オモダカ(沢瀉)とは?水田雑草としての特徴や防除方法をご紹介!

オモダカ(沢瀉)とは?水田雑草としての特徴や防除方法をご紹介!

オモダカ(沢瀉)という水生植物をご存知でしょうか。全国の水田やため池などに生息し、真っ白な美しい花を咲かせますが、繁殖力が強いため稲作においては厄介な雑草となってしまいます。今回はオモダカの特徴、オモダカに似た植物、駆除方法・防除方法などをご紹介します。

記事の目次

  1. 1.オモダカ(沢瀉)とは?
  2. 2.オモダカの特徴
  3. 3.オモダカと間違われやすい植物
  4. 4.オモダカの防除方法①耕起する
  5. 5.オモダカの防除方法②引き抜く
  6. 6.オモダカの防除方法③除草機を使う
  7. 7.オモダカの防除方法④水稲向け除草剤を使う
  8. 8.オモダカの防除方法⑤合鴨農法
  9. 9.まとめ

オモダカ(沢瀉)とは?

出典:ぱくたそ

オモダカは別名をハナグワイといい、おせち料理などに使われるクワイの原種にあたる植物です。暖かい時期になると水田や溜池などの湿地に見られます。清楚で優しげな花を咲かせますが繁殖力はとても強く、夏になると走出枝(ランナー)と呼ばれる茎を地中に伸ばして塊茎(球根の一種)を作り増殖していきます。田んぼに発生すると稲から栄養分を奪ってしまう厄介な植物ですので、駆除する必要があります。

オモダカの基礎知識

名称 オモダカ(沢瀉)
別名 勝ち草、イモグサ
科目 オモダカ科オモダカ属
形態 多年草
原産地 中国
生息地 アジア、東ヨーロッパの一部
草丈 30cm〜70cm
繁殖時期 初夏〜秋

オモダカは難防除雑草

難防除雑草とは

出典:写真AC

オモダカは「難防除雑草」です。難防除雑草にはさまざまな解釈がありますが、雑草の中でも特に生命力が強く、一般的に知られる駆除方法では根絶が難しいものを指します。水田以外のところではスギナ、ヤブガラシなどが難防除雑草に当てはまります。多年草で、地下茎などを伸ばすため、引き抜いても再び発生してしまうという特徴があります。

オモダカの特徴

葉の特徴

矢尻のような葉

オモダカが生えている様子
出典:写真AC

オモダカは単子葉植物で、発芽したばかりの頃は細長く特徴のない葉なので、他の植物と区別することは難しいです。少し成長するとヘラのような形をした葉に変わり、最終的には矢尻のような特徴的な形の葉になります。葉の幅や長さは個体差が非常に大きいので、一見別の植物に見えてしまう場合もあります。

貴族や武士に好まれた形

葉を取り入れた紋様
出典:IllustAC

この葉の形はおよそ1300年前から紋様として使われており「沢瀉紋」と呼ばれています。戦国時代には縁起が良いという理由で多くの武家が家紋に取り入れるようになりました。日本十大家紋に数えられる程ですので、見覚えのある人も多いかもしれません。

花の特徴

白い清楚な花

開花の様子
出典:写真AC

花は真っ白な3枚の花弁からできており、直径は2cmほどしかありません。1本の花茎にいくつもの花を咲かせながら成長していきます。雄しべの黄色と花弁の白の対比がとても美しい花です。小さいですが、田んぼでは意外と目立ちます。

開花時期は夏〜秋

初夏から発生し、8月には満開になります。ここまで成長すると繁殖を始めてしまうので、なるべく開花時期までに取り除きましょう。

繁殖方法

塊茎(球根)で増える

出典:写真AC

暖かい時期になると走出枝(ランナー)と呼ばれるものを地中に何本も伸ばし、その先に直径1〜2cmの「塊茎」と呼ばれる球根を作ります。クワイをそのまま小さくしたような姿で、鳥の嘴のような芽が付いています。塊茎からは新芽が生え、やがて根を張って再び走出枝(ランナー)を伸ばすことによって増殖し続けていきます。そのため、水田に生える草の中では駆除が難しい部類に入ります。現在の駆除方法で根絶することは容易ではありません。

種子で増える

開花後は種子ができ、翌年に発芽します。種子から発芽した株は、塊茎の株より弱いので、一般的な駆除方法で問題なく駆除できます。

オモダカ の塊茎は食べられる?

出典:写真AC

あまり食べ応えはない

クワイの原種ですので、塊茎を調理して食べることは不可能ではありません。しかしサイズがあまりに小さく、食べ応えは足りないでしょう。やはりクワイのほうが美味しいことには間違いありません。

オモダカと間違われやすい植物

アギナシ(顎無)

出典:PhotoAC

アギナシ(顎無)はオモダカの仲間で、ほとんど同じ株姿をしているので、ぱっと見ただけでは違いは分かりません。水田に生息する植物ですが、それほど強い繁殖力を持ってはいないので、一般的な駆除方法で根絶できなかったという話はありません。むしろ除草剤の普及により数が激減してしまったため、準絶滅危惧種に指定されています。

花の特徴

アギナシはオモダカととてもよく似た花を咲かせます。花茎の長さに違いがあり、オモダカは花が葉の中に埋もれている傾向がありますが、アギナシは葉より上に咲く傾向があるので、見分けるときはよく観察しましょう。

出典:IllustAC

葉の特徴

矢尻のような葉も酷似しているのですが、葉の左右に分かれた部分(側裂片と呼ばれます)の先端で見分けることが可能です。アギナシの先端は丸まっており、オモダカは尖っています。ごく僅かな違いなので、観察には虫眼鏡が必要かもしれません。

繁殖方法

アギナシは走出枝を伸ばさず、代わりに根元に「ムカゴ」と呼ばれる肉芽をたくさん作って繁殖します。根元を掘って観察するのが一番分かりやすい見分け方ですね。

ウリカワ

出典:写真AC

ウリカワもオモダカの仲間で、水田によく生える植物です。小さいうちはオモダカとよく似た姿をしています。走出枝(ランナー)を伸ばして塊茎を作って増えていくので、防除しないと稲の生育が阻害されます。

株姿の特徴

ウリカワはオモダカによく似た花を咲かせますが、成長しても草丈は10cmを超えない小さな植物です。葉の形は線形なので、オモダカとの区別は簡単です。

ヘラオモダカ

出典:写真AC

ヘラオモダカも全国の水田に見られますが、寒い地域のほうが多く発生します。

葉の特徴

ヘラオモダカの名前は葉がヘラ状の形になっていることから付けられています。全体の長さは最大50cmほどになりますが、個体差があります。葉茎がほとんど無く、全体が葉に近い状態です。

花の特徴

花茎は1mを超える場合もあり、オモダカより大型です。花はオモダカと同じ3枚の花弁でできていますが、淡い桃色で、花弁はギザギザしているのが特徴です。

繁殖方法

ヘラオモダカは塊茎を作らず、タネのみで繁殖しますので、塊茎に比べると駆除は容易です。しかし開花まで放置してしまうと稲から栄養を奪います。

次のページでは、オモダカの防除方法をご紹介します。

次のページ

オモダカの防除方法①耕起する

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