数ミリ程度の白い実をつけますが、葉が赤南天のように紅葉しないという特徴をもちます。
南天の名の意味
南天の名の意味は学名から由来します。白南天の学名は、nandina domestica ’Shironanten'。属名のnandina(ナンディナ)からナンテンと呼ばれるようになりました。和名の南天という字の意味は中国名の南天燭(ナンテンショク)、南天竹(ナンテンチク)、南天竺(ナンテンジク)に由来して南天と名付けられました。
縁起がいい南天
南天の読み方であるナンテンは難転と当て字できるため昔から縁起の良い植物として人気でした。災難や難関を転じる、という意味にとることができる南天。玄関や鬼門に花壇を作って植える庭木として昔から大切にされてきました。
白南天の花言葉
- 南天の花言葉は「わたしの愛は増すばかり」「良い家庭」「幸せ」
- 白南天の花言葉は「募る愛」「機知に富む」「深すぎる愛」
白南天の育て方
2月~4月 | 植え替え・植え付け |
3月 | 剪定 |
3月 | 施肥(必要に応じて有機肥料や油粕) |
6月 | 開花時期 |
11月~2月 | 観賞時期 |
苗から植えるには?
苗:白南天 2ヶ
白南天の苗は珍しいのであまり見かけませんがネット通販やホームセンターの取り寄せなどで手に入れることができます。水はけが良く肥沃な場所に植え付けましょう。鉢植えの場合は苗より一回り以上大きな鉢に植え、土の表面が乾いたら水をやります。地植えの場合は夏場、土が乾燥したときだけ水を与えましょう。
肥料は?
肥料は特に必要としませんが、鉢植えややせた土地の場合は苗を植え付ける前に腐葉土やたい肥、有機肥料を混ぜ込んでおきます。
開花時期は?
南天の開花時期は5月~6月です。白く小さな花を無数に咲かせます。白いとがった花びらから黄色い花柱が見えるのが魅力的な南天の花。この時期の受粉の良しあしで実のつきが決まります。
剪定は必要?
白南天は葉が混み過ぎると風通しが悪くなります。病害虫の予防のためにも冬の時期に剪定を行いましょう。一度実が付いた枝は数年間は実がならないのでその年に実が付いた枝を選んで剪定します。また古い枝や葉が少ない枝も間引きましょう。
育てる際の注意点
鉢植えの場合は水切れに注意しましょう。また西日には弱いので半日陰の場所か午前中に日が当たる場所で管理するのがおすすめです。
実がならない時の原因
南天はかわいい実をいくつもつけるのが魅力です。特に白南天は紅葉しないので実をたくさんつけて観賞したいですよね。南天の実がならないときや、まばらだったりするときはいくつか要因が考えられます。
一本だけしか植えていない
南天は自家受粉しにくい植物です。近くにもう一本、違う品種を植えてあげることによって受粉効率を上げ、実付きをよくすることができます。
梅雨の時期に長雨が降った
南天の花期である6月に長雨が降ると受粉が阻害されて実がつかないことがあります。場合によっては雨よけにビニールをかぶせたり、綿棒や筆などで人工的に受粉させてあげることも必要です。
日当たりが悪すぎる
白南天は耐陰性のある植物ですがあまりにも日が当たらないと実がならないことがあります。西日は苦手なので東か南へ移動させましょう。
リン酸が多い肥料を与える
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白南天はほとんど肥料を必要としない植物ですが、実がならない場合はリン酸が多い肥料を与えるとよいでしょう。
赤南天との違いについて
赤南天には毒性があるってホント?
意外にも南天の葉や実にはアルカロイドの毒があります。大量に食べると脳や神経、呼吸系に麻痺を引き起こすのです。赤南天だけに毒があると思われがちですが白南天にも同じように毒性があります。生薬市場では南天の葉や実が流通していますが知識のない人が扱うのは危険です。南天は毒にも薬にもなる植物の代表なのです。
実の色によって薬の効能が違うのか
南天の実は咳止めなどの効能があり生薬市場でも南天実(ナンテンジツ)という名で流通しています。色によって効能に違いはないのですが白南天のほうが肉厚なので主に流通している南天実は白南天の実です。また、葉にも殺菌や消毒の効能があり、南天葉(ナンテンヨウ)という名で流通しています。
南天の葉は料理の飾りになる
お赤飯やおせち料理の飾りで南天の葉を見たことがある人も多いのではないでしょうか。前述したように南天の葉には毒がありますが微量のため、殺菌や腐食防止に効果を発揮するんです。ただの飾りにも意外と知られていない意味があるんですね。
実の大きさの違い
白南天と赤南天を比べると実の大きさは白南天のほうが少し大きく、実の量は赤南天のほうが多くつきやすいという特徴があります。また白南天の実は果肉や果皮が厚くしっかりしているため生薬市場では珍重されています。
赤南天との違い
- 赤南天は紅葉するが白南天は常緑
- 白南天の実のほうが大きい
- 赤南天のほうが実がたくさんつく
- 薬効や毒性、育て方は同じ
南天の種類
南天の品種改良は江戸時代から行われており、その種類は100種類以上とされています。現在、市場に出回っている品種は約40種類。すべての品種を紹介することができませんので、人気の高い、珍しい品種を厳選して紹介したいと思います。
オタフクナンテン
別名ゴシキナンテン。東アジア原産の常緑低木になり、冬に見事な紅葉の葉を見せてくれます。一般的な南天に比べて花や実がなりにくいというデメリットがありますが、とても丈夫で、ガーデニング初心者におすすめの品種といえるでしょう。広がり過ぎた根元が気になる時は、枝、葉を刈り込むことをおすすめします。
オタフクナンテンは花壇向き
オタフクナンテンは南天の品種の中でも木の高さが大きくなりにくいのでグランドカバーとしても使えます。門扉のちょっとした花壇スペースに植えると紅葉も見栄えがします。大きさがコンパクトなので寄せ植えにもおすすめです。
キンシナンテン(琴糸南天)(錦糸南天)
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成長がゆっくりで木の大きさも低いキンシナンテンは葉が普通の南天よりも細いのが特徴です。盆栽や古典植物として人気があります。
フジナンテン
フジナンテンは最初は黄色い実をつけ、その実が熟すと薄紫色に変化する珍しい品種です。
まとめ
白南天はあまり見かけない珍しい品種ですが、育て方が簡単で初心者向きの植物です。南天の実の付きをよくするためには複数植えるのが効果的なので家の花壇などに紅白で植えてみるのもおもしろいですね。品種によって実の色も葉の形も木の高さも異なる南天。縁起の良い南天をガーデニングに取り入れてみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC