イヌホオズキとは?
イヌホオズキは雑草として日本全国で見られる植物です。繁殖力が強く、野山だけでなく空き地や道路脇などいたるところで育ち、農家にとっては厄介な雑草のひとつとして知られています。ほぼ世界中の熱帯~温帯にかけて分布しており、日本へは有史以前に帰化したものと考えられています。
イヌホオズキの基本情報
学名 | Solanum nigrum |
分類 | ナス科ナス属 |
形態 | 一年草 |
開花時期 | 7~10月 |
名前の由来
イヌホオズキという名前の由来は、ホオズキに似ているが役に立たない(価値がない)ことからこう呼ばれたとする説や、ホオズキではないという意味の「イナ(否)ホオズキ」がなまったとする説があり、いずれも利用価値がない雑草というニュアンスを含んでいます。また同じような理由から「バカナス」という別名もあります。
イヌホオズキの花言葉
イヌホオズキの花言葉は「嘘つき」「真実」です。不思議なことにイヌホオズキは意味が全く正反対の2つの花言葉を持っています。雑草であるためプレゼントに使われることはほとんどないでしょうが、混乱を招きそうな花言葉です。
イヌホオズキの特徴
草丈は30~90cmほどに成長します。多くの場合、茎は紫色で細かい毛が生えています。また葉は5~10cmほどの先のとがった卵型で、茎と同様細かい毛でおおわれていています。しかしこれらの特徴には個体差があり、茎が緑色のものやほとんど毛のないもの、葉のふちが波打つものなどいくつかのバリエーションがあります。
花の特徴
7~10月頃に白い花を咲かせます。花の直径は6~10mm程度の小さなもので、4~8個ほどの花が房のようにまとまって咲きます。花びらは5つに分かれた星形で、後ろ向きに反り返るため、中央の黄色いおしべがよく目立ちます。
実の特徴
花が終わると5~10mmほどの丸い実をつけます。実は緑色から黒へと変化してゆき通常は光沢がありません。しかしなかには光沢のある実をつける個体もあります。実の中には2mmほどの種子がたくさん入っています。
イヌホオズキは食べられる?
イヌホオズキは実だけでなく、葉や茎などにもソラニンという毒性のある成分を持っているため食べられません。ソラニンはジャガイモの芽にも含まれる成分で、誤って食べると嘔吐や下痢、麻痺などを引き起こす恐れがあります。もし食べてしまった場合は、すみやかに医師の診察を受けてください。
生薬としての利用
イヌホオズキは毒性がある一方、加工したものは「龍葵(りゅうき)」という生薬として利用されてきました。龍葵には解熱や利尿などの効果があるとされています。しかしこれは正しく加工したものを用法、用量を守って使用した場合にのみ安全で、自分で加工して使用することは絶対にやめましょう。
ボタニ子
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