コニシキソウとは
コニシキソウは、北アメリカ原産の1年草で、学名Euphorbia supina(Euphorbia maculata、Chamaesyce maculata)のトウダイグサ科二シキソウ属の植物です。明治時代に渡来し、現在では日本全域の道端や畑、庭でよく見られます。種子で繁殖し、6月~10月の暑い時期に活発に成長します。
コニシキソウの特徴
コニシキソウの1番の特徴は、地面を這うように四方に枝分かれして広がる姿です。その枝分かれする茎には、1cmほどの小さな楕円形の葉が対になって根元からいくつも連なっています。また、茎の色が赤色で葉の中央には赤紫色の斑点があるのが印象的です。茎の先端付近の葉の付け根に紫がかった小さな花を複数付けます。
コニシキソウの花
コニシキソウの花はとても小さく、花弁がないので肉眼では見付けにくいのですが、雌雄異花の植物で、雌花には3本に分かれた雌しべがあり、その下に蜜腺があります。雄花には雄しべが1本あり、その先端に花粉を付けています。受粉して花が果実になると、小さな丸い実がたくさん付くので果実の方が見付けやすいかもしれません。
コニシキソウの見分け方
コニシキソウには、とてもよく似た類似種が存在します。日本在来の二シキソウやコニシキソウと同じく外来種のハイニシキソウ、アレチニシキソウなどがありますが、どちらも1年草で初夏から秋口にかけて成長、開花し実を結びます。また、根元から枝分かれして四方八方に伸び、茎には対になる葉が並ぶという同様の特徴を持っています。しかし、葉に注目するとその違いが見えてきます。
二シキソウ
二シキソウは、日本の在来種で、葉には斑点もなくコニシキソウよりも少し大きいサイズの類似種です。茎は地面に張り付かず、放射線状に広がった茎は斜め上に立ち上がります。葉の形もコニシキソウよりも長い楕円形をしているので、すぐに違いが分かります。さらに大型でよく似たものに「オオ二シキソウ」があります。
ハイニシキソウ
ハイニシキソウは、熱帯アメリカ原産でコニシキソウと同様に地面を這うように四方に広がる類似種です。コニシキソウよりもひと回り小ぶりで、葉は歪んだ卵型や長円形をしています。コニシキソウにあるような斑点はなく、この斑点の有無で簡単に見分けがつきます。また、コニシキソウとは違い、青みのある葉の色をしているので見付けやすい種類です。
アレチニシキソウ
アレチニシキソウの葉は、楕円形でコニシキソウとよく似た形状をしています。ハイニシキソウの亜種(生物学上、独立した変種とまでは区別しがたいもの)として分類されることが多く、よく見ると、この2種には茎や葉の裏側に毛が生えていて、コニシキソウとの違いは、この特徴的な毛でも判断ができます。また、アレチニシキソウにも葉の斑点はありません。
コニシキソウ生態の秘密
春が終わるころに小さな芽をちらほら見付けたかと思うと1ヵ月も経たないうちに地面を覆い隠す勢いで伸びているコニシキソウ。他の雑草と比べても、褐色の茎と赤紫色の斑点のある小さな葉のおかげで土や石の色と混同して、雑草としての駆除が遅れがちになってしまいます。雑草としての対策のために、コニシキソウが強く生き延びている秘密をご紹介します。
秘密その① 地面に張り付いて成長!
コニシキソウの特徴でもある地面に張り付いて放射線状に広がる植物は、刈り込みにも影響されることなく、手作業での雑草駆除の際にも目立ちにくいため生き残りやすいのです。また、匍匐して伸びた茎の節という節から根を出し定着するので、雑草としては、とても手ごわい植物と言えます。
秘密その② アリとの関係!
実は、コニシキソウの繁殖にはアリが大きな力を貸しています。コニシキソウの花は、雄花と雌花がそれぞれに咲き、その両方が「蜜腺」を持ち蜜を出します。その蜜を目当てにアリが行き来することで、花粉が運ばれ受粉が促されます。そのため、雨や風に任せるよりも効率よく高確率で種子を作り、繁殖することに成功しているのです。
コニシキソウには毒性がある?
コニシキソウの茎を折ると、乳白色の汁が出てきます。この汁には粘り気があり、実は毒性があると言われています。素手でこの汁に触ると「痒み」や「かぶれ」を引き起こすことがあり、口にしてしまうと、「嘔吐」、「下痢」、「腹痛」の症状が出ることもあります。そのため、手作業で駆除をする際にはこの毒性のある汁に直接触れないよう手袋をはめることをおすすめします。
駆除方法を知りたい!
コニシキソウの毒性を聞くと、畑や庭にはびこる存在を野放しにできないですよね。しかし、この繁殖力の高いコニシキソウの駆除にはどんな方法が適しているのでしょうか。また、夏の成長期のどの段階で作業する必要があるのでしょうか。駆除方法と共にご紹介します。
除草剤を使って簡単に!
他の雑草と同じように除草剤を使って簡単に処理したいところですが、コニシキソウは、発芽した芽を除草剤で枯らしても、その種子がある限り夏の間は次から次へと芽を出すので「いたちごっこ」になりかねません。特に畑や庭のように他の植物を育てている場所での除草剤散布は困難です。しかし、芝生専用の雑草のみに特化した除草剤も販売されているので、場所を選べば除草剤は有効です。
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手作業で地道に!
コニシキソウは、種子で繁殖するので、まずは種子ができる前に根ごと抜き取ることが大切です。刈り取る場合も同じですが、コニシキソウは、花が咲き種子ができるまでが早いので、畑や庭先で見付けたら早い段階での地道な「草むしり」が重要で、来年や再来年の夏のコニシキソウ対策や駆除量を減らし楽にしてくれます。特に雨上がりの作業は、根が軽く抜けやすいのでおすすめです。
まとめ
初夏になるとあちらこちらで突然姿を現して、秋の風と共に次第にその姿を消していくコニシキソウ。夏の訪れを知らせてくれる植物ですが、やはり雑草として手を焼かせる点は否めませんね。1年草とは言えど、もし除草をせず種子を増やせば年を重ねるごとにその数を増やしていきます。来年の快適な夏を想像しながら、今年の駆除作業を乗り切りましょう。