タカサゴユリ(高砂百合)とは
タカサゴユリとは、台湾が原産の大型のユリです。大正12年に観賞用として日本に入りましたが、繁殖力が雑草なみに強く、あっという間に野生化し、ほぼ日本全国で見られるようになりました。和名は琉球語で台湾を意味する「タカサング」に由来します。学名である「lilium formosanum」は、ギリシャ語の白いを意味する「leirion」」と、台湾を意味する「formosanum」からできています。
基本情報
学名 | lilium formosanum |
科属 | ユリ目 ユリ科 ユリ属 タカサゴ種 |
分類 | 耐寒性多年草(宿根草) |
原産国 | 台湾 |
草丈 | 50~200cm |
花数 | 1~10 |
開花時期 | 夏~秋 |
別名 | タイワンユリ ホソバテッポウユリ |
タカサゴユリの特徴
タカサゴユリの花は、長さが15~20cmのラッパ状で、外側に薄紫からピンク色のすじがあります。真っ白な花もありますが、色味が強いものもあるのです。花の直径は5~15cmと大きく、ユリのなかでも大型です。香りは淡く強いユリの香りが苦手な人でも飾れます。花弁は6枚で葉は細く松葉のような形をしています。水はけのよい腐植質の土を好み、亜熱帯から温帯の気候が繁殖しやすいです。群生する特徴があります。
増え方
タカサゴユリは球根で花を咲かせます。連作障害に弱く、同じ場所で咲き続けると細菌が発生して群生全部が枯れてしまいます。1つの花からおよそ1000個できる種は、風に乗せて飛んでいくのです。野生化した種は落ちた場所で根付くと2年ほどかけて球根を育て、その間は花をつけません。花を咲かせつつ球根も育つため、だんだん花数も多くなります。1つの群生が枯れるころには飛ばした種がすでに他の場所で球根を育てており、雑草のように繁殖力が強いといわれます。
タカサゴユリの駆除方法
タカサゴユリの駆除方法は雑草と同じで引き抜くだけです。植えた記憶がない場所からいきなりユリの花が咲きだしたら、タカサゴユリだと思って間違いはないでしょう。野生化したものですので、雑草と同じです。タカサゴユリの花自体はきれいでなため、花粉を飛ばさないよう、おしべを切って花を楽しんでから抜くのもよい方法です。放っておいても連作障害でいずれ消えてしまいますが、その間に種を飛ばしてご近所迷惑になるかもしれません。かわいそうですが駆除しましょう。
駆除の理由
ユリは世界に100種類ほどあり、そのうちの15種類は日本に自生し、7種類は日本の固有種です。日本のユリは栽培が難しく、花を咲かせるまで5年前後かかるものもあります。タカサゴユリはもともと台湾からきた外来種で野生化したものです。外来種にありがちな傾向ですが、繁殖力が強いので在来種が影響を受けてしまいます。すでに、ヤマユリやオニユリとの交雑種が確認されており、花に斑点があるものもあります。そのため駆除指定こそされていませんが、積極的に栽培しないようにといわれているのです。
タカサゴユリの花言葉
ユリの花は姿が美しく、日本では「立てばシャクヤク、座ればボタン、歩く姿はユリの花」と女性を褒める言葉に使われてます。西洋では白いユリは聖母マリアを象徴する花とされています。そのためユリの花言葉は「純潔」「無垢」「威厳」です。他にも「正直」「飾らぬ美」「甘美」といったものもあります。ちなみに、ユリは11月18日の誕生花です。
タカサゴユリとテッポウユリとの違い
タカサゴユリと間違えられやすいユリがテッポウユリです。タカサゴユリと見分ける方法は花や葉の形を確認することです。タカサゴユリの葉が細く松葉に似ているのに対し、テッポウユリの葉は笹の葉のようにふっくらしています。タカサゴユリの花は15~20cmと大型で長細く、薄紫やピンクのすじがありますが、テッポウユリは10~15cmと小ぶりで真っ白くすじがありません。タカサゴユリは夏から秋、お盆の時期に咲きますが、テッポウユリは春に咲きます。
テッポウユリとは
テッポウユリは学名を「lilium longiflorum」といいます。九州南部、屋久島から琉球にかけて咲く在来種です。草丈は50~100cmで純白の花をつけます。花はラッパ状で1株に3~6輪ほど咲きます。少し下向きから横向きです。一般的に球根の植物は乾燥に強いですが、テッポウユリは乾燥をきらいます。タカサゴユリとは交雑種ができていて「シンテッポウユリ」と呼ばれています。
まとめ
ユリの花は連作障害に弱く、毎年見ていたのにある年を境に一つも生えてこなくなってしまう特徴があります。その間に種をとばして別の場所で息づくことから「旅する花」とも呼ばれます。タカサゴユリは外来種ですし、栽培しないことをすすめられているものです。しかし、花はとてもきれいです。お庭にある日、タカサゴユリの花が咲いているのを見つけたら、少しだけ愛でてもよいのではないでしょうか。
出典:flickr