コナギとは
コナギはビオトープなどの浅い池や、有機栽培している田んぼなどで見かけることができます。成長に応じて線形の葉から、ツヤのあるハート型の葉に変化する植物です。水田では稲の生長を妨げるために農薬などでの防除が必要です。除草剤を使用した駆除で簡単に除草できます。
コナギの特徴
原産地と見た目の特徴
コナギはミズアオイ科ミズアオイ属で、原産地は東南アジアになります。日本の水田雑草のなかでは一般的な雑草のひとつ。主に本州~九州に多いです。日本に稲作が伝えられた時に、稲と一緒に種子が田んぼに持ち込まれたと考えられているため、かなり大昔から日本で繁殖しています。
葉っぱは線形からハート型へ成長すると変化
コナギは発芽したときには、小さな細長い葉が一枚だけついた、とてもか弱い印象。しかしその後ササに似た見た目の、平たく細長い線形の葉を数本だしながら成長します。やがて成長が進むと、丸みをおびたツヤのあるハート型の葉を増やしどんどん育ちます。
リンドウみたいな青い花
ホテイアオイやリンドウに似た、青紫色の涼しげな小さい花を夏から秋にかけて咲かせます。やがて青紫色の花が集まって、短い房状の穂をつくり種をつけます。この時期は田んぼでは稲の収穫期にあたり、稲の株元をかきわけるとひっそりと咲くのを見つけられます。
名前の由来と方言の呼び名
コナギの名前の由来
コナギに似た植物にミズアオイがあり、この古名がナギとよばれています。葉を茹でて食べられたことから「菜葱」という字があてがわれており、ナギとなったとされています。コナギはナギ(ミズアオイ)に似ていますがさらに小さいため、小さいナギ、コナギといういわれがあります。
ボタニ子
方言の呼び名もいろいろ
古くから日本に根付き広がったコナギは、地域によって様々な方言で呼ばれています。芽が出たときはササに似た線形の葉のためササナギ、ある程度育ってくるとハート型の葉に変わるためハートグサなど。他にもタバス、イモバグサ、トリノシタ、ツバキグサ、ダブ、ダンブと様々です。
生育の特徴
田んぼは理想的な環境
コナギは典型的な水生雑草のため、常に水がはられた場所で発生しやすい植物です。しかし葉っぱが水面に出ていなければならないため、水中でずっと育つのは不可能です。そのため深い水深の池や湖、流れのはやい川では増えにくいのですが、田んぼは理想的な環境です。
繁殖の方法
コナギは種子で増える植物です。春先に種子はめざめはじめ、平均気温が15~16℃になると発芽が急に増えます。夏~秋に開花して、水中でも種子をつくることが可能です。1株あたりの種子数は1000~1500粒、多いものでは3000粒にもなります。
水田の稲には大敵!
コナギは生育期間が長く、田んぼでは稲の苗が小さい時から稲穂が出てくる時期まで、稲の肥料養分を奪い続けてしまいます。肥料を吸収する力が強く、稲に悪影響を及ぼす雑草のなかではもっとも強いといわれ、有機栽培ではコナギが一番の大敵!駆除の対象となっています。
除草剤で防除が簡単でおすすめ
コナギは水田雑草のなかでも比較的、除草剤によく効く雑草です。有機栽培の田んぼでは農薬を使えないため、コナギがはびこりやすいのですが、除草剤をはじめとした農薬を使用している一般的な田んぼではほとんど見かけられません。除草剤を使うことで駆除が簡単におこなえます。
食用としてのコナギ
大昔はわざわざ植えていたほど、食用になっていたコナギ
弥生時代の水田の遺跡である、板付遺跡や菜畑遺跡ではコナギをはじめ、オモダカやホタルイなどの水田雑草が発見されています。また万葉集にもコナギを綴った詩があり、大昔から人々になじみがあったことがわかります。江戸時代ごろまで一般的に食べられていたようです。
海外ではいまでも食用に
コナギは東南アジアが原産のため、ベトナムでは日本よりも古くからなじみがあり、いまでも野菜のように日常的に食用にされています。台湾では鴨舌草とよばれ、食べられる野草として親しまれています。また中国では全草を薬用にしたり、染料にも使われています。
コナギの風味と食感
コナギの若い葉と茎はあまりくせがなく、シャキシャキとした食感が美味しいため、様々な料理に使うことができます。田んぼ一面に生えるような強い植物なので、短時間でたくさん収穫することも可能です。茎と茎の間に泥などが入りこんでいることがあるため、よく洗って使います。
鑑賞用としてのコナギ
テラリウムやビオトープにおすすめ
葉が水中に沈むような、アクアリウムの水草としてはコナギは向いていませんが、テラリウムの陸上部分に生やしたり、ビオトープで浅い水辺に植えて育てることで楽しめます。コナギは成長するにつれ、線形の葉からハート型の葉に成長したり、青い花が晩秋まで楽しめるため見飽きません。
後述でコナギとミズアオイの見分け方をご説明します!