スギナとは
スギナとは、日本各地に生えているシダ科の植物です。庭や畑、道ばたなど、さまざまな場所に生えている雑草で、誰でも一度は見たことがあるでしょう。スギナは多年草で、冬でも枯れずに一年中青々とした姿を保っています。
スギナの生態
季節を問わずさまざまな場所で見られるスギナ。スギナの生態にはどのような特徴があるのかを見ていきましょう。
「地獄草」という別名も!
スギナは、繁殖力の強さと駆除の難しさから、「地獄草(じごくそう)」という別名で呼ばれるほど強い雑草です。その強さは、原爆が投下されたあとの広島で、最初に芽を出したのがスギナと言われているほど。また、スギナの根は深く伸びるため、「地球の裏側まで根っこが伸びている」と例えられることもあります。
つくしはスギナの一部
春の風物詩として見られるつくしは、実はスギナの一部です。つくしはスギナの「胞子茎(ほうしけい)」といい、胞子を飛ばして子孫を残すことが目的です。対してスギナの地上部を「栄養茎(えいようけい)」と呼び、光合成を行って栄養を作り出すことが目的とされています。
スギナの駆除が困難な理由
「地獄草」という異名を持つほど、園芸家や農家から厄介者扱いされているスギナ。なぜ、スギナの駆除はそんなにも難しいのでしょうか?
抜いても根っこが土に残ってしまう
スギナは非常に根が深く、いくら頑張って抜いたとしても根が土の中に残ってしまいます。一見根絶できたように見えても、根を残してしまうと再びスギナが生えてくる原因になります。
抜くときに切れやすい
スギナの構造で、多くの人が根だと思っている部分は、実は地下茎(ちかけい)という地中の茎です。スギナを抜くとき、他の雑草のように根まできれいに抜けることはほぼなく、地下茎が途中でぷつりと切れてしまいます。とても長くて節があるため、スギナの地下茎は抜くときに切れやすいのです。
地下茎を全て取り除くことができない
スギナの地下茎は、土の中で垂直・水平方向に伸びています。中でも垂直方向に伸びる地下茎のなかには、掘ってみたら2m近く深く潜っていたという例もあるほど。全てを除去するのはとても難しく、どうしても土の中に地下茎が残ってしまうのです。
繁殖する方法がいくつもある
スギナはなかなか根絶やしにできない雑草と言われていますが、駆除が難しいだけではなく、繁殖力もものすごく強いのが特徴です。では、スギナにはどのような繁殖方法があるのでしょうか?
①地下茎で増える
スギナの地下茎には節があり、節と節の間から新しい芽や根を出して成長します。スギナを抜いたときに地下茎が少しでも残っていると、そこから新しい芽や根が伸びてあっという間に除草する前の状態に戻ってしまいます。スギナはほんの少しの地下茎からでも復活する力を持っているのです。そのため、耕うん機などで細かく裁断してしまうのも、余計にスギナを増やしてしまう原因になります。
②塊茎で増える
スギナの根には地下茎と塊茎(かいけい)の2種類があります。塊茎は地下茎にくっつくようにしてできるこぶ状の根で、栄養を蓄える役割をしています。地下茎が細かく切れてしまっても、塊茎の栄養で地下茎が再生してしまうのです。
③胞子で増える
つくしはスギナの胞子を飛ばす役割をしており、春先にだけ現れます。つくしの先端部分からは風などによって胞子が飛ばされ、土に落ちると芽を出します。この胞子の量が非常に多いのがつくしの特徴で、どんどん生息範囲を広げてしまう原因にもなっています。
スギナを無農薬で駆除するメリット
一般的には、スギナの除草には専用の除草剤が使われます。では、除草剤を使わない駆除方法にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
メリット①子供やペットに安全
除草剤は手軽な方法ですが、やはり危険なイメージがありますよね。薬剤を使用せずに根絶やしにできれば、家庭菜園や花壇、庭先などでも子供やペットを安全に遊ばせられます。草や花をうっかり口に入れたりしても安心です。
メリット②育てている野菜も安全
育てている野菜の近くのスギナに除草剤を使用するのは、野菜への影響が気になります。無農薬でスギナを根絶できれば、野菜に除草剤がかからないで済むため安全です。使い方によっては、除草剤は土に残ることもありますが、薬剤を使わなければそのような心配もありません。
スギナを無農薬で駆除するデメリット
連休に入り、スギナの駆除作業を連日しています。除草剤も枯らすことは出来ますが、地下茎をすべて枯らすことは難しい。兎に角剣先スコップで掘り起こしています。写真の地下茎は3m以上の長さまで切れずに取れました。でも、すごい量です。 pic.twitter.com/GzejjTlw4c
— 楽農楽舎 (@rakunou_rakusha) May 1, 2018
一方で、薬剤を使用しないスギナの駆除方法にはデメリットも存在します。
デメリット①手間がかかる
除草剤での駆除は薬をまくだけでよいのですが、無農薬での駆除となると手間がかかってしまいます。除草剤を使わない代わりに、人手と時間が必要です。
デメリット②根気が必要
スギナの強さに対抗するには、駆除するこちら側も根気が必要です。いくら抜いても生えてくる増殖力を持ったスギナのため、こちらも負けじと除草し続ける姿勢が大事です。