ミズアオイ(水葵)とは?
夏から秋にかけて、水田や池沼などで青紫色の清楚な花を咲かせるミズアオイ。宅地開発や、河川改修、除草剤の散布などで数が激減し、現在では絶滅危惧種に選定されている植物です。ここでは、希少なミズアオイの特徴や花の見分け方など、ミズアオイの生態を詳しくご紹介しています。
ミズアオイの基本情報
学名 | Monochoria korsakowii |
科 | ミズアオイ科 |
属 | ミズアオイ属 |
園芸分類 | 一年草 |
別名(古名) | ナギ(菜葱・水葱) |
原産地 | 東アジア |
生育場所 | 水田・河川・池沼などの湿地帯 |
開花時期 | 8月から10月 |
花言葉 | 前途洋々 |
ミズアオイの生育環境
ミズアオイは水田や池沼などの湿地帯に自生する植物です。ときには浅い水路などにも発生し、成長すると草丈は20センチから50センチほどになります。開花時期は8月から10月頃。東アジア一帯に分布しており、日本では北海道から九州にかけて広く分布している植物です。
ミズアオイの特徴
ミズアオイはナギ(菜葱・水葱)とも呼ばれる植物です。ミズアオイの若い芽や葉を塩ゆでにし、食用としたところからナギ(菜葱)という名前がついたと言われます。また、九州地方ではミズアオイの葉や茎を煎じ、胃潰瘍の薬として用いられていたこともありました。ミズアオイの青紫の花は染物に使われていたこともあり、かつては、そこかしこに咲き乱れる花だったことがうかがえます。
葉の特徴
芽生えたばかりのミズアオイの葉は、笹のように細く尖った形をしていますが、成長するにつれ光沢のあるハート型のかたちになります。ミズアオイの名は、葉がフタバアオイの葉のかたちに似ているところから、水辺のアオイ「ミズアオイ」と呼ばれるようになりました。
花の特徴
ミズアオイの花は、葉よりも少し高いところに花序が出ます。花の大きさはおよそ3センチ。花びらが6枚あり、中心には1本の雌しべに対し6本の雄しべがあります。6本の雄しべのうち5本は黄色く、残りの1本は濃い紫色をしているのが特徴です。
種の特徴
ミズアオイは結実すると、1センチから2センチほどの小さな実がなる植物です。実の中にはたくさんの種が入っていて、水中に落ちた実は水面を漂いながら少しずつ種を放出して子孫を残していきます。絶滅危惧種ではありますが、種の生命力は強く、何十年と休眠していても生育環境が整えば発芽する植物です。そのため、ミズアオイの群生が突如現れ、話題になることもあります。
ミズアオイ科の植物
ミズアオイ科の植物は全部で9属、40種ほどあると言われます。金魚やメダカの飼育などに用いられる、ホテイアオイ(ホテイソウ)もミズアオイの一種です。
ホテイアオイ(ホテイソウ)
ホテイアオイはブラジル原産の浮漂性多年草です。池や水辺に生育している植物ですが、メダカや金魚の飼育に用いる「浮草」といえば、ピンとくる方も多いでしょう。ホテイアオイがメダカや金魚の飼育によく用いられるのは、ホテイアオイの根が、卵を産み付けるのにちょうどよい産卵床になるためです。また、楕円形に膨らんだ葉柄が特徴で淡い青紫の花を咲かせます。
コナギ
ミズアオイとよく間違えられるのがコナギです。ミズアオイやコナギは水田雑草とも呼ばれ、その名のとおり水田などの湿地帯に発生します。同じミズアオイ科ですが、ミズアオイは絶滅危惧種。それに対し、コナギは強害雑草と呼ばれるほど数多く繁殖しています。一度、発生すると完全に駆除するのは難しいとさえ言われ、防除剤を用いてコナギの防除に努める農家もあるほどです。
ミズアオイとコナギの見分け方
ミズアオイとコナギは、発生する場所も水田などの水辺で、花の色も似ているため間違われることの多い植物です。見分け方は、コナギは房状の穂の中に青紫の花が数個集まった状態で開花し、花は葉よりも低い位置に咲くのが特徴といえるでしょう。それに対してミズアオイの花は、葉よりも少し高いところに花序が出るため花が咲くとよく目立ちます。
ミズアオイの花言葉
ミズアオイの花言葉は、前途洋々。ミズアオイの花は葉よりも高いところに花序が出ます。そのため、花の咲き誇る姿が「前をしっかりと見据え、美しい中にも、ちから強さを感じる」というところから、この花言葉がついたと言われます。
ミズアオイとは:まとめ
かつては水田雑草と言われるほど数多く自生していたミズアオイ。残念ながら今ではその姿を見ることは少なく、希少な植物になってしまいました。けれど、ミズアオイの栽培方法は難しくないため、運よく種が手に入れば家でも育てることができる植物です。ミズアオイの花の時期、水辺に行く機会があれば、ぜひ、青紫の花を探してみてくださいね!
出典:写真AC