じゃがいもに発生する病気一覧【実に発症する場合】
病気①心腐病
心腐病は、実の中心部が黒または褐色に変色します。高温多湿で風通しが悪いと発症しやすく、じゃがいもの貯蔵中に起こる病気です。見た目の変化や異臭などはないため気づかないことが多いですが、ゴムのようにぶよぶよとした手触りになります。
対策方法
心腐病になったじゃがいもは、見た目は悪いですが食べられます。患部をきれいに取り除いて、通常と同じように調理してください。この病気が疑われる種イモは症状が少ない場合は使えますが、ひどいものは植え付けてはいけません。ほかの株に病気が広がり、腐る原因になります。
予防方法
収穫したじゃがいもは、風通しのよい場所で適温を守って貯蔵しましょう。また、種イモにも発症しうる病気のため、発芽を促すときには、通気性のよいカゴなどを使って5℃程度の環境で保管しておくと心腐病を予防できます。
病気②そうか病
そうか病は、じゃがいもの表面がかさぶた状になってしまう病気です。そうか病は細菌がおもな原因ですが、連作障害や土質がアルカリ性であることでも発症します。そうか病になったじゃがいもは、毒性が強まっている可能性もあるため、食べないでください。
対策方法
そうか病を治す薬はありません。そうか病になってしまったら、土を殺菌消毒したり入れ替えたりして、病気が広がらないように努めましょう。
予防方法
そうか病を防ぐには、土質を酸性に保つことが大切です。高温によって土が乾燥していないか、水はけは悪くないかも確認してください。連作も禁物のため、ナス科の植物を育てたあとの植え付けは避けましょう。
そうか病と粉状そうか病の違いとは?
そうか病は細菌がおもな原因ですが、粉状そうか病はかびが原因で発症します。じゃがいもの表面にかさぶたができて、やがて粉のようにポロポロと剥がれていくのが特徴です。名前はよく似ていますが、粉状そうか病は気温が低くて水はけが悪く、中性の土質において発症しやすい病気ですよ。
病気③乾腐病
乾腐病は、根などにできた傷口から、土を介して感染する病気です。じゃがいもが陥没していて、外側も内側も黒っぽく変色しているのが特徴的です。はじめはぶよぶよしていますが、次第に固くなっていき、症状がひどいとピンク色のかびも繁殖します。じゃがいものほかに、ニンジンやタマネギなど地中で育つ種類の野菜にも発症するので注意が必要です。
対策方法
乾腐病を発症した場所の土は、殺菌消毒します。道具に菌がついている可能性もあるため、作業に使ったものも消毒しておきましょう。乾腐病になったじゃがいもは食用にはなりません。病気を広げないためにも、発症したじゃがいもは速やかに処分してください。
予防方法
種イモが傷ついている場合、そこから乾腐病を発症する恐れがあります。種イモにへこみや傷みがないか、確認しましょう。また、乾腐病を発症した場合は、その土は野菜の栽培に使いまわさないことも予防方法といえます。乾腐病は収穫後にも発症するため、ぶつけたりへこませたりしないように、じゃがいもを丁寧に取り扱ってくださいね。
病気④空洞病
空洞病なんつうのがあんのね。また賢くなってしまった。 pic.twitter.com/OTQpc9AmXa
— 千鳥格子 (@houndstooth611) July 7, 2019
空洞病は、じゃがいもが急成長したことが原因で起こる病気です。じゃがいもの種類のなかでは「男爵」に多く見られ、肥料の与えすぎや土のなかの水分量が多かったことなどが要因で発症します。商品としては規格外ですが、傷んでいるところを取り除けば食用可能ですよ。
対策方法
空洞病は、成長過程で発症するもののため感染拡大の心配はありません。種イモとしても使用できます。
予防方法
空洞病は水分量の管理のほか、肥料をやりすぎないことも大切です。男爵に比べると「キタアカリ」や「メークイン」などは空洞病にかかりにくい傾向があるため、病気に強い品種を選ぶのもよいでしょう。プランターで家庭菜園を楽しむ場合は、雨に濡れない軒下で管理するのも予防法としておすすめです。
病気⑤銀か病
銀か病は、じゃがいもの表面に灰色の斑点ができる病気です。土中の菌糸がおもな原因で、湿っていてよく肥えた土質において発症しやすい傾向があります。見た目や食感は悪く、商品価値も下がってしまいますが、食べることに関しては問題ありません。
対策方法
銀か病は見た目こそ悪いものの、人体には影響ありません。通常通り調理しても大丈夫です。しかし、銀か病になっている種イモは植え付けないでください。再び銀か病に感染する可能性があります。
予防方法
栽培中は高温多湿にならないように気をつけて、早めに収穫することが効果的な銀か病の予防方法です。また、貯蔵している間も発症する可能性があるため、涼しくて乾燥している状態で保存してください。病気に強い種イモを使うのもおすすめです。
じゃがいもの育て方のポイント
ポイント①連作しない
ナス科の植物を同じ場所で繰り返し植え続けていると、その土壌環境を好む虫や菌が増えやすくなるため、同じ種類の野菜を立て続けに植え付けてはいけません。輪作することで、虫や菌が抑えられて病気が発症しにくくなります。
ポイント②適正な時期に植え付ける
じゃがいもはおもに春と秋の2回、植え付けと収穫が可能です。じゃがいも栽培に適した温度は15~24℃で、とくに春は梅雨前に収穫を済ませると病気になりにくくなります。種イモを植え付けてから、およそ3カ月で収穫を済ませるのが育て方のポイントともいえます。
ポイント③土作りはしっかり行う
じゃがいもは土壌が悪いと病気にかかりやすくなるため、土質は酸性に整えて、水はけのよい環境をつくりましょう。病気を引き起こした土を使うのであれば、しっかりと殺菌消毒をしてください。小規模の家庭菜園では、土を入れ替えることもおすすめです。
じゃがいもを病気から守ろう!
じゃがいもは、家庭菜園でも栽培が楽しめる野菜です。しかし家庭菜園では栽培場所が狭い場合もあり、同じ場所を使わざるをえなかったり、株同士が密集したりすることもあるでしょう。じゃがいもを病気から守るには、ときには育て方を見直すことも必要ですね。
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