こごみとは
こごみは湿った草地や林の中に生える山菜です。クサソテツというシダの若芽の葉っぱ部分が「かがむ(こごむ)」ようにくるりと丸まっているので「こごみ」と呼ばれるようになりました。ぜんまいやわらびほどアクが強くないので、下処理が簡単なのが特徴です。色鮮やかで存在感はあるのにクセが少ないので、和洋中どのような料理にも利用できます。
ボタニ子
こごみの旬は4月~5月くらいよ。あっという間にりっぱな葉っぱになっちゃうから見つけたらすぐにとっておきましょう。
- ぜんまいと似ていますがぜんまいの先端には細かい綿毛がびっしり生えています。こごみが全体緑色なのにたいして、ぜんまいは茶色がかっています。
基本情報
学名 | matteuccia struthiopteris |
科属 | コウヤワラビ科(メシダ科)クサソテツ属 |
形態 | 落葉性多年草 |
自生地 | 日本、中央ヨーロッパ、北ヨーロッパ、北米大陸北東部 |
旬 | 4月~5月 |
英名 | ostrich fern |
別名 | コゴメ、ガンソウ、カクマ、アオコゴミ、ホンコゴミ |
和名 | 草蘇鉄 |
ボタニ子
別名に「アオコゴミ」とあるのは、茎が赤い「アカコゴミ」っていう山菜があるからなのよ。毛むくじゃらだから下処理にひと手間かかるわ。
こごみの簡単な下ごしらえ
下ごしらえ①ゴミをとる
人工的に栽培されて売っているこごみは、さっと水洗いしましょう。とってきたこごみはゴミやムシがついている可能性があるので、よく洗います。バケツや洗面器、ボールに水をはりこごみを入れ、とくにくるんと巻いている部分をきれいに洗いましょう。やさしくほぐすと「赤綿(あかわた)」「鱗片(りんぺん)」と呼ばれる新芽部分を保護していた茶色い根茎ののこりがとれます。
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新芽のやわらかいところは虫にとっても美味しいところよ。もぐりこんでることもあるから注意してしっかり洗いましょう。
下ごしらえ②切る
こごみがきれいになったら、適度な大きさに切りわけます。根本の黒ずんでかたい部分は美味しくないので切って捨てます。くるんとまるまったやわらかい葉っぱは、4cm~5cmくらいに切りわけましょう。茎は長い場合は同じくらいに切りわけると下処理するときに簡単です。おひたしにするときにも長さが同じほうが茹でやすいでしょう。
下ごしらえ③水にさらす
とれたての新鮮なこごみには、アクがほとんどありません。茹でなくても少ないアクがとれるので、適度な長さに切りわけたら10分くらいきれいな水にさらしましょう。アク抜きしたこごみは水気をとります。とくにくるんと丸まったところには水が入りこみやすいです。天ぷらにするとき水気が残っているとはねるので、よくふきとりましょう。
下ごしらえ③茹でる
茹でてアク抜きする方法もあります。たっぷりの湯に少量の塩を入れます。これは塩味をつけるのではなく色鮮やかにするためなので少量でかまいません。先に茎の部分を入れて1分くらい茹で、あとから葉っぱ部分を入れてさらに30秒~1分茹でます。茹でおえたら冷水にとり、色止めします。温かいままでは余熱で火が通り歯ごたえが悪くなるので必ず冷やしましょう。
下ごしらえ④保存する
大量のこごみが手に入ったときは、あわてて食べなくても冷凍保存すれば日持ちします。下処理をしたこごみをさっと茹でますが、アク抜きのときよりも短い時間で処理しましょう。沸騰した湯で30秒~1分茹で、冷水にとったあとペーパータオルなどでしっかり水気をふきとります。冷凍用バックに入れてしっかり空気を抜き平らにして冷凍しましょう。
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冷凍こごみの食べ方は、自然解凍しておひたしやゴマ和えにしてもいいし、炒め物やスープに入れてもいいわね。
こごみの美味しい食べ方
レシピ①こごみと生ハムのパスタ
材料(2人分)
- 茹でたこごみ:100g
- 生ハム:100g
- 乾燥パスタ:180g
- オリーブオイル:大さじ2
- 塩コショウ:適量
- にんにく:ひとかけ
- 湯:20cc
- 粉チーズ:適量
- 密閉できるビニール袋:Lサイズ
作り方
- 1時間~1晩乾燥パスタをビニール袋で水につけておく
- にんにくを粗みじんにしてオリーブオイルで香りが出るまでフライパンで炒める
- こごみに塩コショウしておく
- パスタを2分茹でる
- 茹であがったパスタをにんにくの入ったフライパンに入れ塩コショウする
- こごみと和える
- 皿に盛ってから生ハムをのせる
- お好みで粉チーズをかける
レシピ②こごみとホタルイカのパスタ
材料(2人分)
- ゆでたこごみ:100g
- ホタルイカ:100g
- 乾燥パスタ:180g
- バター:20g
- 醤油:適量
- 粉チーズ:適量
- 塩コショウ:適量
- お湯:20cc
- 密閉できるビニール袋:Lサイズ
作り方
- 1時間~1晩乾燥パスタをビニール袋で水につけておく
- ホタルイカはできれば目玉と軟骨をとっておくとよい
- パスタを200㏄のお湯で2分茹でる
- その間にフライパンにバターを入れて溶かす
- パスタが茹であがったらフライパンに入れる
- ホタルイカとこごみを和えて塩コショウする
- 仕上げに醤油をかける
- お好みで粉チーズをかける
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ホタルイカの旬は3月~5月だから、こごみとホタルイカはまさに春の食べ物ね。ベビーリーフにのせてサラダにしてもおいしいわ。
レシピ③こごみと牛すじの煮込み
材料(2人分)
- こごみ:100g
- 牛すじ肉:300g
- 豆腐:1丁
- 醤油:大さじ2
- 2倍濃縮の麺つゆ:大さじ3
作り方
- 牛すじ肉を茹でて余分な脂をこぼす
- 圧力鍋に牛すじ肉がひたひたになるくらいの水を入れる
- ピンが回りだして弱火にしたら25分加圧する
- 減圧してふたが取れるようになったら調味料を入れて味をみる
- 豆腐を入れて加熱する
- 温まったら火を止めて冷ます
- 加熱と冷ますのを2回~3回くりかえす
- 器に盛ったらこごみを飾る
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味は冷えるときに食材にしみこむのよ。しっかり味を入れたいときはくりかえす回数を増やしてね。
レシピ④こごみの中華オムレツ
材料(2人分)
- ゆでたこごみ:100g
- 卵:大3個
- 生か水で戻したきくらげ:100g
- クコの実:適量
- ごま油:中さじ1と大さじ1
- サラダオイル:大さじ2
- 中華だし:適量
- 塩白コショウ:適量
作り方
- きくらげを一口大に切りさっと下茹でする
- ゆでたこごみときくらげに中さじ1のごま油と塩白コショウをふってまぶす
- 卵を割り中華だしを水に溶いたものを入れて味をみる
- フライパンにサラダオイルと大さじ1のごま油を入れ加熱する
- よく加熱したら一気に卵液を流し込む
- 2回~3回大きくかき混ぜたらこごみときくらげを入れる
- ふんわりかたまったら器に盛ってクコの実をちらして完成
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フライパンの油の量は、多めでしっかり加熱したほうが卵がふんわり仕上がるわ。やけどに注意してね。
レシピ⑥こごみと豚肉のオイスターソース炒め
材料(2人分)
- こごみ:100g
- 豚バラ肉:300g
- オイスターソース:大さじ2
- 塩白コショウ:適量
作り方
- 豚バラ肉に塩白コショウをふっておく
- フライパンで豚バラ肉を炒める
- 油が出てきたらこごみを入れる
- 火が通ったらオイスターソースを入れる
ボタニ子
おひたしや納豆和え、炒飯やカレーなどにもアレンジしてみてね。ほかの山菜と一緒に料理するとより春を感じられるわ。
旬のこごみを楽しもう
こごみの旬は暖かい地方で4月、寒冷地だと5月~6月ごろです。人工的に栽培されて店頭に並ぶものや、山菜とりで収穫できるものがあります。これから大きな葉になろうとするこごみは栄養価の高い山菜です。こごみが手に入ったらぜひ新鮮なうちに食べましょう。とれたてであれば生でも食べられ、おひたしやサラダなどはこごみ本来の味が楽しめます。
出典:写真AC