エノコログサとは?
道端で誰もがみたことがある猫じゃらしに似た植物は「えのころ草」という正式名称です。今回はそんなエノコログサについて、実際はどんな種類があるのか、効果的な除草の方法はどういったものか、あるいは食べることはできるのか、など、さまざまな疑問について解説します。
エノコログサ(ねこじゃらし)の基本情報
学名 | Setaria viridis |
和名 | 猫じゃらし、狗尾草、えのころ草 |
英名 | GreenBristlegrass、Greenfoxtail |
分類 | イネ科エノコログサ属 |
形態 | 一年草 |
エノコログサ(ねこじゃらし)の名前の由来
エノコログサの名前の由来はその特徴的なふさふさの穂からきています。えのこは「狗」といい、子犬を指します。子犬を犬の子、犬の子と呼ぶうちになまって「えのころ」になったと考えられます。子犬のふさふさとした尾が穂に似ていることから名前がつけられ室町時代には既にこの名前で呼ばれていました。
エノコログサ(ねこじゃらし)の分布
エノコログサは北海道から九州まで幅広く分布しており、空き地や道路わきなど乾いた地面のある場所でよく見ることができます。世界中の温帯から熱帯にかけて分布しており、ユーラシア大陸原産とされています。日本には農耕文化が伝来した際に侵入してきたとされ、縄文時代以降にはアワやヒエを栽培する畑の雑草として知られていました。
エノコログサ(ねこじゃらし)の花言葉
エノコログサの花言葉は「遊び」と「愛嬌」です。これは正式名称の狗尾草(エノコログサ)よりねこじゃらしの俗称が花言葉の由来となっています。「遊び」の花言葉の由来はねこじゃらしを使ってじゃれる猫の姿から、「愛嬌」の花言葉の由来は遊ぶことをお願いする可愛らしい猫のイメージからつけられたとされます。
エノコログサの特徴
形態的特徴
エノコログサの茎と葉
エノコログサの茎は細く草丈が50~80cmほどになる中程度の雑草です。地面に近い茎は地表を這い、太い節から根を生やします。夏になると茎が上に伸びだし穂をつけるようになります。エノコログサの葉は長さ10~20cm、幅が5~13cmで薄い質感です。葉は茎の付け根部分に毛がはえており、よくねじれています。裏側の方が濃い緑色でつやがあり、表のように見えるのが特徴です。
エノコログサの花と種子
エノコログサの花は円柱状で一面につき、花序は直立しています。穂の付け根から総苞毛(そうほうもう)と呼ばれる剛毛が生えており、ブラシのような形状に見えます。小穂から生えている芒(のぎ)ではないため、開花時期である8月~11月をすぎて小穂が脱穀したあとも花序に残ります。
生態的特徴
1株で5000個以上の種子をつくる
エノコログサは2~3mmの種子をひとつの穂あたりで300~800個生産します。1株で5~10個程度の穂をつけるため、5,000~12,000個もの種子を生産します。この種子は動物に食べられても消化されず生きることができるため、ふんと一緒に外に出されて生育エリアを広げられます。エノコログサの種子は土壌深くにもぐってしまうと発芽能力を失ってしまいますが、1~2cmの深さであれば15年程度の休眠が可能で、温度が高くなるとすぐに発芽能力が戻ります。
ほかの植物を抑えて群生しやすい
道端や空き地に生えているエノコログサは群生していることが多いです。これは、エノコログサが他の雑草の生育を抑える因子を保有しているためです。ヒエやアワなどの雑穀といわれる植物はアレロパシー作用といって、ほかの植物に影響をおよぼす化学物質を放出します。アワは雑草のエノコログサから食べることができる個体を選抜したものであるため、雑穀と同様、エノコログサも他の雑草の生育を抑える力を持っています。
ボタニ子
次のページではエノコログサの種類について紹介するよ。
出典:AC