カヤツリグサはどんな植物?
カヤツリグサ科の植物は、細長い葉のものがほとんどです。花に花びらがありません。鱗片が重なり合い小さな穂を作ります。世界ではカヤツリグサ科の植物が約70属、約3700種類くらい分布しています。あまりに種類が多いので、カヤツリグサ科なのか見分け方が難しいときもあります。
カヤツリグサの基本情報
最初に簡単に学名などの基本情報をお伝えします。特徴や見分け方はこのあとに書いていきます。
和名 | カヤツリグサ(蚊帳吊草)マスクサ(枡草) |
科名 | カヤツリグサ科 |
属名 | カヤツリグサ属 |
学名 | Cyperus microiria |
英名 | asian flatsedge |
名前の由来
蚊帳のような形
まずカヤツリグサの長い葉の根元と先を切ります。両端からそっと半分に裂いていくと、真ん中が蚊帳のような形になります。この特徴が名前の由来になっています。昔の子どもたちが、カヤツリグサでおままごとなどして遊んでいる様子を想像できます。
カヤツリグサの生態と特徴
簡単にカヤツリグサの特徴をまとめました。見つけた雑草が何の種類か見分ける参考にしてみてください。見分け方はこのあとにも書いています。
- 草丈は30~60㎝です。
- 全体的に光沢のある緑色で、細長い葉が特徴となっています。
- 茎はまっすぐで、断面が三角形です。
- 茎の先の金色の穂が放射線状に広がります。
- 発芽時期はだいたい4月から8月です。
- 花期は7月から9月で幅があります。
- 本州から九州にかけて広く分布する、身近な雑草です。
- 繫殖力が強いのが特徴なので、地上部分を刈るくらいではまたすぐに生えてきてしまいます。
カヤツリグサの主な種類と見分け方
カヤツリグサは一年草と多年草の二種類に分けられます。どちらも発芽期は春から夏で、晩秋には枯れます。多年草は春になるとまた芽が出ます。種類によって田畑を好むカヤツリグサや、山地や林でよく育つカヤツリグサに分かれます。またパピルスは水地に生える種類です。
カヤツリグサの見分け方
イネ科の植物とカヤツリグサ科の植物とはかなりそっくりです。主な生態の違いを表にしてみますので、見分け方の参考にしてください。種類が多いので、専門家でも見分けるのに苦労します。一年草と多年草の見分け方についてはこのあとに書いています。
カヤツリグサ科の生態 | イネ科の生態 | |
茎の断面 | 三角が多い | 丸くなっている |
葉の配列 | 三角(三数性) | 二数性 |
茎の中 | 詰まっているものが多い | 空洞のものが多い |
果実 | 鱗片から外れて落ちる | 鱗片に包まれて落ちるものが多い |
一年草のカヤツリグサ
具体的にカヤツリグサとはどんな植物か取り上げてます。種類がたくさんあるので、一年草のカヤツリグサをいくつかあげてみます。お庭や自宅周辺に生えていないか観察してみてください。
コゴメガヤツリ
草丈は20~60㎝くらいです。鱗片が丸くて米粒のような形です。北海道から九州の広い範囲に分布しています。田畑の畔や道端などによく生えています。
アゼガヤツリ
北海道から九州地方の湿地や田んぼの畦道に生えてます。全体的に細く、葉は幅が1~2㎜くらいです。草丈も10~50㎝で、小型のカヤツリクサです。また細かい穂が線香花火のようです。
タマガヤツリ
中型のカヤツリグサで、小穂は淡い緑色から暗紫褐色に変わります。草丈は20~50㎝くらいです。全国に広く見られ水田や水の浅い湿地などを好んで生えてきます。茎はやや太めで柔らかいのが特徴です。
ヌマガヤツリ
80~120㎝になる大型で一年草のカヤツリグサです。花期はだいたい9月から10月で、関東から東北地方の湿地や河川敷でよく生えます。小穂は鱗片で順番に並んでいるものが集まり太くなっていきます。少しずつに褐色に変わります。
出典元:筆者撮影